Rakuten Symphony(以下「楽天シンフォニー」)と、Intel Corporation(本社:アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ、CEO:Patrick Gelsinger、以下「インテル」)、Juniper Networks, Inc.(本社:アメリカ合衆国カリフォルニア州サニーベール、CEO:Rami Rahim、以下「ジュニパーネットワークス」)は、キャリアグレードのオープンな無線アクセスネットワーク(Open RAN)ソリューションである「Symware」の開発に向け連携します。新しく開発する「Symware」は、ネットワークのエッジにおいて多目的に活用できる通信機器として、移動体通信事業者(MNO)向けに最新のクラウドネイティブアーキテクチャを活用してモバイルネットワーク基地局を刷新し、基地局あたりのハードウェア保守コストを削減しつつ、ネットワークの高密度化や様々なネットワークトポロジー(注1)への対応、新機能のサポートなどを実現します。なお、楽天シンフォニーは楽天グループ株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下「楽天」)の通信プラットフォーム事業組織です。
世界中のMNOは、Open RANとクラウドネイティブなアーキテクチャを自社ネットワークに導入し始めています。これにより、MNOはサプライチェーンを拡大・管理しつつ、優れたアジリティやスマートなセキュリティを実現し、新たな水準の自動化を導入することが可能となります。
「Symware」の多目的に活用可能なエッジ通信機器は、コンテナ化された基地局のルーティング機能(注2)およびコンテナ化された分散ユニット(cDU)を単一の汎用サーバープラットフォーム上に統合することで、MNOの設備投資および運用コストを大幅に削減します。また、物理的なRANと仮想的なRANの両方に対して、一貫したキャリアグレードのルーティングスタック(注3)を提供することで、RANとトランスポートの両ドメインにおいて、モニタリング、セグメントルーティング(注4)による動的なトラフィックステアリング(注5)などの5Gネットワークのスライシング機能を手軽に実現します。また、「Symware」ソリューションは、ゼロタッチプロビジョニング(注6)やローリングアップデート(注7)、ネットワークを構成するすべての構成要素の遠隔監視(テレメトリ)と分析による自動化をサポートします。ネットワークの装置構成や使用状況を自動的に設定・管理・調整するオーケストレーション機能とネットワーキング機能にはKubernetes®(注8)を採用しています。
楽天シンフォニーのCEOであるタレック・アミンは、次のように述べています。「楽天シンフォニーは、ネットワークの変革を加速するために、業界をリードするイノベーションの創出を目指しています。パートナーと連携することで、私たちは4Gや5G、次世代の通信技術に対応した基地局をシンプルに展開するための、コストパフォーマンスを最適化した通信機器を開発しました。「Symware」により、MNOのネットワークを柔軟に高密度化し、様々なネットワークトポロジーに最低コストで対応できる将来も実用可能な基地局ソリューションを実現していきます」
インテルのネットワークプラットフォームグループのコーポレートバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるダン・ロドリゲス(Dan Rodriguez)は次のように述べています。「業界は、RANのクラウド化によってもたらされる多くの利点を活用する方向へと変革しています。次世代インテル® Xeon® Dプロセッサー(注9)を使用することで、今回の共同開発において、RANのワークロードを単一のサーバーに集約させ、5GのRANの展開に求められるパフォーマンス、処理能力、コスト要件を満たすことを示します」
ジュニパーネットワークスのCTO(最高技術責任者)であるラジ・ヤバタカーラ(Raj Yavatkar)は次のように述べています。「ソフトウェアとハードウェアが分離されたネットワークにおいて、Open RANを展開する際の障壁を取り除くことが、5Gの拡大には不可欠です。ルーティングとOpen RANを単一のプラットフォームに統合することが、MNOにコスト面や運用面でのメリットをもたらします。業界をリードするインテルの技術、楽天シンフォニーのDUソフトウェア、ジュニパーネットワークスの最先端の分散型ルーティングスタックを組み合わせることで、ネットワークスライシングを含む5Gならではのサービス提供に必要な独自のソリューションをMNOに提供します」
「Symware」は、楽天シンフォニーのクラウドネイティブかつOpen RANベースのネットワーク構築ノウハウと知見、楽天シンフォニーの傘下企業であるアルティオスター(注10)の最先端のコンテナ化されたRANソフトウェア、第3世代インテル® Xeon®プロセッサー(注9)とFlexRANTMソフトウェア、ジュニパーネットワークスのキャリアグレードのクラウドネイティブなルーティングスタックを活用して開発されます。「Symware」は、今後、MNOがネットワークを構築する際に、より多くの機会でイノベーションを創出し、サプライチェーンの拡大と安全性の確保に貢献することを目指します。
「Symware」は、楽天シンフォニーより2022年上半期に提供することを目指しています。
インテルについて
インテルは業界のリーダーとして、世界中の進歩を促すとともに生活を豊かにする、世界を変えるテクノロジーを創出しています。ムーアの法則に着想を得て、顧客企業が抱える大きな課題を解決する半導体製品を設計・製造し、その進化に向けて日々取り組んでいます。クラウド、ネットワーク、エッジ、あらゆるコンピューティング機器のインテリジェント化によりデータの価値を最大化し、ビジネスと社会をより良く変革します。インテルのイノベーションについては、https://newsroom.intel.co.jp または https://intel.co.jp をご覧ください。
ジュニパーネットワークスについて
ジュニパーネットワークスは、ネットワーク運用の大幅な簡素化とエンドユーザーのエクスペリエンス向上に注力しています。当社のソリューションは業界をリードするインサイト、自動化、セキュリティ、AIを提供し、真のビジネス成果をもたらします。人々のつながりを強化することにより、福祉、持続可能性、平等性といった世界的な課題を解決できると確信しています。ジュニパーネットワークスに関する詳細な情報は、以下をご覧ください。http://www.juniper.net/jp/、Twitter、LinkedIn、Facebook
楽天シンフォニーについて
楽天シンフォニーは、日本、米国、シンガポール、インド、欧州、中東・アフリカで通信事業者向けにソリューション事業を提供する事業組織です。「Rakuten Communications Platform(RCP)」を含む、クラウドネイティブかつOpen RANベースの通信インフラプラットフォーム、サービス、ソリューションを開発し、革新的な通信プラットフォームを世界で提供していきます。詳しくは、楽天シンフォニーのウェブサイトをご覧ください。https://symphony.rakuten.com/ (英語のみ)
(注1)ネットワークトポロジーとは、通信ネットワーク上での機器間の接続形態の分類を指します。ネットワークを構成する機器同士がどのような規則性に基づいて繋がれているかを模式的に表したものです。
(注2)ルーティング機能とは、ネットワーク上でデータを送信・転送する際に、宛先アドレスの情報を元に最適な転送経路を割り出すことを指します。
(注3)スタックとは、複数の装置をスタックポートで接続し、論理的に1台の装置として動作させる機能です。
(注4)セグメントルーティングとは、ネットワークをセグメントという要素を用いて表現し、そのセグメントを指定することによりパケットの転送を実現するアーキテクチャです。
(注5)トラフィックステアリングとは、トラフィックの一部をアプリケーションに迂回することでネットワーク構成をシンプルにすることを指します。
(注6)ゼロタッチプロビジョニングとは、ネットワークスイッチなどの設定作業を自動化し、導入現場でネットワークに接続して起動するだけで使用できるようにすることを指します。
(注7)ローリングアップデートとは、ソフトウェアの更新、入れ替えの方法のひとつで、稼働中のシステムを完全には停止させずに徐々に新しいものに入れ替えていく方式を指します。
(注8)Kubernetesとは、コンテナ化したアプリケーションをデプロイ、スケーリング、管理するための、オープンソースのシステムです。なお、KUBERNETESはThe Linux Foundationの登録商標です。
(注9)インテル、Intel Xeonは、アメリカ合衆国およびその他の国におけるIntel Corporationまたはその子会社の商標または登録商標です。
(注10)現在、アルティオスターは楽天シンフォニーに集約されています。詳しくは、楽天のプレスリリースをご覧ください。https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2021/0804_04.html
以 上