コンプライアンス
基本的な考え方
70以上の事業を国内外で展開する楽天グループにとって、持続的に成長を続けるためにはコンプライアンスの徹底が必要不可欠です。楽天グループでは、楽天主義の基本原則の一つであるブランドコンセプトに「品性高潔」を掲げ、高い倫理観を持ち誠実にビジネスを行うべく、「楽天グループ企業倫理憲章」を定めています。法令や国際ルール、社内規程を遵守することはもとより、グローバルリーダーとして社会からの期待に応え、人々と社会をエンパワーメントします。
マネジメント体制
グループ全体における強固なコンプライアンス体制を実現するため、チーフオペレーティングオフィサー(Chief Operating
Officer、以下「COO」)のもと、グループ全体の統括責任者としてチーフコンプライアンスオフィサー(Chief Compliance
Officer、以下「CCO」)、各社内カンパニーにおいてはカンパニーコンプライアンスオフィサー(Company Compliance
Officer、以下「Co.-CO」)、各事業においてはビジネスコンプライアンスオフィサー(Business Compliance Officer、以下「Biz.-CO」)をそれぞれ任命しています。
Co.-COおよびBiz.-COはCCOと連携し、コンプライアンスプログラムの策定や実効性のあるモニタリングを推進するなど、グループ横断的なコンプライアンス体制を強化する役割を担っています。
このような体制のもと、楽天グループでは、リスク・ベース・アプローチに基づきリスクが高い事項を特定し、コンプライアンスプログラムとして、贈収賄・汚職禁止、マネー・ローンダリング/テロ資金供与の防止、独占禁止法・競争法や業法など各種法令の遵守、反社会的勢力の排除、グループ全体におけるコンプライアンス教育の実施やモニタリングなど、様々な施策に取り組んでいます。
また、グループリスク・コンプライアンス委員会を四半期ごとに開催し、経営戦略の実現を妨げる可能性のある法規制などに関連するリスクの特定、グループ全体の実効的なコンプライアンスの推進、ベストプラクティスの共有、コンプライアンス施策の提案・合意形成、およびコンプライアンスプログラムの取り組みに関する報告・協議などを行っています。
取締役会は、コンプライアンス施策の取り組み状況や結果などについて、CCOより定期的に報告を受け、グループの全体的なコンプライアンスを監督しています。
楽天グループ規程
楽天グループ規程(Rakuten Group
Regulations、以下「RGR」)は、楽天グループ共通のルールです。企業価値を最大化するために、すべての役職員が高い倫理意識を持って誠実に行動し、実効的なコーポレートガバナンスを実現することを目的としています。
RGRは、楽天グループ企業倫理憲章や、楽天の価値観・行動指針である楽天主義、法令遵守、労働慣行、情報セキュリティ、品質管理、サステナビリティなどの多岐に渡る分野をカバーする様々なガイドラインなどを含んでいます。また、楽天グループ各社の特性に対応するため、個社ごとの規程も定めています。
さらに、法令、労働慣行に関わる人権、情報管理などを含む幅広い項目においてグループ全体で監査を実施し、RGRの一部である楽天グループ企業倫理憲章の遵守状況を確認しています。
なお、定期的にRGRの見直し・改定を実施することで、事業の発展やビジネス環境の変化に対応し、ステークホルダーの皆様や社会からの期待に応えるよう努めています。
RGRに含まれるテーマの例
- 贈収賄・汚職禁止
- リスクマネジメント
- 知的財産
- 会計
- 労務
- 情報セキュリティ
- 製品・サービス品質
- マーケティング・広告
- 調達
- サステナビリティ(人権・環境)
- 企業文化
従業員の意識向上
グループ全体におけるコンプライアンス遵守を徹底するためには、従業員一人ひとりが企業倫理をはじめとし、法令や社内規程などを認識のうえ、正しく理解する必要があります。そのため、楽天グループでは、すべての役職員に対するコンプライアンス教育活動を継続的に実施しています。
具体的には、毎週開催される全社会議である朝会や、楽天グループの全役職員を対象としたEラーニングにおいて、コンプライアンスをテーマに企業倫理や各種法令およびRGRの周知徹底を図っています。また、楽天グループの役職員は、Eラーニングの受講と併せて、社会規範および法令・社内規程を遵守し、誠実に職務を遂行することについて定期的に宣誓を行っています。これに加えて、国内外グループ会社のトップマネジメントを含め、楽天グループの経営を担う上位管理職である役職員については、マネジメントとして遵守すべき事項についての宣誓も毎年行っており、その完了率は100%となっています。
教育実施テーマ例
- 贈収賄防止
- ハラスメント防止
- サステナビリティ
- 情報セキュリティ
- インサイダー取引防止
- 反社会的勢力への対応
- 労務管理
- 不正競争防止法遵守
- 景品表示法遵守
- 知的財産権侵害防止
- 下請法遵守
- プライバシー保護
- データガバナンス
- 内部通報窓口
また、楽天では、従業員の評価・報酬を決定する際に、コンプライアンスを重要な要素として位置づけています。全従業員が年に2回コンピテンシー(仕事のプロセスにおいて発揮する行動)に基づいて評価を受け、その評価結果が、給与に反映されます。各コンピテンシーで期待される行動は明確に定義されており、その一つに、法務、財務、サステナビリティ、オペレーションのルールや方針を遵守しながら、責務を遂行することも含まれます。さらに、楽天で働く優秀な従業員をグローバルに表彰する表彰制度「楽天賞」では、「品性高潔 - Behave Ethically: Integrity」のカテゴリを設け、法令を遵守し、いかなる状況においても誠実に業務を行う従業員を表彰しています。
報告窓口
楽天グループでは、法令や企業倫理、RGRをはじめとする社内規程に違反する行為、あるいは違反する恐れのある行為を発見した場合に、正社員に限らず、契約社員やアルバイト、パートタイムなど、楽天グループで働くすべての従業員が相談・通報を行うことができる、社内外の内部通報窓口となる「楽天ホットライン」を設置しています。本ホットラインは公益通報者保護法に準拠して運営しており、窓口への相談者・通報者に対する守秘義務を守るとともに、不利益となる取り扱いを禁止しています。また、匿名での通報も可能です。ハラスメントの相談・報告を受け付ける「ハラスメント相談窓口」も設けており、ハラスメントにつながる行動に対し適切に対処しています。
なお、これら通報窓口への相談者・通報者の守秘義務を守るとともに、不利益な取り扱いを禁止しています。
さらに、サプライヤー様よりご連絡・ご相談いただく窓口として、サプライヤーホットラインを設置しています。詳しくはこちらをご覧ください。
報告された不正行為は、専任チームにより立証のための調査が行われ、相談者・通報者へは、結果や是正策と共に相談・報告へのフィードバックが提供されます。調査の結果、違反が認められた場合には、不正行為へ関与した役職員は、就業規則に従って懲戒処分の対象となります。
コンプライアンスプログラム
コンプライアンスの取り組みを継続的に改善し、コンプライアンスリスクを低減するため、「環境変化の特定」、「リスクの特定・評価」、「コントロール策定・実施」、「コントロール評価」の4ステップのPDCAサイクルを活用した楽天グループコンプライアンス・プログラムを導入しています。
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環境変化の特定
経営目標に影響を与えうる、今後想定しうる内外の環境変化の特定 -
リスクの特定・評価
環境変化の特定に基づきリスクを特定し、影響度と発生可能性の2軸で評価 -
コントロール策定・実施
明確な責任・判断基準・業務プロセス・教育周知・モニタリングの要素をもとに体制を構築 -
コントロール評価
コンプライアンスプログラム実行により、リスクが低減されているかどうかを確認
贈収賄・汚職禁止
近年、世界各国で、公務員等への不正な贈答・接待などの腐敗行為に対する取り締まりが厳格化し、汚職行為防止への要求水準が高まっています。
このような状況の中で、楽天グループでは、「楽天グループ企業倫理憲章」において贈収賄を禁止するとともに、楽天グループ規程(RGR)として「楽天グループ汚職禁止インストラクション」を制定しています。本インストラクションでは、汚職を禁止する各国法令や国際的な取り組み等に基づき、国内外問わずあらゆる汚職行為を禁止し、接待贈答、寄付協賛、政治献金などに関する方針を定めています。また、贈収賄・汚職を排除するため、取引先に対しても本インストラクションと同趣旨の事項の遵守を求め、公務員等に対する接待贈答基準の策定、購買関連の業務フローの見直し、グループ各社に共通して求める購買業務に関する方針の周知、
当社グループ従業員への教育活動に取り組むなど、体制強化を図っています。
上記の方針のもと、汚職リスクを低減し、品性高潔を維持するために、コンプライアンスプログラムの一つとして、汚職禁止プログラム(Anti-Bribery
and Corruption Program、以下「ABCプログラム」)を策定しています。同プログラムでは、以下のような取り組みを行っています。
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リスク評価
楽天グループ各社における汚職リスクを把握するためのリスクアセスメントを実施しています。併せて、当該リスクに応じた適切な体制を築き、遵守されているかについても確認しています。 -
教育
汚職禁止・贈収賄に関する法令等および楽天グループにおける各種規程の遵守を徹底するため、楽天グループの役職員に対してEラーニング等を通じて定期的に教育を実施しています。 -
モニタリング
ABCプログラムの運用状況について、定期的にモニタリングを実施しています。また、モニタリング結果等を踏まえ、ABCプログラムの有効性を維持・継続するために、定期的にプログラムの見直しを行っています。 -
違反報告
楽天グループの役職員は、法令および楽天グループ汚職禁止インストラクション等をはじめとする関連規程等に違反または違反の疑いがあると思われる時は、楽天グループに設置された内部通報窓口等の適切な社内チャネルに報告することが求められています。また、違反を発見した際には、徹底した社内調査を行い、関係当局の調査等に適切に協力します。
マネー・ローンダリング/テロ資金供与の防止および拡散金融、経済制裁対策
近年、組織犯罪やテロ活動の脅威は世界的に高まっており、国際的な金融犯罪の防止態勢が強化されています。
楽天グループは、多数のサービスを「楽天エコシステム」のもと展開しているため、違法に取得した資金に関わる取引にグループのサービスが利用されるリスクがあります。こうしたリスクを踏まえ、コンプライアンスプログラムの1つとして、マネー・ローンダリング/テロ資金供与防止プログラム(Anti-Money
Laundering/Combatting the Financing of Terrorism program、以下「AML/CFTプログラム」)を策定し、マネー・ローンダリング防止のための態勢構築に取り組んでいます。
国内外ともに、上記プログラムのもと態勢整備を進めており、
AML/CFTプログラムの一環として、楽天グループ規程(RGR)である「AML/CFT/拡散金融/制裁対策インストラクション」を制定しています。ここでは、AML、CFT、拡散金融対策および各国の制裁プログラムへの対応について、管理態勢を構築し、適正な業務運営を行うために必要な事項を定めています。
日本においては犯罪収益移転防止法において特定事業者となる楽天グループのグループ会社または事業は、関連法規制に則り、取引時確認、記録保存および疑わしい取引の届出に関する管理態勢を構築し、組織犯罪による金融サービスの濫用防止に努めています。
AML/CFTプログラムにおいても、楽天グループの役職員に対してEラーニング等を通じて定期的に教育を実施しています。
税務コンプライアンス
楽天グループは、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」ことを企業の基本理念としています。公正な納税を通じて、事業を展開する国や地域社会の発展に寄与してまいります。
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私たちは、事業を展開するすべての国と地域の納税関連法令および国際法令を遵守し、各法令の精神も尊重し、以下の通り対応します。
- 適時適切な納税申告と納税を行います。
- タックスプランニングに取り組む場合は、関係法令の精神を理解し、経済的実体の伴わないストラクチャーを使用しません。
- 租税回避を目的としてタックスヘイブン地域を利用しません。
- 最新のOECDガイドラインと各国の関係法令に従い、移転価格設定方針においてアームズ・レングス原則を徹底します。
- 私たちは、税務当局とオープンで誠実な対話を維持します。
- 私たちは、楽天グループ従業員または取引先企業等による税法に反する行為が行われたと知りえた際には、厳正に対処します。
税務担当部署は定期的に、税務方針の責任者である副社長執行役員CFO(Chief Financial Officer)廣瀬研二に報告しています。