2021年7月19日
  • 楽天グループ株式会社

楽天、感染予防につながる日常の行動・意識の重要性を改めて示唆するPCR受検者の背景調査結果を発表

- ワクチン普及が進む中も、官民協力のもと積極的な具体的感染予防行動の啓発を提唱 -

 楽天グループ株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下「楽天」)は、2020年12月から提供しているPCR検査サービス「新型コロナウイルス唾液PCR検査キット」の受検者を対象に、社会的なコロナ対策の充実を目的とした背景調査を実施してまいりました(注1)。このたび、13,000件以上の受検者の自己申告による協力を得て、「どういう場合に感染しやすいのか」「どういう個人が感染するのか」という観点から、検査前の状態や日常活動・意識について調査した結果を発表します。

 本調査では、新型コロナウイルス感染症の感染リスクについて、手洗いやソーシャルディスタンス、食生活を通じた健康管理、感染リスクへの意識といった、日常生活における個々人の行動や意識が感染予防につながる可能性が改めて示唆されています(詳細は、以下「調査報告結果概要」および「調査質問回答抜粋」参照)。なお、すべての回答は陰性・陽性の結果が通知される前に行われており、報告内容は検査結果によって影響を受けていません。

 新型コロナウイルス感染症の蔓延後に、政府や関連機関が導入した3密回避等の感染抑止策は合理的であると考えられます。一方で、本調査における陽性者の回答分析からは、個々人の日常活動における意識や注意の程度に濃淡が想起され、個人単位での感染抑止に対する意識向上が引き続き課題であることがうかがえます。ワクチン接種が進み、社会活動の再開が期待されるにつれ、感染リスクに対する意識に緩みが生じ、意図せざる感染拡大も懸念されます。

 感染の再拡大を避けるために、官民・関連機関・報道機関が協力し、ワクチン普及が進む中においても、日常活動事例で注意すべき点を明示し、気づかないうちに感染者となった具体的な事例を積極的に啓発していくことを提唱します。本調査が少しでも参考となり、国民一般の日常生活における感染リスクに対する意識向上、感染症を予防する健康管理や行動が促進されることを期待しています。

 楽天は今後も、全国へのPCR検査キットの提供や、ワクチン接種をサポートすることで、個々人の日常生活における衛生・健康管理や労働環境維持を、政府・関連機関・医療機関と協力しながら支援してまいります。

(注1)本調査は、本PCR検査の受験者に対して、任意でアンケートへの参加・協力をよびかけたものです。個人情報非開示のまま集計したデータを基に分析しています。

■調査報告結果概要

ー 日常活動と感染との関連性について調査から考察した。陽性者は対面業務が多い傾向がみられ、マスク着用について注意レベルが相対的に高い一方で、手洗いやソーシャルディスタンスについての意識は陰性者より低い結果となった。感染への意識の「緩み」が日常生活の個々の場面において影響し、感染の可能性のある場面での関連が想起される。

ー 日常の活動傾向と感染を防ぐ免疫機能との関連性についても調査から考察した。陽性者では運動する機会が少ない、平均睡眠時間が短い、精神面での不調が多い、笑う頻度が少ない、という一定の傾向がみられたものの、陰性者との明確な差異は認められなかった。一方で、陰性者は食生活での野菜やヨーグルトの摂取頻度が高く、陽性者に対して食生活への意識が高いことも特徴であった。また、陰性者は新型コロナウイルス感染症に対するストレスを陽性者に比べ高く感じている傾向が示されていることから、感染リスクに対する意識が相対的に高い可能性がある。

ー これらから、手洗いやソーシャルディスタンスといった感染に注意した日常活動とともに、感染を防ぐ免疫機能との関連性を特定するものではないものの、健康管理や感染リスクに対して高い意識を持つことの重要性が示唆された。

■調査質問回答抜粋

以下、調査質問回答の抜粋です。グラフはすべて上段が陽性者、下段が陰性者です。

【日常活動についての設問に関する結果】
<過去1カ月間の仕事の仕方について教えてください。>

陽性群で対面業務が多い傾向がある。「ほぼ毎日人と対面する業務に関わっている(例:営業職、小売販売職、飲食関係など)」と「週に2~3日人と対面する業務に関わっている」の合計頻度では、陽性群(87.5%)・陰性群(81.1%)で6.4ポイントの差異があった。

<過去1カ月間で、人と接する可能性のあるお出かけの際を思い出してください。マスクをどの程度着用しているでしょうか。例)買い物、通院、公共交通機関の利用など>

「人混みにかかわらず常時着用している」について陽性群は高い傾向があるが、「人混みがある場合は着用している」まで含めると陰性群が高い比率であった。

<過去1カ月間のあなたの手洗いについて教えてください。>

手洗いへの意識については、「常に手洗いを心がけている」と「しばしば手洗いを心がけている」の合計頻度では、陽性群(86.9%)・陰性群(95.2%)で8.3ポイントの差異が見られた。

<過去1カ月間のあなたのソーシャルディスタンスについて教えてください。>

ソーシャルディスタンスへの意識については、「他人と密にならないよう常に気をつけている」と「他人と密にならないようしばしば気をつけている」の合計頻度で、陽性群(68.4%)・陰性群(87.9%)で19.5ポイントと大きな差異が見られた。

【免疫機能について想起される設問の結果】
<過去3カ月間でどの程度運動をしているか教えてください。>
※運動とは徒歩・ランニングもしくはそれ以上の1回30分以上の運動(通勤・通学を含む)を指します。

運動の頻度について、「ほとんどしない」は陽性群(47.4%)が陰性群(42.3%)に比べて5.1ポイント高かったが、「週1-2回程度行っている」を加えると両群に大きな差異は見られなかった。

<過去1カ月の平日の1日の平均睡眠時間を教えてください。>

「4時間より少ない」、「4-5時間未満」、「5-6時間未満」の合計値では、陽性群(57.9%)は陰性群(47.8%)より10.1ポイント高かった。睡眠時間が少なく、健康面への配慮が陽性群は低いことが示唆される。

<過去1カ月間で、寝つきが悪い、途中で目が覚める、あるいは朝早く目が覚めることはあったでしょうか。>

「いつもそうだ」では陽性群は高いが、「しばしばそうだ」まで含めると陰性群のほうが高く、上記設問とあわせて考察すると、睡眠時間での明確な差異があるとは言えない。

<過去1カ月、気分がすぐれない、不安で落ち着かない、イライラする、何をするのも面倒に感じる、などの精神面での不調はどれくらいの頻度でありましたか。>

精神面での不調は、「ほとんどいつもあった」などは陽性群が陰性群より高かったものの、それぞれの項目の差異について結論づけるものではなかった。

<過去3カ月間のあなたの笑った頻度について教えてください。>

笑顔の頻度については、陰性群のほうが「よく笑うことが多かった」が高いが、「まあまあ笑うことがあった」を加えると陽性群のほうが高く、明確な差異があるとは言えない。

<過去3カ月の野菜又はヨーグルトなどを食生活に取り入れた頻度を教えてください。>

食生活、特に不足しがちなビタミンや腸内環境を維持する野菜やヨーグルトの接種に対する意識については、「ほぼ毎日食べていた」、「週に3~4回は食べていた」の合計値では、陽性群(65.8%)は陰性群(75.0%)に比べ、9.2ポイント低かった。食生活の面から、陽性群は健康に関する意識が低いことが示唆される。

<過去3カ月、新型コロナウイルス 感染症に対して、不安や恐怖、ストレス等をどの程度感じていましたか。>

新型コロナウイルスに対するストレスの指標は陰性群のほうが高い傾向が出た。免疫強化の面ではマイナスと考えられるも、日常生活への注意については感染リスクに対する高い意識につながることも考えられる。

■楽天PCR受検者背景調査の調査概要

ー データ回収期間: 2020年12月から2021年5月
ー 日常生活、免疫機能に関する計14質問
ー 13,000件以上の自己申告による回答を得て、データ不備、判別不能のデータを除いた12,619件の回答をもとに解析。
ー 1人の受検者が複数回検査を受けた場合、その都度調査表の記入を認める。
ー 調査参加者の年齢層、男女比は以下の通り。

ー 本調査は受検者の日常行動や免疫力と感染の因果関係を対象とすることから、陽性疑いも陽性として集計。
ー 陽性者/陰性者の分布は以下の通り。

※本PCR検査では、新型コロナウイルス感染症の症状を自覚している場合、医療機関を受診し、保健所での確認を行うよう推奨しています。本PCR検査の受検者は、原則として無症状の受検者が多数を占めています。

■「新型コロナウイルス唾液PCR検査キット」について

本PCR検査用キットは、楽天と、現在新型コロナウイルスのPCR検査で広く使用されている試薬のひとつとなっている「SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Kit」を製造しているタカラバイオ株式会社(本社:滋賀県草津市、代表取締役社長:仲尾功一、以下「タカラバイオ」)が、同試薬仕様に合わせて「新型コロナウイルス不活化のための溶液」(以下、「不活化溶液」)および「唾液採取容器および付属品」を共同開発し、楽天が提供するPCR検査です。

新型コロナウイルスは、これまでになかった未知のウイルスのため、「不活化溶液」の開発においては、実際の新型コロナウイルス検体での確認が重要です。そのため「不活化溶液」は、外部研究機関の協力のもと、新型コロナウイルス検体で感染力を失わせる働きをもつことの確認に成功しました。このことにより、輸送および検査開始時の2次感染の危険性を下げることができます。また、本PCR検査用キットで採用された迅速検査法(※)を開発し、100例以上の唾液臨床検体を用いた検証を行いました。一般的な検査法とされているPCR法(感染研法)と、「不活化溶液」に入れた検体のダイレクトPCR法の検査性能を比較し、高い陽性および陰性一致率を保持していることを確認しています。

※迅速検査法は、「不活化溶液」に入れた検体のダイレクトPCR法です。

■PCR検査試薬「SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Kit」について

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を検出するためのリアルタイム RT-PCR キットで研究用試薬です。

【主な特性】
(1) RNA精製は不要。唾液からの検出も対応
(2) ウイルスの2領域同時検出でより高感度かつ特異的に検出
(3) 鋳型持込量が多く高感度に検出
(4) 前処理から検出まで1時間以内、迅速に判定可能

※記載されている会社名・製品名・サービス名などは、各社の登録商標または商標です。

以 上

※ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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