楽天グループ株式会社(以下「楽天」)は、日本語に最適化した高性能の大規模言語モデル(以下「LLM」)の基盤モデル(注1)「Rakuten AI 7B」(以下「本基盤モデル」)と、同モデルを基にしたインストラクションチューニング済モデル(注2)「Rakuten AI 7B Instruct」(以下「本インストラクションチューニング済モデル」)、インストラクションチューニング済モデルを基にファインチューニングを行ったチャットモデル(注3)「Rakuten AI 7B Chat」をオープンなモデルとして、3月21日(木)に公開しました。
「Rakuten AI 7B」は、フランスのAIスタートアップであるMistral AI社のオープンモデル「Mistral-7B-v0.1」(注4)を基に、継続的に大規模なデータを学習させて開発された70億パラメータの日本語基盤モデルです。本基盤モデルの事前学習は、楽天が設計した内製のマルチノードGPUクラスターで拡張的に行われ、大規模で複雑なデータを使用した事前学習プロセスを高速で実現可能となりました。また「Rakuten AI 7B Chat」は、「Rakuten AI 7B Instruct」を基にしたチャットモデルで、会話形式の文章生成のためのチャットデータを用いファインチューニングされています。なお、上記の全3モデルは、Apache 2.0ライセンス(注5)で提供されており、楽天の公式「Hugging Face」リポジトリ(注6)からダウンロードすることができます。
【楽天のLLMの特徴】
1. 高品質データでの事前学習により高性能を実現
本LLMは「Mistral-7B-v0.1」を基に、インターネット上に存在する膨大な日本語と英語のデータによって事前学習を繰り返しています。事前学習に使用したデータは、与えられた条件に従ってデータを選別および抽出を行う内製のフィルタリング機能と、関連情報をデータにメタデータとして付与するアノテーション作業によって質を向上させており、楽天のLLMの性能の高さに貢献しています。
2. 日本語の言語に最適化された形態素解析器により高い効率性が可能
本LLMは、日本語の言語に最適化された独自の形態素解析器(注7)を使用しています。一般的に形態素解析器は自然言語で書かれている文章を適切な単位に細分化して分析することができます。楽天の形態素解析器においては、文章の分割単位であるトークンあたりの文字数が増加し、その結果、より多くの情報を単一のトークンに含めることができます。そのため、従来の形態素解析器と比較して、事前学習や推論のテキスト処理をより効率的に行えるようになりました。
3. オープンな日本語LLMにおいてトップの評価を獲得
本基盤モデルと本インストラクションチューニング済モデルは、言語モデル評価ツール「LM Evaluation Harness」(注8)の基準において、日本語と英語のLLMの高いパフォーマンスが評価され、高性能であることが実証されました。日本語の評価では、本基盤モデルが平均69.8ポイント、本インストラクションチューニング済モデルが平均77.3ポイントのスコアを獲得、英語の評価では、本基盤モデルが平均60.5ポイント、本インストラクションチューニング済モデルが平均61.3ポイントのスコアを獲得し、オープンな日本語LLMにおいて、大変優れたモデルとなっています(注9)。