楽天グループ株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷浩史、以下「当社」といいます。)は、日本郵政株式会社(本店所在地:東京都千代田区、取締役兼代表執行役社長:増田寬也、以下「日本郵政」といいます。)の子会社である日本郵便株式会社(本店所在地:東京都千代田区、代表取締役社長兼執行役員社長:衣川和秀、以下「日本郵便」といいます。)との間において、当社の完全子会社とするJP楽天ロジスティクス合同会社(以下「JP楽天ロジスティクス」といいます。)を新たに設立し、当社における物流事業(以下「本事業」といいます。)に関して有する権利義務を、JP楽天ロジスティクスに承継させる簡易吸収分割(以下「本分割」といいます。)を行ったうえで、当社及び日本郵便がJP楽天ロジスティクスに対して出資すること(以下「本出資」といいます。)に関する統合契約(以下「本統合契約」といいます。)及びJP楽天ロジスティクスの運営等に関する株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を、本日締結しましたので、下記のとおりお知らせします。
本分割に関する分割契約(以下「本分割契約」といいます。)の締結日は2021年5月、本分割の効力発生日は、2021年7月1日を予定しています。また、本出資の払込日は、本分割の効力発生後、同日2021年7月1日を予定しています。
本分割は、当社の完全子会社に事業部門を承継させる会社分割であるため、開示事項及び内容を一部省略しています。
記
1.本件の背景と目的
当社と日本郵政の連結子会社である日本郵便は、従前より提携を進めていく中で、更なる連携強化を企図し、2020年12月、健全で持続可能な物流環境の実現を目的とする戦略的提携に向け、基本合意書を締結しました。また、日本郵政グループ(日本郵政及びその関係会社をいいます。以下同様です。)との協業を通じたサービスの充実を目指すとともに、物流分野に限らず、フィンテック、モバイルユーザー向けのマーケティングや基地局設置等及びその他領域における提携の検討を進めるため、日本郵政グループとの関係強化を図ることは、当社グループの競争力と機動力の向上につながるものと判断し、当社が公表した2021年3月29日付「第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分の一部払込完了のお知らせ」のとおり、2021年3月29日付で、当社は日本郵政に対する第三者割当による新株式の発行を行いました。
日本の物流業界においては、国内Eコマース市場拡大に伴う物流量の増大による不在再配達の増加及び人手不足への対応や、荷物の出し手と受け取り手の多様化する要望に応える安定した物流サービスの持続的な提供が課題となっています。こうした中、当社は、「楽天市場」における商品の注文からお届けまでの仕組みを一気通貫で管理する包括的な物流・配送サービス「ワンデリバリー」構想を2018年に掲げ、商品の保管から出荷までの物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」の物流センターを全国に拡大してきました。
さらに、省人化・自動化のための倉庫機器を導入した効率的な物流センターを運営し、当社の購買データやAI技術の活用による受注予測、在庫情報の連携を通じて最適な在庫配置を行うことで、配送スピードの向上及び倉庫作業コストと配送コストの削減を目指してきました。
こうした背景から、当社と日本郵便は主に物流分野において、共同の物流拠点の構築、共通の配送システム及び受取サービスの構築等による効率化を目指し、両社が出資する新会社を設立することに合意しました。今後、両社は、連携を強化し、新たな物流DXプラットフォームの構築を図っていくとともに、他のEコマース事業者や物流事業者にも同プラットフォームへの参加を促進することで、国内の物流環境の健全化及び持続可能な社会の実現に貢献していきます。
具体的には、当社が投資・開発してきた省人化・自動化された物流センターを、日本郵便の配送ネットワークに組み入れ、合弁会社を通して共同運用することで、物流DXを実現し、「顧客UXの改善」(注1)、「リードタイム短縮」(注2)、「物流効率化」(注3)・「キャパシティ最大化」(注4)等を目指します。また、ドローンやUGVを用いた次世代の配送についても共同で取り組んでいきます。
なお、合弁事業の開始当初においては、楽天市場を中心とする当社が提供するECサービスの荷物を中心に取扱うものの、今後は、他の配送会社及び荷主も参加可能なオープンなプラットフォームの構築を目指します。
(注1)「顧客UXの改善」とは、顧客の受取ニーズの多様化への対応、配送作業の平準化及び荷物の一括配送による配送作業の効率化を実現するスマートフォンアプリの開発及び同アプリのUIの構築等。
(注2)「リードタイム短縮」とは、物流センターと配送ネットワークの統合、都市圏を中心とした当日配送が可能な地域の拡大及びその他の地域における翌日配送の拡充のため、物流センターの出荷時間及び配送ネットワークの運行時間をより密接に連動させることで、注文からお届けまでの時間を短縮すること等。
(注3)「物流効率化」とは、当社及び日本郵便のオペレーション統合による両社の重複作業の排除、再配達の削減及び荷物の一括配送を活用した配送の効率化等による生産性の向上、AIを活用した物流センターから配達局までの幹線ネットワーク及びラストワンマイル配送ネットワーク等の配送ルート最適化や柔軟なオペレーション導入による配送費の削減等。
(注4)「キャパシティ最大化」とは、本分割によりJP楽天ロジスティクスに承継される物流センター以外にも将来の共同投資による物流センターの出荷能力を拡大すること及び配送効率向上により配送キャパシティを拡大すること等。