Corporate Topics「Back to Basics Project」

Corporate Topics
楽天グループ人事統括部の挑戦
「Back to Basics Project」
代表取締役 副社長執行役員
百野 研太郎

“勝てる人材、勝てるチームを作る”という基本目標に立ち返り、
それを実現するための大規模な人事改革プロジェクト

楽天グループ人事統括部では、「Back to Basics Project」を推進しています。Back to Basics とは、“勝てる人材、勝てるチームを作る”という楽天の人事の基本目標に立ち返ることを意味します。本プロジェクトを「前例のない大規模な人事改革」と位置づける代表取締役 副社長執行役員 百野研太郎に、本プロジェクトがスタートした背景、現在の進行状況、そして今後の目標について聞きました。

従業員の多様で
オープンな企業文化のもと、
力を最大限に引き出すために

楽天グループは、「グローバル イノベーション カンパニー」として、世界基準の革新的なサービスを生み出していくことを目指しています。そのなかで大切にしているのが、多様な人とアイデアがオープンに行き交う企業文化。異なるバックグラウンドを持つ、多様性に富んだ従業員一人ひとりが最大限に力を発揮できるような、制度や環境づくりを推進しています。

事業の成長に伴い、従業員数はここ数年増加し続けており、従業員の出身国・地域数は100を超え、社内環境は日々目まぐるしく変化しています。
日本国内において、楽天ほど多様でオープンな環境はあまり例がないと思いますし、大変誇りに思っています。ー方で、多様性と事業規模が拡大してくると、どうしてもコミュニケーションは複雑化し、相互理解の難易度も高まります。この課題を乗り越え、従業員一人ひとりの力を最大限に引き出す環境を整え、“勝てる人材、勝てるチームを作る”べく立ち上がったのが、この「Back to Basics Project」です。

大規模な調査から見えてきた
課題解決に向け、従来の
採用・育成プログラムを刷新

まず私たちは、楽天の人事面の現状を把握し、課題を明確化するために、3つの取り組みを行いました。1つ目が、従業員へのインタビュー。現職者はもちろん、ときには退職者に直接お会いしてお話を伺い、様々な視点から課題感をシェアしてもらいました。2つ目が、従業員サーベイの実施。集められた組織や人材に関するデータを、多角的に分析しました。3つ目が、楽天の人事スタッフ全員との面談です。これらの取り組みによって導き出された課題は「採用」「育成」「定着」という3つの面での進化の遅れでした。各事業に求められる人材を採用し、中長期的に活躍できる人材へと育成することで、働き続けたいと思える環境を整える。いずれも人事の基礎的な活動ですが、それらの変革が、実際の環境変化に大きく後れをとっていたのです。そこで、従来の採用・育成プログラムをすべて見直すことを決断しました。非常にタフな道のりになることは見えていましたが、絶対に必要な変革であるという信念のもと、人事部のスタッフが一丸となって取り組みました。

想定を超えたスピードで
見え始めた成果

「Back to Basics Project」は、確かな成果が見え始めています。

「採用」の面では、採用プロセスの改善や採用ブランディングの強化への取り組みが、採用人数の確保や、採用ランキングの向上などの結果につながってきています。

「育成面」では、まず週1回を原則とするマネージャーと部下の1on1ミーティングの全社導入を行いました。上司は、部下の仕事の「結果」のみを注視するのではなく、「プロセス」についてもきちんとヒアリングをし、ときにはアドバイスをする。部下を高く評価しているなら、それをしっかりと伝える。そういった具体的でわかりやすいフィードバックを含めたミーティングによるコミュニケーションの活性化を目指しています。もちろん、フィードバックにもテクニックが必要ですので、並行して管理職向けの「フィードバック研修」も始めました。また、集合・体験型研修として新たに計38の集団学習プログラムが開発され、参加者への事後調査では満足度90%以上という結果が出ています。

「定着」の面では、従業員のパフォーマンスがより正当に反映されるよう、評価・報酬制度を刷新しました。さらに長期就労者を対象に退職金制度も新設したほか、在宅勤務制度や時差通勤制度の拡大、フレックス制度の導入など、従業員のニーズに応じた多様な働き方を推進しています。さらに、「人材育成マップ」も作成しました。これは、楽天で積み重ねられるスキルやキャリアを明確化するもので、従業員が中長期的に楽天でのキャリアプランを描くことができるようにすることを目指しています。

このほかにも、楽天グループ全体のタレントマネジメントと要員管理を同時に可能にするシステムを一斉導入するなど、人事管理システムなどのインフラ改善にも取り組みました。当プロジェクトがスタートした当初、外部のコンサルタントからは「これほどの抜本的な変革は、結果が出るまでに5、6年はかかる」と言われましたが、成果はわずか1年半で見えました。これは実行スピードが速い楽天ならではのことと言えるのではないでしょうか。

今後取り組むのは、
グローバルでの
タレントマネジメントの実現

グループ共通で使える人事管理システムを導入したことで、世界にいる楽天グループ従業員の情報を一元管理できるようになりました。国や言語を超え、必要な人材を必要なポジションに配置するといったシームレスなタレントマネジメントは、公用語が英語である楽天だからこそ実現できるものであり、組織をより強くしていく基盤となるはずです。

これから先、日本社会にもダイバーシティに富んだ企業は増えていくでしょう。楽天はその先駆者として、誰もが働きやすい環境の理想型を世に発信していきたいと思っています。また、日本においてグローバルな人事業務を経験できる場所は、まだ楽天のほかに少ないのではないでしょうか。そういう面でも、楽天には稀有でハイレベルなキャリアを積める環境があると思いますし、私たちは、これからも人事プロジェクトを洗練化し、施策を全世界へと拡げていきます。ここには、人事のプロフェッショナルとして真にグローバルな力を磨けるチャンスが溢れています。人事という仕事を通じて成長したい方、グローバルな志向を持つ方には、ぜひ楽天でその手腕を発揮していただきたいです。

※インタビュー当時の情報です。