【総評】
■ 情報公開の「タイミング」「内容」「手法」がカギ!メガバンクが人気上昇
新倫理憲章2年目を迎えた2014年度卒業学生の就職人気企業の総合ランキングは、人気企業の電通、伊藤忠商事を抑えて、1位 三菱東京UFJ銀行がランクインした。他にも、6位に三井住友銀行、9位にみずほフィナンシャルグループが名を連ね、メガバンクの人気上昇ぶりが伺える結果となった。これは各社が、12月の情報公開開始から間をおかず、12月中旬にはセミナーなどのイベントを実施し、学生に正しい業界や企業への理解を促したことが奏功した結果といえる。同様に、12位にランクインした大日本印刷も、12月から積極的に学生と接触する機会を数多く持ったことが奏功し、B to B企業でありながら上位にランクインしたと考えられる。
上位30位までを見ると商社、マスコミといった従来からの人気企業と、いわゆるBtoC企業が9割を占めているが、昨年同様認知度を優先する学生に対し、より理解を深めてもらうべく積極的に動いた企業がさらに人気を高めたとみている。
■ インターンシップが効果的、学生と企業の相互理解が重要
昨年より25位も順位を上げ10位となったP&G Japanや同じく23位も上昇したユニ・チャーム、過去最高位の17位となったニトリなどは、早期からのインターンシップの導入、企業理解セミナーなどを通じて魅力を伝えてきたことが功を奏し、昨年よりも大幅に順位を上げている。在学中に職業体験やセミナーなどを通じて企業の理解をすることは、双方にとってメリットがあり、それを積極的に行っている企業が順位を急上昇させる結果となった。
【考察】
■ 総合ランキング
総合ランキング1位は三菱東京UFJ銀行、2位は全日本空輸(ANA)、3位は電通だった。これらの企業は、毎年不動の人気企業である。志望理由をみていくと学生の志向は「どんな仕事ができるか」と「どんな魅力のある会社か」の2軸がみて取れる。三菱東京UFJ銀行は「スキルが身につく」という仕事の魅力に着目されており、全日本空輸(ANA)は会社の魅力である「女性活用の姿勢が強い」「教育研修に熱心」、電通は「仕事が面白そう」と仕事の魅力が注目されている。
■ 文理系別ランキング
文理系別に見ると、文系の1位は三菱東京UFJ銀行、次いで2位に全日本空輸(ANA)、3位は伊藤忠商事という結果となった。一方、理系は、1位が味の素、次いで2位にキヤノン、3位は資生堂がランクインした。
文系トップ2は、総合ランキングと同じ順位になっており、3位 伊藤忠商事の志望理由は、「若いうちから活躍できる」「成長性が高い」という理由が多かった。また、理系トップの味の素は志望理由をバランスよく集め、キヤノンは「技術力がある」との回答が多かった。
■ 魅力別ランキング
「企業のどこに魅力を感じたのか?」という視点からも意見を聞き、学生の志向性を分析した。
「スキルが身につく」というテーマでは、メガバンクを抑え、総合34位の三菱UFJ信託銀行が1位となった。これは、スキルを身につけたいと考える学生が、特定の事業に特化した専門性に着目している結果であるといえる。環境保全に対する学生の関心の高さをうかがわせる「地球環境に配慮している」というテーマでは、住宅メーカーで唯一太陽光パネルを生産し環境貢献を目指す一条工務店や、植林活動などの環境保全活動の取り組みを、セミナーを通じて伝えてきた住友林業が高い支持を得た。
また、採用活動における各企業の姿勢もランキングに大きく影響し、「セミナー・説明会での説明が詳細でわかりやすかった」というアフラックが1位になっている。「採用担当者と接して好感が持てた」というテーマではノバレーゼ、ミキハウス、旭化成ホームズがランクインし、「一般社員と接して好感が持てた」というテーマでは三井住友海上火災保険が1 位となっている。この4社の公開情報を見てみると、採用HPやFacebookにおいて、実際のセミナーに出席した採用担当者が多数登場したり、セミナーレポートを掲載したりするなど、セミナーで伝えた情報をより理解できるよう努めており、学生に深い企業理解を促すことに成功しているようだ。同様にソーシャルメディアを積極的に活用し、多面的な情報公開を展開するNTTドコモは、通信・ネットワーク業界において高い人気を得る結果となっている。