2006年1月16日
株式会社三菱総合研究所
情報通信技術研究本部
楽天リサーチ株式会社

FMCサービスに対する高い期待、16.4%がサービス開始後すぐに利用と回答 
第19回携帯電話コンテンツ/サービス利用者調査結果より

 楽天リサーチ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:森 学)と株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:田中 將介、東京都千代田区大手町二丁目3番6号)は、15歳から69歳の男女を対象に、「第19回携帯電話コンテンツ/サービス利用者調査」を行った。

 調査は、11月30日から12月2日にかけてWeb上で実施され、回答者は2,520人(男性50.0%、女性50.0%)、そのうち主要4社(NTTドコモ・au・ボーダフォン・TU-KA)の携帯電話利用者(※)は2,139人(回答者の84.8%)であった。
※以下、特に記載がない限り、記事中の数値は主要4社利用者に対する割合とする。

 第19回調査は、最近注目されているFMC(固定モバイル融合)サービスと携帯電話を通じた情報提供サービスについて調査した。
1.FMC(固定モバイル融合)サービスの利用意向
 FMCとは、Fixed-Mobile Convergenceの略で、携帯系サービスと、加入電話やIP電話などの固定系サービスとを融合・連携させるサービスの総称である。海外では、英国のBritish Telecom(BT)が開始した「BT Fusion」が話題となっている。BT Fusionでは、1つの端末(ワン・デバイス)、1つの電話番号(ワン・ナンバー)、1つの請求書(ワン・ビリング)というテーマのもとに、携帯電話端末を使って自宅のADSL回線を通じて電話も発着信できるといったサービスを開始している。
 日本国内では、BT Fusionのようなサービスまでは実現されていないが、携帯電話と固定電話等の利用料金を同一請求書で支払うことができるといったサービスも出てきている。また、将来の主要サービスの一つとして、FMCサービスを掲げている通信事業者も現れてきている。
 本調査ではこうした背景を受け、日本でも今後の拡大が期待されるFMCサービスについて、ユーザの利用意向などの調査を行った。
(1)FMCサービスとして関心のあるサービス
 FMCサービスの特長やメリットの中で関心があるものを選択してもらったところ、もっとも多かった回答は、「A.外出していても、自宅にかかってきた電話を携帯電話で受けることができる」であった。これについては、回答者の5割以上が「関心がある」としている。また、「C.固定電話の番号にかかってきた電話を、携帯電話でも受けることができる」という点にも4割以上の回答者が「関心がある」としている。このように、固定電話と携帯電話で、ワン・デバイス、ワン・ナンバーが実現されることに、とくにユーザの関心が高い傾向にある。
 次に、料金面に関するユーザの関心が高い傾向も現れている。「B.固定電話等とセットで携帯電話を契約すると料金が割安になるプランが利用できる」、「D.自宅で携帯電話を利用した場合に、固定電話等と同水準の低料金で利用できる」といった、利用料金水準の低下についてもユーザの関心度が高い傾向にある。

【図1】FMCサービスとして関心のある内容
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release01.jpg
(2)FMCサービスの利用意向
 (1)で取り上げたようなFMCサービス全般について、ユーザの利用意向を尋ねたところ、携帯電話ユーザの16.4%が「サービス開始後すぐに利用したい」と回答した。また、携帯電話利用者の6割以上が将来的にFMCサービスを利用したい、と回答しており、同サービスに対するユーザの関心・期待は大きいことがうかがえる。

【図2】FMCサービスの利用意向
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release02.jpg
(3) FMCサービスを契約したい事業者
 FMCサービスを利用したいと回答したユーザについて、具体的にどういった事業者と契約を行いたいかについて尋ねたところ、「現在利用している携帯電話会社」と契約したいという回答者が3割以上を占めた。
 ただし、年齢層によって回答に違いがあり、10代から40代までの比較的若い年齢層では、「現在利用している携帯電話会社」という回答がもっとも多い。しかし、50代以上の年齢層では「現在利用している固定電話会社」という回答がもっとも多くなっている。また、年齢層が上がるほど、「現在利用しているインターネット接続回線サービス事業者」と契約したい、という回答も増える傾向にある。すなわち、若年層は携帯系サービス事業者と、高年齢層は加入電話やインターネット接続回線などの固定系サービス事業者と契約したい、という傾向が明確に現れている。
 また、FMCサービスの利用意向者の4.5%は、「上記以外の事業者」と契約したいとしている。これには例えば、現在利用している通信サービス事業者とは異なる別事業者と契約したい、という回答者が含まれている。したがって、FMCサービスのサービス内容によってはキャリアチェンジしたい(またはキャリアチェンジも許容する)といったユーザが存在していることがうかがえる。

【図3】FMCサービスを契約したい事業者
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release03.jpg
2.情報提供サービスの利用意向
(1)シチュエーションを考慮した情報提供へのニーズ
 携帯電話を通じたプロモーションは、従来型の広告メールやクーポンメールを送付するタイプとともに、時間や場所などのシチュエーション情報を考慮したマーケティングのツールとしての方向性も志向されつつある。具体的には、ユーザのいるエリア、時間帯や本人の特徴(消費パターン、趣味・関心など)といった情報を生かしつつ、本人がいる場所や状況に適したプロモーション情報の提供を行うというものであり、シチュエーション準拠型プロモーションと呼ぶこととする。
 このような情報提供サービスの事例としてはオムロンがシステムを開発し、小田急電鉄などで提供されているグーパスなどのサービスを挙げられる。グーパスは定期券の情報と連動し、登録したユーザの向かうターミナル駅に対応した店舗などの情報を配信するものであり、配信形態も単なる情報提供だけではなく、電車の待ち時間や電車内の時間つぶし用にクイズやゲーム画面とともにプロモーション情報を配信するという形もとれるようになっている。

 シチュエーション準拠型のプロモーション情報提供へのニーズについてみると、「外出先に、ポイントが使えるお店やポイントが貯まるお店があると、そのお店からのポイントに応じた優待などの情報が配信されるサービス」、「おサイフケータイを店頭などに設置している読み取り端末にかざせば、クーポン券やおすすめ商品などの情報を携帯電話にとりこむことができるサービス」の2つのサービスの利用意向が高くなっている。このように携帯電話を通じたプロモーションにおいては、情報提供のみならず、ポイントや優待などの金銭的メリットがあることが重要な要素である。また、単に利用者が位置する特定のエリア内のお店の情報を提供するよりも、サービスやプロモーションの分野や利用者の特性で、あらかじめ絞り込んだ情報を提供するケースの方がやや利用意向が高くなっており、こうした要素もある程度重要と考えられる。

【図4】シチュエーション準拠型情報提供へのニーズ
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release04.jpg

 性・年齢別にみると、ポイントが使える店舗からの情報配信やおサイフケータイを通じた情報取得は、10代から40代において高いニーズがあるが、女性はとくに10代から30代において意向が高い。なお、ポイントが使える店舗からの情報配信は女性の10代、20代で男性の同年代と比べてニーズが高くなっている。同様の傾向は「あらかじめ自分の趣味や興味のあるお店の特徴を登録すると、外出先のエリア内にそのようなお店があった場合にのみ、そこからの情報が配信されるサービス」にみられる。

【図5_1、_2】性・年齢別のシチュエーション準拠型情報提供の利用意向
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release05_1.jpg
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release05_2.jpg

 次に、現在タウン誌やクーポン誌といった情報源の利用頻度別にこうしたシチュエーション準拠型の情報提供サービスへのニーズをみた。ここでは情報源の活用頻度に基づいて以下の3つの層に分けて関連をみた。

●高活用層:タウン誌やクーポン誌といった情報源のうちいずれかを月に1回以上活用
●中活用層:タウン誌やクーポン誌といった情報源のうちいずれかを半年に1回以上活用
●低活用層:タウン誌やクーポン誌といった情報源のうちすべてを年に1回以下しか利用していない

 ただし、このようなタウン情報活用頻度は年齢とも高い相関を持つため、ここでは、年齢層を20代と50代に絞って、タウン誌・クーポン誌の活用頻度による3層別分析を行った(20代はこれらのサービスの利用意向がかなり高いとともに、50代以降はニーズが減退する傾向がみられるため、両群をみることで、そもそも感度の高い(低い)層の中でもタウン情報の活用状況による差がみられるのかどうかを明らかにすることができると考えた)。
 この結果をみると、20代においても50代においてもタウン情報の活用頻度が高いほどシチュエーション準拠型の情報提供に対するニーズは高いことがわかる。たとえば50代においても利用意向層の比率は高活用層とそうでない層とで20%から30%の開きがあることがわかる。

【図6】タウン情報の活用頻度別シチュエーション準拠型情報提供の利用意向
   (20代と50代)
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release06.jpg
(2)シチュエーション準拠型情報提供を受けたい店舗および情報内容
 携帯電話を通じたシチュエーション準拠型の情報提供を受けたい店舗についてみると、「飲食店」が79.1%ともっとも高くなっており、次が「百貨店」の46.8%となっている。
 男女年齢別にみると、飲食店や小売店は年齢によらず高い指摘率となっているのに対し、レジャー施設やレンタルビデオといった店舗については、若年層の指摘率が高い 。
 これを1つだけに絞ってもらった場合、やはり「飲食店」が52.8%と過半数を占める割合となっている 。

【図7】シチュエーション準拠型情報提供を受けたい店舗(複数選択)
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release07.jpg

 選んだお店からの情報として望まれているのは、「クーポン付のメニューや商品情報」(72.6%)「特別限定メニューやおすすめ商品についてのお知らせ」(46.9%)「タイムセールス、時間限定割引情報」(43.5%)といった情報であり、やはりお得感の要素が重要視されている。
 ただし、これは店舗の商品・サービスや業態に依存しており、飲食店であれば「クーポン付のメニューや商品情報」や「特別限定メニューやおすすめ商品についてのお知らせ」「お店までの道のりや地図、道順」が高いが、百貨店・スーパーでは「タイムセールス、時間限定割引情報」がもっとも高くなっており地図のようなアクセス情報は低くなっている。また、レジャー施設などでは「待ち時間や残席情報」へのニーズが高くなっている 。

【図8】シチュエーション準拠型情報で受けたい内容
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release08.jpg
(3)状況別配信情報の形態
 受け手の状況に応じて望まれる配信情報の形態も変わってくる。電車など交通機関の待ち時間や利用して移動中の場合には、「主としてニュースやパズルやゲーム等の情報が配信されて、副としてお店の情報が表示される」ような形式を望む層は43.4%であるのに対し、街中を歩いているときでは、「お店の配信情報が主として表示される」形式を望む声は8割に達する。

【図9】状況別配信情報の形態へのニーズ
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0116/release09.jpg
(4)利用阻害要因
 利用意向を示さない層について、利用上の阻害要因をみると、「個人情報の流出が心配だから」「参考になりそうな情報は少ないと思うから」が比較的高くなっており、個人情報管理の訴求は重要である。
3.回答者の属性
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【参考】楽天リサーチ(株)
2005年6月に楽天(株)の子会社となった(株)サイバーブレインズが2005年11月30日より社名を変更したもので、現在はポータル・メディア事業カンパニーに属する。

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