持続可能なサプライチェーン

基本的な考え方

楽天グループは、サプライチェーンにおける透明性と責任ある事業活動を大切にしています。
世界中のサプライヤーの皆様と共に、サプライチェーンにおける様々なリスクの軽減、環境や人権保護等に取り組み、楽天のプラットフォーム上で購入された商品が倫理的な形で作られ、迅速にお客様のもとに届けられるよう努めています。
サプライヤーの皆様とサステナビリティに関する共通の認識を持つため、「楽天グループサステナブル調達インストラクション」「楽天グループサステナブル調達行動規範」を策定し、サプライヤーの皆様に期待する行動を規定しています。

マネジメント体制

調達担当者は、COO(最高執行責任者)の監督のもと、楽天の最低基準を満たすサプライヤーを選定しています。そして、各事業部による調達活動が前述のポリシーに記載されたその他のESG基準に沿って行われていることを、サステナビリティ部が確認しています。
これらの取り組みの状況については、人権分科会およびグループのサステナビリティ委員会に定期的に報告されています。なお、人権分科会とサステナビリティ委員会は、取締役会によって監督されています。

楽天のサプライチェーン

サプライチェーンとは、原材料調達から実際にお客様に商品が届くまでの一連の流れを指します。楽天のサプライチェーンは、多岐にわたる製品やサービスの種類に応じて、デザイン・設計から始まり、製品の組み立て、物流に至るまで多くのプロセスで構成されています。その過程で、原材料や部品、機器などの有形物、サービス開発や維持に必要なソフトウェアやシステム、デジタルコンテンツなどの無形物、人材やコンサルティングなどのサービスの調達活動が日々行われています。

サプライヤー選定

私たちは、持続可能なサプライチェーンを構築し、消費者からサプライチェーンに携わる人々に負の影響を与えることがないよう、取り組みを進めています。
その第一歩は、楽天と価値観やコミットメントを共有できる適切なサプライヤーを選定することから始まります。

楽天は、サプライヤーを以下の最低基準で評価しています:

これらの基準を遵守できないサプライヤーは、楽天との契約から除外されます。
ビジネス関係を持つサプライヤーに、サプライヤー向け行動規範に記載されているすべてのESG要件に対応いただくことによって、強固で信頼できる倫理的なパートナーシップを築くよう努めています。

重要サプライヤーの特定

楽天では、サプライチェーンにおけるサステナビリティ推進にあたって、重要サプライヤーを以下のように定義しています。

重要な製品・事業の
サプライヤー
  • 楽天のロゴや公式キャラクターを使用した製品のサプライヤー
  • 楽天にとって戦略的に重要な事業のサプライヤー
取引量の多い
サプライヤー
一定の金額以上のお取引があるサプライヤー
リスクの高い業種・業務
に携わるサプライヤー
環境・社会・倫理的リスクの高い産業に携わるサプライヤー。
例えば、紛争鉱物や社会保護対策が不十分な国に関わる事業などを含む。

戦略

楽天のサービスや商品に携わる数多くのサプライヤーに対し、全事業においてサステナビリティへの取り組みを直ちに実践することは必ずしも容易ではありません。
そこで楽天では、重点事業を特定し、段階的なサプライヤーへの働きかけを行っています。

楽天ブランドを象徴する製品を取り扱う事業 (+詳細を見る) 直販型事業 (+詳細を見る) BtoB事業 (+詳細を見る)

その一例として、サプライヤー評価は毎年実施されており、その監査の過程で得られた発見事項などの知見は、上級管理職および調達部門の従業員に共有されます。
これにより、グループの調達慣行とサプライヤー向け行動規範のESG要件との間に矛盾が生じないようにしています。

サステナブル調達に関する方針の浸透

楽天では、「楽天グループサステナブル調達インストラクション」および「楽天グループサステナブル調達行動規範」の周知と理解促進のため、サプライヤー向けにオンライン説明会を開催し、参加したサプライヤーにはガイドラインの遵守とともに、誓約書への署名をお願いしています。
また、調達側である楽天の従業員が理解を深めるため、サステナブル調達に関するEラーニング研修を実施しています。

サプライヤー調査・モニタリング

楽天では、重点事業におけるサプライヤーの取り組み状況を確認し、サプライチェーンにおける課題の把握と解決を目指しています。課題が見つかったサプライヤーに対しては、サプライチェーンから排除するのではなく、一緒に課題を解決していくことを目指しています。

対象サプライヤーの特定 (+詳細を見る) 説明会の実施 (+詳細を見る) 対象サプライヤーに質問票(SAQ)を送付 (SAQ) (+詳細を見る) SAQ回答結果の分析 (+詳細を見る) 監査 (+詳細を見る) サプライヤーへのフィードバック (+詳細を見る) キャパシティビルディング (+詳細を見る)

リスクレベルの分類

サプライヤーには、満たす基準の数に応じてリスクレベルが割り当てられます。
この基準には、特にサプライヤーがサステナビリティに対する理解度・実行状況等を自己評価するための質問票(SAQ)の結果が含まれます。リスクレベルに応じ、私たちのサプライヤーへのエンゲージメント方法は異なっており、メールによるフィードバックから現地監査まで多岐にわたります。

質問票(SAQ)回答結果に加え、サプライヤーカテゴリー、取引量、工場業務の有無などを考慮し、以下のようなリスクレベルをそれぞれ設定し、対策を講じています。

リスク分類基準 リスクレベル エンゲージメント手法
1.SAQの結果、行動規範への重大な不適合が1つ以上 2.楽天ブランド製品/または重要部品のサプライヤー 3.年間取引金額が1,000万円以上 4.工場業務がある
1日監査
- インタビュー
- - - メールによる
フィードバック

フィードバックの提供とキャパシティビルディング

どのようなエンゲージメント方法が選ばれたとしても、私たちはすべての重要なサプライヤーに適切なフィードバックを提供することにおいて、細心の注意を払っています。これにより、私たちのアセスメントがより持続可能なビジネス慣行の機会を提供することを目指しています。
特に、監査の対象となるサプライヤーには、私たちのポリシーに対する重大な違反があった場合、是正措置計画を策定することを求めており、参考資料の要求やガイドラインの共有とともに行われています。是正措置計画の内容とその完了は、サステナビリティ部によって慎重にレビューされています。
このようにして、私たちはサプライヤーの具体的な状況に合わせた持続可能なサプライチェーンの構築に努めています。

取り組み事例

2023年度のサプライヤーエンゲージメント

2023年は、対象外のサプライヤーを除くTier‐1の全206社のうち201社の重要サプライヤーに加え、18社の非Tier‐1サプライヤーを特定しました。これらは、外注支出の56.35%を占めています。152社には当社の説明会へご参加いただき、104社からSAQへのご回答をいただきました。
SAQの平均得点率は67.4%で、前年と比べ1.1ポイントの改善となりました。調査結果によると、「人権の尊重」が74.6%で評価されたトピックの中で最も高い得点率を達成した一方、「環境の保護」については51.9%で最も低い得点率でした。また、従業員数が99人未満のサプライヤーではトピックに関係なく一貫して平均以下の得点率を記録しているという傾向も明らかになりました。さらに、89社の回答が当社のサプライヤー行動規範に示された期待水準を何らかの点で満たしておらず、顕在的または潜在的な重大な負の影響があると考えられることが判明しました(高リスク9社、中リスク2社、低リスク78社)。
高リスクのサプライヤー9社のうち4社に対しては監査を実施し、労働安全衛生や化学物質管理に関連する課題などにおいて当社のサプライヤー行動規範への不適合が明らかになりました。監査の結果をまとめた報告書はサプライヤーに共有され、現在、是正措置計画を実行中となっています。
これらの活動の結果、昨年は顕在的または潜在的な重大な負の影響があると考えられるサプライヤーとの契約は継続しており、引き続き当社の重要なサプライヤーとしてお取引させていただいています。

従業員教育

楽天の全従業員は、少なくとも年に1度、人権および環境リスク、特にサプライチェーンに関するリスクや、これに関わるポリシーについて扱うサステナビリティ関連のEラーニングを受講しています。雇用形態に関わらず、すべての従業員が日常業務において調達活動に関わる可能性があるため、このような研修はすべての従業員にとって重要となっています。特に調達業務に従事する従業員に対しては、内部規定および関連法令に従って楽天の調達プロセスを遵守するために、追加の研修が定期的に行われています。

相談・報告窓口

楽天では、サプライヤーの相談窓口として「サプライヤーホットライン」を設置しています。楽天の役員、従業員、関係者による、楽天グループサステナブル調達インストラクションに対する違反またはそのおそれがある行為について、通報いただけます。