気候変動
より良い環境を築き、次世代に引き継ぐために、
楽天は気候変動への取り組みをリードします。
気候変動は、気候パターンの変化や異常気象のリスクにより、世界中の人々だけでなく、様々な企業や楽天グループの事業に影響を及ぼす、今日の社会において最も差し迫った課題の一つです。
楽天グループは、グローバル企業としての責任を果たし、楽天グループのミッションを達成するために、パリ協定に沿った脱炭素社会の実現を目指します。
そのために、温室効果ガスの排出量を測定・開示し、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの利用、お客様による楽天グループの商品やサービスの利用で発生する排出量の削減を支援することで、バリューチェーン全体における温室効果ガスの排出を削減します。
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TCFD インデックス
要求項目 | 推奨開示内容 | リンク |
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ガバナンス | 気候関連のリスク及び機会に係る組織のガバナンスを開⽰する | ガバナンス |
戦略 | 気候関連のリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画への実際の及び潜在的な影響を、重要な場合は開⽰する | 戦略 |
リスク管理 | 気候関連のリスクについて組織がどのように特定・管理・評価しているかについて開⽰する | リスク管理 |
指標と目標 | 気候関連のリスク及び機会を評価・管理する際に使用する指標と目標を、重要な場合は開⽰する | 指標と目標 |
ガバナンス
楽天グループ全体で気候変動に対するアクションを推進していくためには、強力なマネジメント体制が必要です。
そこで2022年1月に、環境問題へ対応するための戦略を立案・実行する環境経営推進部を設立しました。また、グループ横断での推進体制や報告ラインも整備しました。サステナビリティ委員会のもとに、環境分科会を設置し、四半期に一回会議を開催しています。
気候変動に関する課題はCOOがマネジメントしています。環境経営推進部および環境分科会は、様々な関連チーム・組織・国際的イニシアチブと綿密に連携し、楽天の全事業部門に対して自組織が環境に与える影響に責任を持つよう働きかけていきます。
事業ごとに環境経営推進部と連携する担当者(環境PIC)を任命し、実務推進やそれに伴うリスク管理等、環境推進活動に関わる幅広い取り組みを行っています。
取り組み内容や進捗は随時サステナビリティ委員会に報告され、さらなる分析や重要な意思決定が行われます。そしてその内容は、取締役会に報告されます。
戦略
気候変動に関連する移行リスク(脱炭素社会への移行に関連したリスク)、物理リスク(気候変動の物理的影響に関連したリスク)、機会を特定するため、楽天グループ全体を対象にシナリオ分析を実施しました。
設定したシナリオと参照資料
シナリオ | 参照資料 |
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急速に脱炭素社会が実現するシナリオ (1.5℃シナリオ) |
国際エネルギー機関(IEA)のNet Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE) |
物理的影響が顕在化するシナリオ (4℃シナリオ) |
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書のRepresentative Concentration Pathways(RCP8.5) |
特定したリスク・機会と対応策・取り組み
1.5℃シナリオ | |||||
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区分 | 種別 | 主なリスク・機会 | 時間軸 | 影響度 | 対応策・取り組み |
移行リスク | 政策・ 法規制 |
環境関連指標に関する報告義務強化 | 短~長 | 小 | ・環境データ収集に係る社内体制の見直し、強化 |
カーボンプライシング(炭素税等)導入 | 中~長 | 小 | ・エネルギー効率改善/再生可能エネルギー導入によるGHG排出量削減の取り組み強化 | ||
市場 | 脱炭素製品・サービスの開発・提供遅延による売上機会喪失 | 中~長 | 小 | ・環境配慮型サービスの取り組み強化 ・環境意識向上に資するキャンペーンの実施促進 |
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評判 | 気候変動対策が不十分とみなされた場合の売上減少、評価低下 | 中~長 | 小 | ・ESG関連情報開示の積極化 ・GHG排出量削減の取り組み強化 |
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機会 | 資源の 効率性 |
気候変動対応に向けた新技術導入の拡大 | 短~長 | 大 | ・人工知能(AI)技術を活用した資源配分の最適化に向けた取り組み強化 |
エネルギー源 | 炭素価格の上昇を受けた再生可能エネルギー利用増加 | 短~長 | 中 | ・RE100加盟を通じた再生可能エネルギーの利用促進 | |
製品/ サービス |
環境意識の高まりによる顧客の環境配慮行動増加 | 短~長 | 中 | ・GHG排出量削減の取り組み強化を通じたブランドイメージ向上 ・社外への情報発信強化 |
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市場 | 公共セクターのインセンティブ増加 | 短~長 | 中 | ・自治体等の公的プロジェクト参画によるレピュテーション向上 |
4℃シナリオ | |||||
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区分 | 種別 | 主なリスク | 時間軸 | 影響度 | 対応策・取り組み |
物理リスク | 急性 | 異常気象(干ばつ、洪水、台風、ハリケーン等)発生による事業被害増加 | 短~長 | 中 | ・BCP(事業継続計画)の見直し、強化 ・防災対策強化 |
慢性 | 気温上昇によるデータセンター機器冷却用の電力コスト増加 | 中~長 | 小 | ・データセンターにおけるエネルギー効率向上の取り組み強化 ・エネルギー効率向上に向けた研究開発促進 |
時間軸・影響度に関する定義
【時間軸】 | |
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表記 | 説明 |
短期 | 直近3年 |
中期 | -2030年 |
長期 | 2030年以降 |
【影響度(リスク)】 | |
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表記 | 説明 |
小 | ほとんど影響しない |
中 | サービス・業務遅延 |
大 | サービス・業務一時停止 |
【影響度(機会)】 | |
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表記 | 説明 |
小 | ほとんど影響しない |
中 | 一部のサービス・業務に影響 |
大 | グループ横断的に影響 |
リスク管理
気候変動に関するリスクは、楽天グループのリスクマネジメントの枠組みである「ERM(統合型リスク管理:Enterprise Risk Management)」の一部として、環境経営推進部によって特定・評価・管理されています。
楽天のERMに関する詳細は、リスクマネジメントページをご覧ください。
指標と目標
気候変動がもたらすリスクと機会を管理するため、温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)のScope 1排出量(自らによる温室効果ガスの直接排出量)、Scope 2排出量(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出量)、Scope 3排出量(Scope 1、Scope 2以外の間接排出量)をはじめとする環境データの管理を行っています。
各指標の実績は、ESG データブックにおいて毎年6月頃に更新されます。
楽天グループは、脱炭素社会の実現に向け、2023年度の連結子会社を含めたグループ全体の事業活動における温室効果ガス排出量*1を実質ゼロにする*2、カーボンニュートラルを達成しました。
(カーボンニュートラル達成に関するプレスリリースはこちら)
2024年以降の温室効果ガス排出量の削減目標は以下の通りです。本目標は、国際的気候変動イニシアチブの「SBTi(Science Based Targets initiative)*3」によって、パリ協定の目標に合致する科学的根拠に基づいているとして、SBT認定を取得しています。(SBT認定の取得に関するプレスリリースはこちら)
対象項目 | 目標 | |
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Scope1 排出量 | 自らによる温室効果ガスの直接排出量 | ・2032年までに排出量を2022年から99.7%削減 |
Scope2 排出量 | 他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出量 | |
Scope3 排出量 | Scope1、Scope2以外の間接排出量 | ・2032年までに排出量を2022年から30.0%削減 ・2032年までに販売電力量あたりの排出量を2022年から76.8%削減 |
*1 温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量を算定・報告する際の国際的な基準である「GHGプロトコル」に沿って算出・第三者保証を取得した、Scope 1排出量(自らによる温室効果ガスの直接排出量)とScope 2排出量(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出量)の合計
*2 温室効果ガス排出量削減に向け、グループ横断で省エネルギー化・再生可能エネルギー導入に取り組み、そのうえで削減しきれない温室効果ガス発生量については、削減活動に投資するカーボン・オフセットを実施し相殺しています
*3 国連グローバル・コンパクト、CDP(気候変動対策などに取り組む国際 NGO)、WRI(世界資源研究所)および WWF(世界自然保護基金)が共同で設立した国際的な気候変動イニシアチブ
楽天の取り組み
自社の事業活動における取り組み
様々なサービスを提供する楽天の消費エネルギーの98%以上は電力であり、その95%はモバイルネットワークとデータセンター、オフィスで使用されています。
環境負荷を抑制し、よりグリーンなオペレーションにするには、施設における電力効率を改善し、使用する電力源を管理することが必要不可欠です。 E ラーニングや朝会 (毎週開催される全社朝礼)を通じて従業員の環境意識を向上させ、グループ横断で様々な施策を推進しています。
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モバイルネットワーク
楽天モバイルと楽天シンフォニーでは、AIによりRANを管理・制御する「RAN Intelligent Controller」(RIC)を活用して、4Gおよび5Gの試験用Open RANネットワークにおいて最大25%*の消費電力削減が可能であることを実証しました。
これにより特定の基地局の利用状況に応じた柔軟な制御が可能となり、ネットワーク運用が効率化されるため、より大幅な省エネルギーの実現が期待されます。*トラヒックパターンやRICの活用範囲による
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データセンター
国内のデータセンターでは、サーバーラックの隙間をブランクパネルで塞ぎ、熱気と冷気を分離することで、効率よくサーバーを冷却しています。サーバーラック間に隙間がある場合、サーバーから排出された熱風がサーバーラック内に再循環するため、サーバーの温度が上昇します。その結果、冷却効率が悪化し、エネルギー消費量の増加につながります。
ブランクパネルを取りつけることで、サーバールームの空気の流れを整え、これにより、冷却効率が向上し、エネルギーの消費を抑えることができます。 -
オフィス
楽天グループでは、一部のオフィスにおいて環境性能の高い建物を選択しています。その中には世界的な環境認証評価である「LEED認証*」を受けたオフィスも含まれており、楽天グループの本社である「楽天クリムゾンハウス」は、同認証のゴールド認証を取得している二子玉川ライズの複合施設の一部となっています。
就業時間外にはオフィス内のモニターや照明・電化製品などの電源を切り、待機電力を減らしています。また、楽天カードのオフィス(福岡県)ではオフィス内の温度設定ルールを導入しました。明るい未来に向けて前進するためには、こうした小さな一歩を積み重ねていくことが大切だと考えています。*「エネルギーと環境のデザインにおけるリーダーシップ」:非営利団体である米国グリーンビルディング協会が設立した枠組みで、環境に最も高いレベルで配慮された世界中の建築物の格付けを提供している
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スポーツ施設
楽天グループでは、スポーツスタジアムで使用する照明のエネルギー消費効率を高めるためLED化を推進しています。ヴィッセル神戸のホームグラウンドである「ノエビアスタジアム神戸」では、ホームゲーム・イベント、日常業務で使用するピッチ照明、各部屋、廊下、コンコースなどに存在する約5,800個の照明をLED化しました。
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オンサイト自家発電
米国・カリフォルニア州の支社「楽天クリムゾン・ハウス・ウェスト」では、2020年中旬から総容量92.4kWの屋上太陽光パネルを設置し、オフィスで消費される電力の一部を供給しています。
楽天西友ネットスーパー専用の物流センターである「楽天フルフィルメントセンター松戸」には、4,300枚以上の太陽光パネルが設置されています。楽天グループの倉庫では初めての太陽光パネル設置事例となりました。
バリューチェーンにおける取り組み
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ユーザーへの働きかけ
グリーンな未来の実現には、循環経済を基軸としたビジネスの主流化や、生活者による適切な選択など、スコープ1やスコープ2を超えたコミュニティ全体の努力が必要です。
2022 年に始動した「Go Green Together」プロジェクトでは、提供する様々なグループサービスを通じて、環境に配慮した生活やお買い物の選択肢をユーザーの皆様に提供することで、持続可能な社会の実現を目指しています。同プロジェクトのウェブサイト「Go Green Together」 では、気候変動をはじめとするさまざまな環境課題に一人ひとりが向き合うためのヒントや、課題解決の後押しとなるキャンペーン・サービスなどを紹介しています。
また、新たに2024年5月にリリースされたウェブサイト「Rakuten Green Empowerment」 では、ユーザーの皆様が楽天グループのサービス利用を通じて環境負荷の低減に貢献できる機会について紹介しています。 -
商品発送での工夫
インターネットショッピングが消費者の日常生活における主要な買い物手段となっている昨今、「ラストワンマイル」は荷物の配送プロセスにおいて肝となるステップです。商品の再配達はCO2排出量の増加につながり、日本では再配達によって排出される追加的なCO2が年間約 254,000*トンと推計されるなど、地球環境に対する負荷の増大につながっています。楽天は配送業者の皆様やお客様と共に、商品配送の効率化に取り組んでいます。「楽天市場」では、お客様のご都合に応じて選択できる様々な配送方法を用意しており、コンビニエンスストア、郵便局、または受け取り専用ロッカー「はこぽす」で商品を受け取ることが可能です。また、受け取りを確実にするため、配送希望日・時間帯を選択いただくことも可能です。
*国土交通省「宅配便の再配達削減に向けて」より
パートナーシップ・イニシアチブへの参加
ステークホルダーと協力して気候変動に取り組み、パリ協定が求める脱炭素社会を実現させるため、楽天グループは国内外のパートナーシップ・イニシアチブに参画しています。
気候変動に関係するパートナーシップ・イニシアチブへの参画については、楽天グループの環境ポリシー・取り組みと合致しているか、パリ協定との整合性が取れているか等を環境経営推進部が定期的に見直し、動向を注視し、現状のマネジメント体制に基づいて結果報告を実施しています。楽天グループの姿勢とパートナーシップ・イニシアチブの見解の間に相違が発生した場合は調査の上、加盟継続や脱退について検討します。
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RE100
2019 年 12 月、楽天グループ株式会社は、「Renewable Electricity 100%」を意味する国際的イニシアチブ「RE100」に参加しました。楽天グループは、このイニシアチブを通じて、すべての事業活動において「再生可能エネルギーへの 100%切り替え」にコミットしています。2023 年には楽天グループ全体で使用する電力を 100%再生可能エネルギーに切り替えることに成功しました。
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TCFD
楽天グループは 2019 年 12 月より、国際的なイニシアチブである「TCFD(気候関連財務開示に関するタスクフォース)」を支持しており、楽天のリスク軽減戦略には TCFD の提言が取り入れられています。楽天グループは、様々なシナリオについての検討を行った上で、事業全体のリスクをマッピングしています。
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気候変動イニシアチブ
「気候変動イニシアチブ(Japan Climate Initiative)」は、気候変動対策に積極的に取り組む日本企業、自治体、NGO などのネットワークです。楽天グループは、2019 年 12 月に同イニシアチブに参加し、パリ協定が求める脱炭素社会の実現に向け最前線に立つことを宣誓しました。
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CDP
「CDP」は環境情報開示のスタンダードとして、世界で広く認知されており、全世界で23,000 社超の企業が回答しています。楽天グループは 2017 年より「CDP 気候変動調査」に回答しています。
CDPへの回答はこちらからご覧ください。 -
一般社団法人 新経済連盟
新経済連盟(JANE:Japan Association of New Economy)の創設以来、楽天グループは会員企業として各種の取り組みに積極的に参画しています。2022 年に発足したカーボンニュートラルワーキンググループにも参加し、その活動を通じ他の会員企業との情報共有や議論、政府の関係部署との意見交換を重ね、GX 実現に向けたビジョンの共有と民意の反映を目指しています。
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デコ活
「デコ活」は、2050 年カーボンニュートラル・2030 年度削減目標の実現に向けて環境省が主導している「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」です。楽天グループも 2023 年 8 月にデコ活宣言を発表しました。デコ活の一環である「The POSITIVE ACTION Initiative」にも参加し、環境行動のレベル設計、CO2 削減効果の基準作り、生活者個人や国民主体の環境行動・CO2 削減効果の可視化に取り組んでいます。