2017年10月11日
  • 楽天株式会社

「楽天テクノロジー & イノベーションアワード2017」を発表

-先進的なイノベーションにより社会の変革に寄与した功績を表彰 -

  楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下 「楽天」)は、「楽天テクノロジー & イノベーションアワード2017」の受賞者を決定いたしました。表彰式は、10月28日の「楽天テクノロジーカンファレンス2017」内にて開催します。

  「楽天テクノロジー & イノベーションアワード」は、先進的なイノベーションにより社会の変革に寄与した個人・団体・製品を表彰するものです。近年、革新的な技術の発展や技術により社会に貢献した功績には金賞・銀賞、その年に開催される「楽天テクノロジーカンファレンス」のテーマにそった功績にはコンセプト賞が授与されます(注)。本年は「Head, Hands, and Heart」をテーマとしています。それぞれの単語「Head」は「AI・ビッグデータ」、「Hands」は「IoT・ロボティクス・デバイス」、「Heart」は「人材・教育」を表現しており、テーマごとにコンセプト賞を選出しました。

 本賞は、昨年まで「楽天テクノロジーアワード」として表彰していましたが、本年より名称を「楽天テクノロジー & イノベーションアワード」に改めました。当社は、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」ことを経営の基本理念としております。イノベーションを生み出し続けることで、企業の枠を越えて、人々の夢の実現を後押しするとともに、世界に喜びと楽しさを届けたいという考えから、本賞の選考基準においても革新性をより重視することになり、名称を変更いたしました。

  楽天は今後も、本賞の提供を通じて、イノベーションの重要性に対する認識を高め、社会の変革と日本経済の発展に寄与してまいります。

(注)本年は団体での受賞はございませんでした。

「楽天テクノロジー & イノベーションアワード2017」
■金賞
【受賞者】
児童書作家
リンダ・リウカス氏

<受賞理由>
  近年、社会におけるダイバーシティの重要性が論じられ、女性の活躍推進のための様々な取り組みが行われているが、プログラミングの世界で活躍する女性の数は限られているのが現状である。リンダ・リウカス氏は、その状況を変えるべく、女性と子どもを対象としたプログラミングの啓発活動を続け、女性エンジニアと子ども向けのプログラミングにおいてコミュニティをリードし、高い評価を集めている。

 氏はパソコンを全く使わずにテクノロジーとプログラミングの基礎を学ぶことができる『ルビィのぼうけん(原題:Hello Ruby)』という子ども向けの革新的な絵本を出版。反響は大きく、現在は22カ国語に訳され、プログラミング学習の現場で広く活用されている。

  また、氏は女性向けに無料でプログラミング教育を提供する非営利団体「Rails Girls」の創始者でもある。これまでに270以上の都市でワークショップを開催し、参加者は10,000人を超えている。女性のプログラミング技術の習得および女性プログラマーのコミュニティ活性化に大きく貢献している。

  パソコンを使わずにプログラミングを学べる革新的な絵本の出版と、プログラミングの世界における女性活躍支援への継続的な取り組みを高く評価するとともに、今後のさらなる貢献に期待し、ここに表彰したい。

■銀賞
【受賞者】
若宮 正子氏

<受賞理由>
  昨今のITサービス、スマートフォンアプリは、そのほとんどが若者世代の利用を想定して開発されているため、シニア世代には使いにくいものである。シニア世代のスマホ操作に配慮したアプリが必要であるという問題意識から、若宮 正子氏は、2016年からプログラミング言語「Swift」を学び始め、2017年2月にiOS用ゲームアプリ「hinadan」を開発した。Apple社の年次開発者会議「World Developer Conference (WWDC)2017」にスカラシップ枠で参加。基調講演冒頭でApple社CEO Tim Cook氏より、81歳で「hinadan」を開発した、最高齢開発者として紹介された。

  元々IT業界およびプログラミングと全く縁の無かった氏は、定年退職した60歳の時に「多くの人とつながりたい」との想いから人生で初めてパソコンを購入。インターネットが普及途上であった1999年に高齢者向けWEBサイト「メロウ倶楽部」創設に参画し、太平洋戦争を生きた人々の証言をデータベース化するプロジェクト「メロウ伝承館」を開始。2005年の国連情報社会世界サミット日本大会で、このプロジェクトは文化部門最優秀賞を受賞した。

  「失敗しても、気楽に楽しむことが大事」と語る若宮氏は、IT技術は年齢や経験に関わらず学ぶことができ、誰でもIT技術を活用することで活躍する機会を得られることを示し、多くの人に希望を与えた。そのあくなきチャレンジ精神を称え、今後のさらなる活躍を期待し、表彰したい。

■コンセプト賞 Head(AI・ビッグデータ領域)
【受賞者】
株式会社日立製作所 理事 研究開発グループ 技師長
矢野 和男氏

<受賞理由>
  IoTの普及により、センサーやネットワークの技術が急速に進化し、ウェアラブルデバイスやロボットにおいてもセンサーデータが迅速かつ大量に取得されるようになった。そしてその膨大なデータを処理するために、AI(人工知能)は欠かせないものになりつつある。

  従来、AIは目的を特定したうえで利用されていたため、個別の設計、開発、最適化が必要であった。多目的に用いることができるAI「Hitachi AI Technology/H」の開発プロジェクトをリードしたのが矢野 和男氏である。案件ごとに設定した目的に応じて、データからプログラムを作り出すため、あらゆる業種において最適な解を見つけ出すことを実現した。

  また、氏は人間行動データを取得するためのセンサーを開発し、人々の幸福感を計測できることを発見。数値化された幸福感を元に、コミュニケーションや時間の使い方など生産性向上につながる職場での行動を従業員に提案した。職場の環境改善に活用するという、ビッグデータの新たな道を切り拓いた。この先駆的な業績を称えるとともに、一層の発展を期待し、Head賞を送りたい。

■コンセプト賞 Hands(IoT・ロボティクス・デバイス領域)
【受賞製品】
Dot Watch 

<受賞理由>
  スマートフォンを持ち歩くことが一般的になった現代で、その利便性を享受できずに生活している人々がいる。2015年、その問題点に着目して起業した韓国のスタートアップdot社は、世界中にいる約2億8,500万人の視覚障害を持つ人々のために、「Dot Watch」を開発。瞬く間に世界中の注目を集めた。

  視覚障害者向けスマートウォッチ「Dot Watch」の文字盤はタクタイル(触知できる)ディスプレイとなっており、針や数字がない。独自に開発した点訳エンジンが情報を点字で表示する仕組みとなっている。ブルートゥースでスマートフォンにつなげるとSMS・チャットアプリ・各種プッシュ通知などの情報を点字で確認することができる。この斬新な発明により、スタートアップイベント「Slush Tokyo 2017」や「the Get in the Ring 2016」のピッチコンテストにおいてdot社は見事優勝を果たした。

  音声入力や音声認識機能で時間や情報を知らせる機器は従来より存在したが、雑音が少ない環境でのみ機能するものであった。「Dot Watch」のタクタイルディスプレイにより、視覚障害者は電車内や街中など賑やかな場所でも周りの雑音に邪魔されず情報を得られるようになった。革新的な技術により、人々の生活を飛躍的に変える製品を生み出したその挑戦を称え、Hands賞を送りたい。

■コンセプト賞 Heart(人材・教育領域)
【受賞者】
NPO法人CANVAS理事長 / 株式会社デジタルえほん代表取締役 / 慶應義塾大学准教授
石戸 奈々子氏

<受賞理由>
  科学と技術の発展、地球環境の変化、グローバル化の進展など、人々を取り巻く環境は10年前とは著しく異なっている。石戸 奈々子氏は、「多元的な新しい社会を築いていくのは子どもである。そのため、異なる文化や価値観など多様性を尊重できる教育が子供たちにとって重要である」という観点から、子どもの学習環境、特にデジタル・IT技術について学べる環境構築に尽力してきた。

  石戸氏は、情報化が進んだ多元的な社会において、創造力やコミュニケーション力の重要性がより高まっており、子どもたちもIT技術を取得しそれらの能力を高めることが必要だと訴えてきた。氏が理事長を務めるNPO法人CANVASでは、「遊びと学びのヒミツ基地」というコンセプトで、アナログとデジタルの両方を使った独創的なワークショップを全国各地で展開。現在までに延べ3,000回、約50万人の子どもたちが参加し、大きな反響を得ている。IT技術を活用した新しい学習プログラムを開発・実践・普及させていくプロジェクト「デジタルキッズ」、電子書籍やタブレットなどを活用した新しいデジタルでの表現手法「デジタルえほん」、全ての子どもたちがデジタルで学べる環境を整える社会運動を推進するプロジェクト「デジタル教科書」など、その取り組みは多岐にわたる。

  子どもたちのために多彩な活動を展開する一方で、氏は総務省情報審議会委員や慶応大学准教授も務め、産官学を巻き込み世の中へ絶えず子どもの学習環境の進化を働きかけている。IT技術を用いた多面的な人材育成の場を創出した功績にHeart賞を送りたい。

                                                                                                                                                                                                                                             (敬称略)

<選考委員>
委員長       楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史
委  員        楽天株式会社 副社長執行役員 平井 康文
                楽天技術研究所 代表 森 正弥
                楽天技術研究所 フェロー まつもと ゆきひろ
                楽天テクノロジーカンファレンス 事務局


                                                                                                                                                                                                                                                   以 上

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