■金賞
【受賞者】
松岡 聡 氏(東京工業大学 教授 / スーパーコンピュータ「TSUBAME」プロジェクト リーダー)
<受賞理由>
世界クラスのスーパーコンピュータであるTSUBAME の開発プロジェクトを、責任者・設計者としてリード。サーバアーキテクチャの活用により優れた性能を実現し、2010年には大幅に省電力性能を高めたTSUBAME 2.0にバージョンアップ。2010年にGreen500で世界2位に、2011年には1192TFLOPSを記録し、世界5位、日本国内では2位となる偉業を成し遂げた。さらに演算性能と省電力性を高めたTSUBAME2.5の稼働、それを更に上回るTSUBAME3.0の実現へ挑戦を続けている。既存のコンピュータシステムでは実施不可能な規模の計算を可能とするとともに、多くのユーザにとって簡便なスパコン環境を提供することで、スパコン活用の可能性を広げた。その実績に敬意を払い、高く評価したい。今後のさらなる活躍を期待したい。
■銀賞
【受賞者】
James O. Coplien 氏 (Software Architecture and Agile Consultant, Gertrud & Cope)
<受賞理由>
建築の分野で始まった設計の形式知化手法および対話プロセスであるパターン・ランゲージを、ソフトウェア設計・開発の核となる知識・プロセス活動へ応用した立役者。彼が発表した高生産性チームの研究は Jeff Sutherland 氏らが生み出した Scrum に影響を与え、アジャイル開発手法の確立に大きく貢献した。また、近年も、スクラムコミュニティでの活動に積極的であり、ソフトウェアアーキテクチャや組織的ソフトウェア開発の分野において実践的影響を与え続けていることも大きく評価したい。
【受賞者】
城田 真琴 氏 (野村総合研究所 上級研究員)
<受賞理由>
シニアITアナリストとして、先端IT技術の調査およびビジネスインパクトに関する研究に従事し、技術トレンドについて分かりやすく人々に解説している。特に著書「クラウドの衝撃」「ビッグデータの衝撃」は、綿密な調査の上で、コアとなるソフトウェアプロダクトやそれを支える理論、また実際の技術活用事例など、詳細から全体像までを丁寧に解説し、インターネットに関わる人だけでなく、一般の人々にもその本質的変化の理解を深める機会へと繋げた。技術リテラシー向上に貢献し、インターネットにおける新しい技術トレンドの正しい理解を支えていることを高く評価したい。
■ルビー賞
【受賞者】
鳥井 雪 氏 (Rails Girls Tokyoオーガナイザー)
<受賞理由>
世界的な動きとなっているRails Girls の日本版である、Rails Girls Tokyoのオーガナイザーとして活動。モノを作る技術や楽しみを、もっと多くの女性に知ってほしい、とそれまでプログラミングに接したことのない人にも積極的に勉強会への門戸を開き、エンジニアコミュニティの新しい草の根活動の姿と可能性を示した。多くの人にものづくりの楽しさを知ってほしいというその姿勢を称えるとともに、今後の活動にエールを送りたい。
【受賞者】
法林 浩之 氏 (日本UNIXユーザ会 幹事)
<受賞理由>
日本UNIXユーザ会(Japan UNIX Society:略称jus)元会長で、現幹事。長くUNIXやLinuxコミュニティの活動を支え、またオープンソースコミュニティのイベントにも長くコーディネーター、モデレーターとして貢献してきた。Lightweight Language イベント(LLイベント)を2003年より10年以上その開催を主導し、日本におけるLightweight Language コミュニティの発展に多大なる貢献をした。長年、エンジニアの気づきと学び、そして貢献と挑戦の場を提供し続けてきているその活動を高く評価したい。
(敬称略)
<選考委員>
委員長 楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史
委員 楽天株式会社 取締役 常務執行役員 安武 弘晃
楽天技術研究所 所長 森 正弥
楽天技術研究所 フェロー まつもと ゆきひろ
楽天テクノロジーカンファレンス 事務局
以 上