2006年5月24日
株式会社三菱総合研究所
情報通信技術研究本部
楽天リサーチ株式会社

ワンセグ対応端末への買い替え意向は46%
第21回携帯電話コンテンツ/サービス利用者調査結果より

 楽天リサーチ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:森 学)と株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:田中 將介、東京都千代田区大手町二丁目3番6号)は、15歳から69歳の男女を対象に、「第21回携帯電話コンテンツ/サービス利用者調査」を行った。

 調査は、4月18日から4月24日にかけてWeb上で実施され、回答者は2,520人(男性50.0%、女性50.0%)、そのうち主要4社(NTTドコモ・au・ボーダフォン・TU-KA)の携帯電話利用者(※)は2,202人(回答者の87.4%)であった。
※以下、特に記載がない限り、記事中の数値は主要4社利用者に対する割合とする。

 第21回調査は、携帯電話でのワンセグ放送、モバイル・ナンバー・ポータビリティについて調査した。なお、文中で引用している第17回調査は、2005年7月に実施したもので、回答者は2,400人である(男性50.0%、女性50.0%)。
1.ワンセグ放送の認知・利用意向
 ワンセグ放送とは、地上デジタル放送によって行われる、携帯電話などのモバイル端末向けの放送サービスであり、2006年4月1日に本放送が開始された。
 本調査は、ワンセグ放送の開始直後におけるワンセグ放送に対するユーザ側の認知や利用意向の状況などを把握することを目的として実施した。
(1)ワンセグ放送の認知・理解度
 全体では38.8%が、ワンセグ放送の内容・特徴についても理解している。男性の5割はワンセグ放送について理解しており、なかでも、男性10代から20代の若年層の場合、6割が理解していると回答している。
 一方、女性の場合、ワンセグ放送の名前は聞いたことがあるというユーザが5割を占めており、ワンセグ放送を理解しているユーザは、男性に比べてまだ少ない。

図 1 ワンセグ放送の認知・理解度
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_01.gif
※全員が回答。
(2)ワンセグ放送への関心度
 ワンセグ放送を「ぜひ利用したい」、「利用したい」という割合は、全体の2割であるが、「関心はある」を含めると、全体の7割がワンセグ放送に興味・関心を持っている。
 特に、男性10代のうち4割以上が、ワンセグ放送を利用したいと回答しているなど、男性の若年層を中心に利用意向が高い。

図 2 ワンセグ放送の関心度
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_02.gif
※全員が回答。
(3)ワンセグ放送対応端末への買い替え意向
 携帯電話利用者のうち、次回に携帯電話端末を買い替える際に、ワンセグ放送対応端末(ワンセグ端末)へと買い替える予定のユーザは、「ぜひ買い替えたい」と「買い替えたい」というユーザを合わせて全体の46.0%を占める。なかでも男性の場合、10代から40代まで、ワンセグ端末への買い替え予定者が5割を超えており、高い買い替え意向を示している。

図 3 ワンセグ放送対応の携帯電話端末への買い替え意向
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_03.gif
※携帯電話利用者が回答。

 本調査ではさらに、外出時における行動と、ワンセグ端末への買い替え意向との関係を調べてみた。その結果、外出時にモバイル端末などを使って何らかの行動をしているユーザの方が、何もしていないユーザに比べて、ワンセグ端末への買い替え意向が高いことが分かった。
 例えば、外出時に主に「モバイル端末で、インターネットやコンテンツを見る」ユーザの6割が、次回の端末買い替え時にワンセグ端末に買い替えたいと回答している。同様に、「モバイル端末で、音楽を聴く」ユーザや、「モバイル端末で、ゲームをする」ユーザも、ワンセグ端末への買い替え意向が高い。
 この結果をふまえると、外出時にモバイル端末を積極的に活用しているユーザは、ワンセグ放送も併用していく可能性が考えられる。一方、音楽やゲームなどを含めた携帯電話コンテンツを活用していたユーザが、それらの利用を減らしてワンセグ放送へと切り替える可能性もありうる。そのため、携帯電話事業者側では、携帯電話コンテンツとワンセグ放送との連携やすみ分けを、うまく図っていく必要があると考えられる。

図 4 ワンセグ放送対応の携帯電話端末への買い替え意向(外出時の主な行動別)
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_04.gif
※携帯電話利用者が回答。
(4)ワンセグ放送の利用シーン
 ワンセグの利用シーンとしては男女ともに、外出時の利用を想定しているユーザが多い。とくに、時間つぶしのためになんとなく見る、という回答者が男女とも最も多い。外出時の「すき間」の時間を埋めるために、ワンセグ放送を見るというタイプのユーザが多いと予想される。
 ただし、男女別にみると、次のような違いも見られる。男性の場合、外でスポーツ等のイベント観戦・観覧時にワンセグ放送も一緒に見る、といった利用シーンを挙げているユーザが多い。一方、女性の場合、外出先で見逃したくない番組(例 連続ドラマ等)を見るといった理由を挙げているユーザが多い。
 また、女性を中心に、自宅内でのワンセグ放送の視聴シーンを指摘しているユーザも少なくない。とくに、テレビを置いていない自宅内の場所(例えば、トイレやお風呂場など)でのワンセグ放送の視聴可能性を指摘している女性の回答者は2割を超えている。

図 5 予想されるワンセグ放送の利用シーン
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_05.gif
※ワンセグ放送に利用意向がある、または関心がある回答者が回答。
(5)ワンセグ端末の希望購入価格
 次回に携帯電話端末を買い替える際に、ワンセグ端末へと買い替えたいというユーザのほとんどは、ワンセグ機能が無い端末(ワンセグ無し端末)に比べて高い価格でも買い替える意向を示している。
 例えば、「ワンセグ無し端末より、10,000円以上、高くてもよい」とするユーザは全体の2割以上を占めている。とくに男性の場合は3割を占める。
 さらに、「5,000円以上、高くてもよい」というユーザまで含めると、全体の6割以上が該当している。
 一方、同等の値段でなければワンセグ端末に買い替えないというユーザは2割未満に留まっている。このように、ワンセグ端末に買い替えたいユーザの半数以上は、5,000円程度の端末価格の上昇は許容すると回答している。


図 6 ワンセグ端末の希望購入価格
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_06.gif
※次回の端末買い替え時にワンセグ端末に買い替えたいというユーザが回答。
(6)ワンセグ放送、ワンセグ端末に関する課題
 ワンセグ放送およびワンセグ端末に関する課題として、8割のユーザが、ワンセグ端末の価格を挙げている。ついで、ワンセグ端末のバッテリに関する課題を挙げている。このように回答者全体に、ワンセグ放送のサービス内容面よりも、端末に関する課題を重視する傾向が見られる。

図 7 ワンセグ放送、ワンセグ端末に関する課題のうち、とくに重要な課題
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_07.gif
※次回の端末買い替え時にワンセグ端末に買い替えたいというユーザについて集計
2.モバイル・ナンバー・ポータビリティの認知と利用意向
 2006年11月までに開始が予定されているモバイル・ナンバー・ポータビリティ(MNP:異なる携帯電話事業者の携帯電話に買い換えてもこれまで使用してきた電話番号を引き継げる)制度に関して、その理解・認知および利用意向の現状などについて調査を行った。MNPについては、第17回調査(2005年7月実施)でも調査を行っており、その結果との比較も行った。
(1)MNP制度の認知状況
 MNP制度について、「制度の内容や開始時期などについて理解している」という割合は、携帯電話利用者の26.2%に留まる。MNP制度について、「なんとなく知っている」という人まで含めると、携帯電話利用者の87.3%となる。第7回調査と比較すると、前者は8ポイント、後者は6.1ポイントの上昇であり、認知・理解は進んでいるものの、十分とは言えない。
 男女別にみると、男性の方がMNP制度を理解している人が多く、31.1%の人が制度の内容や開始時期などについて理解している。年齢別にみると、男性の20代から30代層において理解している割合が高い。一方、女性層や、10代、50代から60代層などにおいては、同制度の理解と認知があまり進んでいない。この傾向は、第17回調査と変わっておらず、こうした層が制度変更時に不利益を被らないよう理解促進を進める必要があるだろう。

図 8 MNP制度の認知状況
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_08.gif
※携帯電話利用者が回答。
(2)MNP制度の利用意向
 MNP制度を使って携帯電話会社を変更する意向がある人は、携帯電話利用者の20.5%で、第17回調査と比較すると、2.5ポイント低下している。属性別にみると、30代、60代の男性と30代の女性でMNP制度の利用意向が高い傾向がある。第17回調査と比較すると、60代の男性と30代の女性でMNP制度の利用意向が高まっている。

図 9 MNP制度の利用意向
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_09.gif
※携帯電話利用者が回答。
(3)変更先の携帯電話事業者の選定理由
 MNP制度の利用意向者に、変更先の携帯電話事業者の選定理由を尋ねたところ、変更先にNTTドコモを選んだ回答者は、「通話エリアが広いから」「友人や家族がその携帯電話会社を使っているから」が多く、au、ボーダフォンを選んだ回答者では「料金が安いから」「割引プランがよいから」が多い。

図 10 変更先の携帯電話事業者の決定理由
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_10.gif
(4)MNP制度の手数料
 MNP制度利用時には、手数料が発生するが、この点に関しMNP制度の利用意向者に尋ねた。今回の調査によれば、手数料が無料であればMNP制度を利用すると回答した回答者は全体の約3割を占めており、無料希望者が比較的多い。
 手数料が1,000円であればMNP制度を利用したいという回答者(「5,000円以上でも利用したい」「1,000円以上でも利用したい」の合計)は、MNP制度利用意向者の42.4%(=2.0+7.3%+14.0%+19.1%)を占めている。2,000円の場合、23.3%(=2.0%+7.3%+14.0%)と半減し、第17回調査とほぼ同じである。
 さらにMNP制度では電話番号しか引き継げず、メールアドレス、ダウンロードしたコンテンツなどは引き継げない。そのような場合でもMNP制度を利用したいと回答した割合は、1,000円でも利用すると回答した者の44.5%である。
 そのため、仮にMNP制度の手数料が1,000円であった場合、MNP制度を利用する割合は携帯電話利用者のうち4.1%(=【MNP制度利用意向者20.5%】×【1,000円でも利用42.4%】×【メールアドレス等が引き継げなくても利用44.5%】)と、かなり少なくなる可能性がある。MNP制度の利用を促進するためには、電話番号以外のデータについても引き継ぐことが可能となる方向性を検討していく必要があるだろう。

図 11 MNP制度の利用希望金額水準
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_11.gif
※MNP制度利用意向者が回答。

図 12 携帯電話事業者の変更意向(コンテンツやデータが引き継げない場合)
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_12.gif
※手数料が1000円であればMNP制度を利用したいという回答者。
(5)求められる携帯キャリアの施策
 MNP制度の開始に向け携帯キャリアは、自社ユーザが他社へと流出することを防ぐ施策(顧客ロックイン施策;たとえば、長期利用継続割引サービス等)を実施してきている。本調査は、顧客ロックイン施策として、いかなる施策が有効かを確認するため、MNP制度利用意向者に対し、MNP制度開始時に、どのようなサービスが充実していれば利用中の携帯電話事業者を継続利用するかについて尋ねた。
 最も多く指摘されたのは「料金割引サービスが他社よりも充実している」で72.9%、次に「端末の価格が他社よりも安い」(59.2%)、「他社にくらべて、通信サービスの品質が良い」(53.2%)、「端末が他社よりも魅力的である」(47.9%)である。「高速な通信サービスが利用できる」(25.5%)、「コンテンツ・サービスが他社より充実している」(18.8%)、「ICチップ搭載携帯によるサービスが充実している」(12.2%)等はそれほど多くない。通信サービスの高度化より、まず基本的な料金、品質、端末が、MNP制度に対抗する施策として重要であることが示されている。

図 13 MNP制度開始時に、利用中のキャリアを継続して利用するための条件(複数回答)
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_13.gif
※MNP制度利用意向者が回答。
3.回答者の属性
https://www.rakuten.co.jp/pr/2006/0524/release0524_14.gif

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