AI(人工知能)とは?
仕組み・使い方・ビジネスの活用事例を解説
「AI(Artificial Intelligence)」「人工知能」とは、音声認識・意志決定・視覚など、人間の知能に関連するタスクをコンピュータが学習して実行することの総称を指します。
提唱されて70年近く経過している「AI」という概念ですが、近年では特に進化が目覚ましく、さまざまな技術やサービスに活用されています。
そこでこの記事では、「AIが学習する仕組み」「AIでできること」「AIを活用した技術」「現時点でのAIの課題」など、分かりやすく解説していきます。
「AI(Artificial Intelligence)」「人工知能」とは、音声認識・意志決定・視覚など、人間の知能に関連するタスクをコンピュータが学習して実行することの総称を指します。
提唱されて70年近く経過している「AI」という概念ですが、近年では特に進化が目覚ましく、さまざまな技術やサービスに活用されています。
そこでこの記事では、「AIが学習する仕組み」「AIでできること」「AIを活用した技術」「現時点でのAIの課題」など、分かりやすく解説していきます。
AI(正式名称:Artificial Intelligence)とは、人間の知識や考え方を模倣し、コンピュータで人工の知能を再現する技術の総称です。AIは、学習・推論・認識・理解・問題解決など、さまざまな学習を重ねて進化しているテクノロジーで、近年、多くのツールやサービスに活用されています。
ただし、AIに明確な定義は存在しておらず、説明する団体により、提唱する定義が異なる点にご注意ください。
AIの最大の特徴は、与えた情報・データ・言葉を理解して学習を重ねることで、AI自身がさまざまな判断を行える点です。
例えば囲碁や将棋、チェスなどのボードゲームで人間が思いもよらなかった打ち手をAIが考案し、プロに勝利していることは有名でしょう。
また、音楽や小説など、新しい発想をアウトプットできる「生成AI」は、与えられた多くのデータを活用して回答を出力することができるため、時に人間では考えられなかった発想や成果物を創出することもあります。
生成AIについて詳しくは、「生成AI(ジェネレーティブAI)とは?種類・仕組み・活用例を解説」をご覧ください。
1955年にアメリカのダートマス大学の助教授であるジョン・マッカーシーが学問分野として「AI」と呼んだことが由来と言われています。これを機にAIは世の科学者たちに認知され、研究も活発化していきます。
AIの大きなブームはこれまでに3回ありました。それぞれの時代と歴史、その特徴を簡単に見ていきましょう。
第一次AIブーム | 1960年代に発生し、簡単なゲームなど明確なルールが存在する問題に対して高い性能を発揮する「推論」「探索」の技術に期待が寄せられた。 |
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第二次AIブーム | 1980年代には知識をルールとして教え込み、問題解決させようとする技術である「エキスパートルール」が発展。 専門家の知識をインプットしたシステムが多数登場したものの、実用面では課題が多かったと言われている。 |
第三次AIブーム | 2000年代から現在にかけては機械学習・ディープラーニングの時代になり、レベルが上昇。 情報の処理の仕方をコンピュータに教える手法の1種である「ディープラーニング」を扱える高性能なハードウェアの登場、インターネットの普及、インプットデータ不足の解消などが手伝い、AI技術は大きく進歩した。 (※現状のAI開発状況はここの地点) |
AIを知る上で欠かせない要素が「機械学習」と「ディープラーニング(深層学習)」です。AIの進化に大きな影響を与えている機械学習は、機械がデータのパターンやルールをアルゴリズムに基づいて情報を分析する手法のことを指します。
ディープラーニングは、機械学習の分野の一つで、データ分析を多層化し、より正確なルールを見つけ出すことができるものです。
ここからは、機械学習とディープラーニングについて詳しく解説していきます。
機械学習は、コンピュータが自動でデータを「学習」し、データの背景にあるルールやパターンを発見する方法を指します。近年では、学習した成果に基づいて「予測・判断・分類」することが重視されるようになりました。
学習方法は、下記の3種類に分けられます。
他にも機械学習には、人の顔を学習して識別できるようにすることで、来客データの情報を管理するシステムがあります。この技術は、スーパーやコンビニなどで導入されている無人店舗において「ユーザーの特定」「カゴに入れた商品の特定」「ユーザーの決済情報を参照し自動で決済」などに使用されています。
また、迷惑メールを自動的に除外する機能や、動画再生サービスやECサイトなどにも、機械学習の技術が取り入れられています。
機械学習について詳しくは、「機械学習とは?仕組みや活用例までわかりやすく解説」をご覧ください。
ディープラーニング(深層学習)とは、データの背景にあるルールやパターンを学習するために、多層的(ディープ)な構造で考える方法です。
ディープラーニングでは、人間の脳神経であるニューロンを人工的にモデル化した学習手法である、ニューラルネットワーク(複数の処理層を用いてデータを理解・出力できる技術)をプログラム的に活用します。
ニューラルネットワークにより、AIが大量の画像やテキスト、音声といったデータを自動的に学習し、高い精度で認識・解釈できるようになりました。大量のデータによる複雑な情報を多層化してルール化するため、ディープラーニング以外の機械学習よりも、より正確なルールを抽出することができるのが特徴といえます。
この技術は画像認識や音声認識、自然言語処理や異常検知などにも活用されています。
ディープラーニングについて詳しくは、「ディープラーニングとは?仕組みや活用例をわかりやすく解説」をご覧ください。
AIを活用することで、これまで実現できなかったビジネスモデルやサービスが生まれて、業務効率化を促進させることができるようになりました。特定の技術を学習させることで、専門的な仕事をさせることも可能です。
ここからはAIが普及すると暮らしや仕事、働き方にどういった影響があるのかを見ていきましょう。
AIが普及したことでデータ管理や入力、修正など、従来時間のかかっていた事務的な業務や雑務などの時間を大幅短縮できるようになりました。加えて、人為的なミスによる損失を減らしたり、自動でアーカイブ(データの保管場所)にデータを集めていけるのは、非常に大きなメリットです。
AIはかつて、農業や工場などの比較的単純な作業の管理に向いており、第一次産業・第二次産業への影響が大きくなると考えられていました。
しかし現在では、AIによる分析データを活用することで、営業やマーケティングなどの分野での成果向上や労働力の確保、ヒューマンエラーの改善にも期待されています。
機械学習を活用したデータ分析について詳しくは、「データマイニングとは?概要や手法、活用事例をわかりやすく解説」をご覧ください。
お問い合わせフォームにAIを導入することで、AIが顧客からの質問や問い合わせ内容を理解し、適切な回答を戻すことができます。人間が一つひとつ回答する手間が省けるため、顧客の対応待ち時間が大幅に短縮され、顧客のストレスを低減できる点がメリットです。
企業側としても、社内や社外の問い合わせ対応をAIに任せることで、社員が何度も同じ問い合わせに対応する必要がなくなり、その時間を別の作業に割くことができます。
スマートフォンの画面ロック解除や、銀行ATM認証などに活用されている生体認証は、AIが身体の特徴を見分けることで、正確な本人確認を可能にしています。
顔・指紋・音声・静脈などの生体認証は安全性が高く、ID・パスワードを管理する必要がなくなるため、利便性が高まります。
オンラインショップで買い物をする際、以下のような案内が表示されるのを見たことがあると思います。
これらはユーザーにレコメンド(おすすめ)を表示してくれるAI機能です。各ショッピングサイトやネット広告では、閲覧履歴や購入履歴から、ユーザーが興味を持ちそうなものをレコメンドする機能が搭載されていることがあります。
AIによるレコメンドによってより顧客の興味関心にマッチした商品の提案ができ、顧客単価の増加、顧客満足度やリピート率の向上なども期待できます。サービスの利用者側も、利用傾向からおすすめ商品や関連商品を見つけやすくなるので、商品を探す手間を削減でき、よりサービスが使いやすくなるでしょう。
AIは私たちの身近な場所でも日々活用されています。ここからはどのようなAIが生活に関わっているのか、簡単にご紹介しましょう。
2011年からAppleデバイスに搭載されている「Siri」や、2014年に誕生した「Amazon Alexa」は身近な対話型のAIとして知られています。音声認識・自然言語理解・命令の実行・返答により日々の生活をサポートしてくれます。
対話機能にのみAIが使用されているわけではなく、音声処理の技術にもAIが活用されています。
チャットで問い合わせをすると、ユーザーの質問に対して最適な回答を表示したり、より良い返答を生成したりしてくれるチャットボットにもAIが使用されています。
楽天証券のFAQサイト「よくあるご質問」や「楽天カード」、「楽天銀行」にもAI技術が搭載されており、より精度の高い疑問解決が可能です。
OpenAIが提供するChatGPT、Googleが提供するBard、Microsoftが提供するBing AIなど、精度の高いさまざまなAIチャットサービスが生まれています。
先述した「問い合わせ対応チャットボット」は、事前に用意した回答の中から質問内容に最も適しているものを表示するのに対して、「対話型チャットAI」は、人間と会話しているような自然なやり取りができることが特徴です。
なお、Bing AIについては、「Bing AIとは?機能の特徴や使い方、ChatGPTと比較した強み・弱みを解説!」で詳しく解説しています。
対話型チャットAIは、業務だけでなく日常のちょっとした出来事、趣味などへの質問を、検索エンジンの代替のような感覚で利用できます。近年話題となっているChatGPTに搭載されている言語モデル(人間が使うような自然な文章を出力できるモデル)は、GPT-1から始まりGPT-2、GPT-3と進化を遂げています。
GPT-3の特徴やこれまでの進化、活用事例などについて詳しくは、「GPT-3とは?チャット型AIの機能や使い方を活用例を踏まえて解説!」をご覧ください。
また、対話型チャットAIを使用する際は下記の点に注意しましょう。
AIが出力したデータは、最新のものになっていない可能性がある点に注意が必要です。例えば、ChatGPTの場合は2021年9月以降のデータを参照することができません。そのため、古いデータで出力した結果、回答情報が不正確になる可能性があります。
また、チャットAIに打ち込んだ文章は、ログとして記録される点にも注意が必要です。チャットAIに個人情報や機密情報を送信した場合、情報が流出する可能性があるため、個人情報や機密情報を打ち込まないようにしましょう。
上記の注意点を踏まえて使うことで、チャットAIを便利に活用できます。まずは、近年よく話題に挙がるChatGPTから体験してみると良いでしょう。また、楽天グループが提供する「Rakuten Viber」の公式チャットボットである「Viber AI チャット」にもChatGPT APIが活用されているので、気軽に使い始めることができます。
「Viber AI チャット」では、 ChatGPT APIを用いてユーザーが入力した質問に応じてAIが自然な文章で回答を生成してくれます。
さらに画像生成AI「DALL∙E 2」(ダリ・ツー)も搭載されており、指示した文章を基に画像を生成することも可能です。
また、ランダムなテーマでAIが画像と文章を生成するなどの機能も搭載されています。
「Viber AI チャット」について詳しくは、「公式ページ」をご覧ください。
人の手による操縦の代わりに、機械が自動で障害物を避けながら走行する「自動運転」技術にAIが導入されています。ここ数年でこの技術は飛躍的な進化を遂げています。判断・予測などが重要な自動運転ですが、AIはこれまで学習した内容とセンサーによる情報から、はじめて認識する対象があったとしても正確な判断ができます。
しかし、自動車の自動運転に関しては、まだ課題があることも事実です。例えば、センサー外の状況に対応しにくい点や、「歩行者と乗員のどちらかの負傷を避けられないような究極の選択を迫られた際、AIはどのような意思決定を行うべきか」という倫理的な判断が求められる「トロッコ問題」が、自動車の自動運転における課題の一つといえます。
先述した「対話型チャットAI」も文章を作成できる生成AIに属しますが、ここでは会話としての活用ではなく、創作や芸術分野での活用事例を紹介します。
生成AIは、短時間でイラストや画像、文章などを生成できるため、創作分野において大きな影響をもたらしています。また、AIで出力された作品がコンテストで入賞するなど、芸術分野においてもAIは注目されています。
会員登録不要で画像生成を体験できる「Stable Diffusion Online」や、豊富な小説から学習された文章生成サービスである「AIのべりすと」など、さまざまなサービスが提供されています。
生成AIについて詳しくは、「生成AI(ジェネレーティブAI)とは?種類・仕組み・活用例を解説」をご覧ください。
AIが電話返答できる、自動応答システムも存在しています。実際に、楽天保険の総合窓口では、次世代コンタクトセンターとして「AIオペレーター」を活用し、人と会話をしているかのような自動音声応答を24時間365日実施しています。
このサービスの導入には、お客様対応のエキスパートであるコンタクトセンターのメンバーたちのノウハウと経験、そして、200万件以上のデータが役立てられています。
AIによる自動音声応答について詳しくは「楽天保険の総合窓口が、AIで音声自動応答を開始」をご覧ください。
AIはデータの管理に長けているため、診察記録や医療情報の管理などにも役立っています。診察記録や医療情報のデータは機密性・正確性が重要ですが、膨大なデータが記録されていくと、機密性や正確性を維持するのが困難になっていきます。そこで、ブロックチェーン技術にAIの力をかけ合わせることで、検査結果やカルテ情報など膨大な医療・治療データを分析でき、医療サービスの品質向上を実現しています。
ブロックチェーンとは、分かりやすく言うと「取引履歴や情報を1本の鎖のようにつなげ、改ざんできないように管理する技術」を指します。管理しているデータ前後の情報を見比べてデータの整合性を確認する仕組みになっており、データの改ざんが困難で安全に管理できます。また、過去のデータを削除することもできないため、不正な利用を防止できます。
ブロックチェーンとAIによるデータ管理の自動化や膨大なデータ処理をかけ合わせれば、機密性と正確性が求められる診察記録が途中で改変される心配がなく、他医療関係者に引継がれる際の医療ミスの防止につながります。
また、膨大な検査結果や医療データをAIが分析することにより、適切な診断や治療法の提案が可能です。
ブロックチェーンについて詳しくは、「ブロックチェーンとは?仕組み・種類・実装のメリットを初心者向けに解説!」をご覧ください。
前述のようにAI技術は私たちの生活をより豊かに、より便利にしてくれます。しかしAIの活用には議論や解決すべき課題も多く存在しています。
ここからは、その一部をご紹介します。
AIが絵画などのコンテンツを生み出した場合、そのコンテンツに著作権は認められるのでしょうか?もし認められる場合、その著作権はAIツールを作った人や会社にあるのか、それともAIを使って作品を生み出した人にあるのでしょうか?
このような「AIの創作物に著作権は認められるのか」という議論がされていますが、2023年8月現在も、まだ権利問題に決着がついていません。
また、AIツールを使用して生み出された文章や画像などは、意図せず著作権を侵害してしまう可能性があり、AIに責任を持ってもらうこともできないため、慎重になる必要があります。
AIが人間の知能を超えることにより、予測不可能な事態や影響をもたらすことを「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼びます。
2023年9月時点では、2045年にシンギュラリティが起きるのではないかと予想されており、これを「2045年問題」と呼称します。2045年問題では、
というような予測も存在します。
AIの能力が人間を超える予想が立てられている反面、AIの発展により人間が今まで行っていた単純作業を代行して人手不足などの社会問題の解決が期待できるといったポジティブな意見もあります。
自動運転技術・データ管理・自動応答システムの向上により、タクシー運転手などの技術職や、一般事務職などの事務職といった、正確性・スピード・一貫性・反復性が求められる職種は、AI対応に移行していく可能性があるとされています。
また、シンギュラリティが発生すると、AIの管理が専門の職業が増加し、その雇用が進む可能性も高いとも言われています。
ただし、音楽や動画など「非構造化データ(「列」と「行」を持たないデータの総称)」を視聴してどう感じるかの感想・処理は、コンピュータが苦手としており、人間にしか行えない仕事・作業はなくならないと考えられています。
「AIがなぜその答えを出したのか、思考回路が分からない」という問題を「ブラックボックス問題」と呼びます。どのようなプロセスで判断されたかが不明なため、「AIの判断を信用しても大丈夫なのか」の判断ができないことが課題として挙げられます。
特に医療診断や自動運転など「人の生活や命」などに直接関わるケースでは「AIがなぜその結論に至ったか」という判断基準・思考プロセスは極めて重要な意味を持ちます。
AIが出した結論が物理的・倫理的に「間違い」を起こした際、AIの思考プロセスが分からなければ、重大な事故に発展してしまうかもしれません。そのため、内部構造が明確なホワイトボックス、中間のグレーボックスなどのテストも行われています。
AIをめぐる技術は、わずか60年ほどの間に目覚ましく進歩しました。データを使用して学び、領域を限定すれば人間の思考に近いプロセスで判断できるAIは、これまで「人間にしかできない」と思われていたことができるようになる可能性を持っています。
AIの技術が進むにつれ、今まで人間が行ってきた単純作業をAIに任せる時代が訪れようとしていますが、正しく活用すればより生産性が向上し、経済成長や新たな技術開発にも繋がります。
今後さらなる躍進が予測されるAI技術を、十分な議論により定められた新しいルールに基づいて活用し、より効率的で便利な未来を築いていけるかが大きなテーマになっていくでしょう。
楽天グループではさまざまなAI技術の実現に向き合っています。
公益社団法人企業情報化協会(IT協会)が主催する「2022年度(第40回)IT賞」において、「カーボンニュートラルを目指す先進ロジスティクスシステム開発」プロジェクトが「IT賞(サステナビリティ領域)」を受賞、ロジスティクス領域でのAI活用をより発展させています。
また、楽天グループは、OpenAIと国内外の消費者およびビジネスパートナーへ、最新の対話型AI(人工知能)技術による新たな体験を提供するサービス開発における協業で基本合意しました。これにより、お客様の購買体験を革新していくとともに、ビジネスパートナーの生産性向上に寄与することを目指します。
その他にもさまざまなAI技術を活用し、データとAIを駆使したイノベーションを追求することで、お客様へ新しい価値を提供します。