2019年2月12日
  • 楽天モバイルネットワーク株式会社

楽天モバイルネットワーク、世界初のエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークにおいて実証実験に成功

- 2019年10月の携帯キャリア事業サービス開始に向け通信ネットワークおよび基地局を順調に構築 –

 楽天グループの楽天モバイルネットワーク株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:山田善久、以下 「楽天モバイルネットワーク」)は、世界初となるエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークにおけるデータ通信の実証実験に成功しました。2019年2月3日より東京都の二子玉川周辺で稼働したデータネットワークでの通信テストを開始し、メッセージングアプリ「Rakuten Viber」のビデオおよび音声コール、スピードテストなどを通じて安定した稼働を実証しました。今後は対象地域やテスト参加者数などの規模を拡大しながら、音声ネットワーク通信テストも順次開始し、2019年10月の移動体通信事業者(Mobile Network Operator)としてのサービス開始に向けて、大規模かつ安定した通信ネットワークを構築するための検証と改善を進めてまいります。

 楽天モバイルネットワークは革新的なアーキテクチャを採用し、無線アクセスネットワーク(RAN)からコアネットワークまでが完全に仮想化され、ネットワークとサービスオペレーション双方がエンドツーエンドで自動化した世界初のクラウドネイティブネットワークを構築しています。また、サービス開始時から5G世代を見据えた「5Gレディ」な構造を適用しています。

 楽天モバイルネットワークは、構築するネットワークを完全にクラウド上で稼働し、安定性、スケーラビリティ(拡張性)、およびアジリティを確保しながら、コスト効率を高めます。また、Eコマース、フィンテック、およびデジタルコンテンツなど70以上のサービスや、「楽天エコシステム」と1億を超える楽天IDを活用し、携帯キャリア事業の急速な成長を推進するとともに、さらなる付加価値をユーザーへ提供します。

 楽天モバイルネットワークCTO(最高技術責任者)のタレック・アミンは次のように述べています。「私たちのビジョンは、ソフトウェアとクラウドにより実現するスピードで、革新的で拡張性の高いネットワークを構築することです。技術のみならずオペレーションでも改革を進める楽天グループ独自の企業文化により、必ずやミッションを成し遂げることができるでしょう。ハードウェアとソフトウェアを分離し煩雑性を最小限に抑えるとともに、国内外のパートナーがそれぞれの分野で持つ最高レベルの技術を活用することで、高品質で費用対効果の高いサービスをお客様に提供することが可能になります」


■完全仮想化クラウドネイティブネットワーク 概要
 サービス開始時のネットワークは、4G LTE(マクロセルおよびスモールセル)とWiFiを通じてアクセスが可能となります。革新的なNFV(Network Functions Virtualization)アーキテクチャにより、高速モバイルサービス、固定ワイヤレスアクセス、NB-IoT(Narrow-Band IoT)サービス、リッチメディア、拡張現実(AR)やバーチャルリアリティ(VR)といった低遅延サービスなど、様々なサービスを提供するとともに、革新的なモバイルエッジコンピューティング(MEC)アーキテクチャを活用し、最高のユーザーエクスペリエンスを実現します。

 楽天モバイルネットワークは、業界の先進的な主要パートナー各社の協力のもと、通信業界で最も挑戦的な技術課題に取り組みます。パートナー企業には、シスコシステムズ、ノキア、アルティオスター ネットワークス、インテル、レッドハット、OKI、富士通、シエナ、NEC/Netcracker、クアルコム、マベニール、Quanta Cloud Technology(QCT)、サーコム、テックマヒンドラ、アロット、イノアイ、VIAVI ソリューションズ(敬称略)などが含まれます。

■完全仮想化クラウドネイティブネットワーク 詳細

上図はネットワークアーキテクチャを示しており、その主な属性と利点は以下の通りです。

1. オープンで仮想化かつ分散化された無線アクセスネットワーク(vRAN)
無線アクセスネットワーク(RAN)内のハードウェアとソフトウェアを分離するという革新的なアプローチにより、アンテナと無線機だけの非常に小規模な基地局サイトの構築が可能となり、基地局設置場所の自由度が上がります。また、仮想化RAN(vRAN)によって周波数効率が向上し、オープンAPIで実現されるマルチベンダーエコシステムやスケーラビリティによって、コスト削減に繋がります。

2. 完全仮想化された共通かつ分散型のTelco Cloudにより、専用ハードウェアおよびレガシーインフラストラクチャへの依存から脱却
RANからコアまでのすべての仮想化アプリケーションを共通のキャリアグレードのTelco Cloud上に展開します。これらのクラウドは千を超える超分散型配備となり、共通のオーケストレーションレイヤにより管理されます。なお、クラウド基盤自体の技術仕様を共通化することにより、オペレーションの簡素化とコストの低減を実現し、クラウド環境の柔軟性を利用したスケーラビリティのあるスピーディなサービス展開が可能となります。

3. モバイルエッジコンピューティングで、サーバーのような機器をユーザーの近くに配置
楽天モバイルネットワークのモバイルエッジコンピューティング基盤は、革新的なエッジアーキテクチャを活用し、仮想化RAN(vRAN)、CUPS (Control & User Plane Separation)ベースのパケットコア、および分散型Telco Cloudの組み合わせにより、様々なモバイルネットワーク機能と低遅延サービスを展開します。一例として、コンテンツや映像のライブ配信、コネクテッドカー、ARやVR、オンラインゲーム、コネクテッドスタジアムなどが挙げられます。通信業界のプレイヤーの多くは5Gで同様の機能を検討していますが、楽天モバイルネットワークは4Gと5Gの双方でこのサービスを提供し、最適なユーザーエクスペリエンスを実現します。

4. サービス開始時から「5Gレディ」なシステムアーキテクチャを採用
楽天モバイルネットワークは、NFV、vRAN、SDN(Software Defined Network)、自動化、CUPSベースのパケットコア、エッジコンピューティング、スライシング、大容量などの5Gに対応した仮想化システムアーキテクチャをサービス開始時から展開します。ソフトウェアアップグレードのみで容易に5Gへの対応が完了するため、短期間での市場投入を可能とします。

5. 5G対応IPv6トランスポート/モバイルバックホールアーキテクチャー
モバイルバックホールとなる伝送ネットワークは、5Gで必要な容量と規模を当初から考慮して構築を進めています。一般的なモバイルオペレータが構築する1Gbpsまたは10Gbpsの伝送容量とは異なり、楽天のモバイルネットワーク及びコアネットワークはテラビットレベルの容量を持ち、基地局サイトから発生する100Gbps規模のトラフィックを収容可能とします。さらに、このネットワークはIPv6をベースとしているため、超多数接続が可能となり、高価でオペレーションが複雑なアドレス変換機の設置が不要となります。

6. SDNによって5Gに対応したデータセンターを実現
広範囲に及ぶ基地局を収容するコアは全国数カ所の集中型となり、エッジサービスを実現するデータセンターは仮想化されたSDNによって地域分散型かつ当初から5Gへ対応したネットワークアーキテクチャとしています。数十テラビットの大容量、横断的な展開、自動化、そして分析性を備えたデータセンターは、これまでにないアジリティをもったサービス提供のためのハブとなります。

7. 汎用的なハードウェアSKU - 標準化と単純化
何百種類ものハードウェアのメンテナンスは、通信事業者が抱える共通の問題です。楽天モバイルネットワークは、コストとパフォーマンスのバランスを維持しながら、インフラストラクチャの標準化、運用の簡素化、スケールアウトや代替機の手配を容易にするため、10 種類以下のハードウェアのみで運用していきます。

8. ネットワークオペレーションの全自動化
自動化は、楽天モバイルネットワークの戦略において重要な要素です。ネットワークインフラストラクチャの構成要素とサービスは、初期設置と継続的な運用においてすべて自動化されます。これにより、従来のオペレーターと比較して必要なコストや工数を最小限に抑制することができます。また、自動化により、人的ミスを避け、問題の迅速な解決や自動修復なども可能となります。

9. OSS/BSSの統一
既存システムにおいて、多数のコンポーネントの混在とその煩雑性がOSS(Operation Support System)の共通課題の1つです。 楽天モバイルネットワークは、初期から統一したOSSを採用し、次世代の機能を備えた単一のOSSレイヤにより、ネットワークとサービスを横断的に共通管理します。

10. 新たなビジネスモデルとエコシステムの確立
オープンかつ分散化したアーキテクチャを活用し、楽天モバイルネットワークは新たなビジネスモデルを創出するとともに、エコシステムのさらなる拡大を図ります。また、エッジコンピューティングにより、楽天グループの基幹サービスを革新的な方法で提供することも可能となります。

以  上

※ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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