2016年10月24日
  • 楽天株式会社

「楽天テクノロジーアワード2016」を発表

- 革新性をもってIT・ウェブテクノロジーの発展と普及に
貢献した個人・団体を表彰 -

  楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下 「楽天」)は、10月22日に開催した「楽天テクノロジーカンファレンス2016」において、「楽天テクノロジーアワード2016」を発表しましたので、お知らせいたします。

  「楽天テクノロジーアワード」は、IT・ウェブテクノロジーの革新的進化や一般社会への普及に寄与した功績を表彰するもので、今年で9回目となります。選考は、楽天テクノロジーアワード選考委員会(委員長:楽天 三木谷 浩史)によって行われ、今年、最も技術の発展や成長に貢献した個人・団体を選出しました。

  楽天は今後も様々な取り組みを通じ、インターネットサービスを支えるテクノロジーの発展に寄与してまいります。

「楽天テクノロジーアワード2016」

■金賞

【受賞者】
日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 技術理事 博士(工学)
武田 浩一氏

<受賞理由>
50年続く人工知能(AI)研究の歴史において、昨今、「第3次人工知能ブーム」が続いている。武田氏はIBM Research(基礎研究部門)にて、長年にわたり自然言語処理/テキストマイニングの研究に取り組み、自動翻訳、知識発見、質問応答システムなどの技術の基盤となる研究において、成果をあげてきた。

これらの技術研究は、2011年、米国のクイズ番組『Jeopardy!』にてIBM Watsonが人間のクイズ王と対決し、人間に勝ったことで成果を認められ、世界中からも注目を集めた。さらに、昨年より医療分野への応用を開始し、IBM Watsonに癌治療に関連した病院の診断データや論文を学習させた。その結果、本年8月には、医師でも治療法を見い出せなかった特殊な白血病を診断し、さらに正しい治療法を瞬時に示し、患者の命を救うという、素晴らしい実績を残した。

これらの成果には、武田氏が続けてきた自然言語処理/自動翻訳の技術が不可欠であり、人工知能技術の研究を再び活性化させるきっかけを作った氏の業績を高く評価したい。

■銀賞

【受賞団体】
Chef Software, Inc.

<受賞理由>
あらゆる業界の組織において、ITは、バックオフィスの支援機能から主たるビジネスドライバーと変わり、ソフトウェアは今日のデジタル産業の原動力となった。各組織は、より高いレベルにおいて、より早いスピードでのITの運用や開発に対応するために、大規模な自動化基盤の導入が重要な課題となっている。

「Chef」はITインフラの自動化のための、最も普及したオープンソース・ソフトウェアツールの1つである。70,000を超えるオープンソースの開発者が「Chefコミュニティ」に参加しており、そこで開発されたソフトウェアのダウンロード数は4,000万回以上にのぼる。

「Chef」は、ITシステムの構築と展開を容易に自動化し、展開スピードの改善と安全性の強化のためのインフラストラクチャーをコードに変換する構成を可能とした。

Chef Software Inc.はオープンソースの技術の発展に深くコミットするとともに、世界中の何万ものユーザーが、IT環境を簡単にかつ安全に運営できるよう努力を続けている。
同社は、創業より8年以上IT業界に貢献しており、その実績を高く評価するとともに、今後のさらなる貢献に期待し、ここに表彰したい。


【受賞者】
Spotify Technology S.A. アジャイルコーチ
ジョナサン・ラスマセン 氏

<受賞理由>
技術だけではアジャイル開発は成立しない。ジョナサン・ラスマセン氏は、アジャイル開発の草分け的企業であるThoughtWorks社で開発者およびアジャイルコーチとして活躍した後、2010年に書籍『The Agile Samurai」を出版した。本書は高い技術を持つ開発チームでも、要件定義が間違っていたために失敗したという経験をもとに、開発者の立場から関係者に要件を的確に問う手法「インセプションデッキ」をはじめ、ソフトウェア開発者に限らず、幅広い読者にアジャイルの概要を伝える内容となっており、日本語訳『アジャイルサムライ」は日本で最も売れたアジャイル関連書籍の一つとなっている。

ラスマセンは現在、組織的にアジャイル開発を行なっていることで著名なSpotify社でエンジニアリングを指導しており、常にエンジニアとしても指導者としても、第一線に立って新たな道を切り開いている点を高く評価したい。


■ルビー賞

【受賞者】
児玉 哲彦 氏

<受賞理由>
近年、人工知能が人間の能力を超えること(「Singularity」)が叫ばれているが、児玉氏は、著書『人工知能は私たちを滅ぼすのか』において、人工知能が発展してきた歴史を振り返り、世間に今後何が起きるのかをわかりやすく提示した。
児玉氏は、著書においてノイマン型コンピューターの開発からインターネットの登場、人工知能の発展の歴史をストーリー仕立てでわかりやすく論じるとともに、この先に向かうであろう「Singularity」の世界において、我々人類はどのように生きるべきかを訴えた。

人工知能の発展が加速する時代における、技術革新に留まらない、人間の在り方、社会の在り方を考えるきっかけとなったことを高く評価したい。

■ルビー賞

【受賞者】
シャープ株式会社 コンシューマーエレクトロニクスカンパニー通信システム事業本部
コミュニケーションロボット事業推進センター
商品企画部チームリーダー
景井 美帆氏

<受賞理由>

ケータイ+ロボット。ケータイのように常に持ち歩くことができるロボットを作れたら、と考えた開発者は数多くいたかもしれないが、実際に販売される製品として実現したのは、シャープのRoBoHoNが世界で最初である。2015年秋のCEATECで公開された際には大きな注目を集め、2016年5月に販売を開始した。

RoBoHoNは、実働するロボットであり、アンドロイドOSを搭載するスマートフォンであり、AI技術を利用した音声対話型のパーソナルアシスタントでもある。さらに、カメラとプロジェクターの両方を装備した最先端のデジタルガジェットにもなる。シャープの情報家電の技術を結集した製品となっている。

景井氏はプロジェクトリーダーとして、ロボットクリエイターの高橋 智隆氏と協業し、世界初の実用的なケータイ+ロボットを製品として、世に送り出した。その課題定義力とチャレンジ精神、なにより実現力を高く評価したい。

(敬称略)

<選考委員>
委員長    楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 最高執行役員 三木谷 浩史
委員      楽天株式会社 副社長執行役員 平井 康文
           楽天技術研究所 代表 森 正弥
           楽天技術研究所 フェロー まつもと ゆきひろ
           楽天テクノロジーカンファレンス 事務局

 

以 上

※ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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