児童養護施設を巣立つ子どもたちへ

2018年2月6日
by Sustainability

まだ寒い日が続きますが、まもなく巣立ちの季節。この3月に高校を卒業し、同時に児童養護施設を巣立っていく子どもたちがいます。彼らの自立に向けたサポートを行っているNPOブリッジフォースマイルの事務局長・菅原亜弥さんにお話を伺いました。

認定NPO法人ブリッジフォースマイル 事務局長 菅原亜弥さん

「つながり」を重視

ーブリッジフォースマイルは、どんな活動をしていますか。
首都圏を中心に、親からの虐待などの様々な事情で家庭で暮らせない子どもたちに向けた活動を行っています。子どもたちのほとんどは児童養護施設で生活していますが、18歳になると施設からは自立しなければなりません。ブリッジフォースマイルは、その自立のために必要な様々な支援を行っています。 18歳という未成年の年齢で、日本社会で自立していくには様々な困難があります。周りに相談できる大人が少なく、問題を一人で抱え込んでしまう子もいます。そのために、施設を巣立つ前には自立のための準備、巣立った後には気軽に相談できる関係づくりを重視しています。

高校3年生を対象にした「巣立ちプロジェクト」

RMSで運営効率化

ー「巣立ちプロジェクト」には、楽天のRMS(楽天マーチャントサーバー)を使って頂いていますね。 
はい。参加した高校生に生活用品をプレゼントするため、個人や企業からの寄付を頂いています。家電や調理器具、寝具、スーツなど、ニーズに合わせて様々な商品があります。以前は、申込用紙に子どもたちの希望商品を記入してもらい、それをスタッフが手作業でマッチングしていました。ただ、年々参加者が増えて来る中で、そのマッチング作業にも限界を感じていました。 そのことを楽天さんに相談したのがきっかけで、楽天市場の店舗様向けシステムであるRMSを使わせて頂くことになりました。具体的には、プレゼントを商品として登録し、子どもたちがクーポンを使って好きな商品を申し込めるようにしています。今まで手作業だった事務局の作業が大幅に効率化できたのはもちろんですが、実際の商品画像を見て選べるなど、子どもたちや施設職員さんの利便性も向上しています。

プレゼントの内容や画像をRMSに登録

ただ、IT環境は施設によって異なり、ネットショッピングに馴染みのない職員さんもいらっしゃいます。導入にあたって心配していたのは、施設職員さんや子どもたちがシステムを使いこなせるかということでした。そこで、導入時には楽天の社員さんから使い方の説明をしてもらう場を作り、スムーズに使って頂けるようにしました。個人情報の管理やセキュリティの観点でも、楽天市場のシステムであるということで施設職員さんにも安心して頂けているようです。

ーどんなプレゼントが人気ですか。
タブレット端末や新品の寝具セットのほか、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機など一人暮らしの必需品である家電が人気です。お米をはじめとする食料品を定期的に届けるというものもあります。

ー今後の展望を聞かせてください。
首都圏だけでなく佐賀でも活動を開始し、巣立ちプロジェクト以外の取り組みも増えてきています。RMSのようなシステムを活用することで、より多くの子どもたちを応援できるのでは、と考えています。 施設を巣立つ子どもたちに対しては、給付型奨学金なども始まり、少しずつですが金銭的な支援は充実してきています。子どもたちにとっては進学のハードルが下がることになりますが、そこに行きつくまでのソフト面での支援や、進学・就職した後のサポートも必要です。ブリッジフォースマイルとしても、キャリア支援や、つながりの支援に力を入れていきたいです。

ー未来へ踏み出していく子どもたちのサポートに、楽天としてもお役にたてれば幸いです。本日はありがとうございました。