【技術解説】5Gで本格化する「ネットワークスライシング」とは?楽天モバイルが進めるモバイルネットワークの研究開発をご紹介します

この【技術解説】シリーズは、楽天モバイルのネットワークに導入しているテクノロジーや今後注力していく分野について解説する連載記事です。今回は、5Gで本格化するモバイルネットワーク機能の一つである「ネットワークスライシング」について解説します。

ネットワークスライシングとは、サービスに応じてモバイルネットワークを仮想的に分割してスライスとして運用する技術です。サービスごとにネットワークを仮想的に分割することで、5Gネットワークを利用する様々なサービスの品質要求に合わせて最適なネットワーク品質の提供が可能となります。

モバイルネットワークは、携帯基地局などを含む無線アクセスネットワーク(RAN)や交換局などを含むコアネットワークで構成されています。このネットワーク全体を5Gの通信技術に基づき構成する「Stand Alone方式5Gモバイルネットワーク(5G SA)」では、ネットワーク制御が高度化し、ネットワークスライシングに対応しています。

ネットワークスライシングのイメージ。ネットワークを多様な用途に応じて
仮想的に切り分けることで、ユーザーに最適なサービスを提供できます。

 

楽天モバイルのネットワークスライシング実現に向けた取り組み

楽天モバイルは、自社モバイルネットワークで使用しているネットワークの装置構成や使用状況を自動的に設定・管理・調整するシステム(オーケストレーター)の機能を拡張し、ネットワークスライシングに対応可能な「ネットワークスライスオーケストレーター」を開発しました。

既に2021年7月には、実証実験用の5G SAのネットワーク構成において、ネットワークスライスオーケストレーターを用いて、端末からモバイルネットワークを通じた端末までの通信(エンドツーエンド)でネットワークスライスを自律的・自動的に運用すること(スライスオーケストレーション)を実現し、ネットワークスライシングに対応した試験端末を用いたネットワークスライス上での通信に成功しました。また、「スライスオーケストレーション技術」により、エンドツーエンドでのネットワークスライスの作成、各ネットワークスライスにおけるサービス品質の監視、サービス品質劣化の検知と回復に向け、自動的にシステムの処理能力を向上させることに成功しました。

ネットワークスライスオーケストレーターによってネットワークスライスを人の手を介することなく自動的に運用管理することが可能となり、日々のネットワーク構成の変更やサービス追加/変更に対応する膨大な工数の削減と、高品質なサービスの提供が可能となります。

エンドツーエンドでネットワークスライスオーケストレーターを用いることで、
システムによる自律的・自動的なスライス作成・運用・管理が可能となります。

このネットワークスライスオーケストレーターに関する研究開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より2020年に採択された「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の「クラウド型ネットワーク統合管理・自動最適化技術(OSS/MANOのソフトウェア)の研究」において進めているものです。

今後は、AIを用いたネットワークの異常発生予測、問題発生時の主原因特定、ネットワークリソースのリアルタイムでの最適化等の技術を開発し、オーケストレーターの高度化を目指していきます。また、研究開発及び実証実験の成果を活かして、楽天モバイルの商用5Gネットワークや「Rakuten Communications Platform」(RCP)(注)のインフラ基盤やコンポーネントにおいてもネットワークスライスオーケストレーターを展開し、ネットワークスライシングに対応していきます。

(注)「RCP」は、完全仮想化された、クラウドネイティブでソフトウェア中心かつOpen RANベースのモバイルネットワークプラットフォームです。クラウドや仮想化、オープン化の力を活用することで、通信事業者の5GとOpen RANの導入を加速させます。

 

 

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