スポーツ観戦の未来~ウィズコロナ、新しいスポーツの楽しみ方(楽天イーグルス編)

6月、7月にかけて日本のプロ野球、プロサッカーリーグが開幕・再開しました。数カ月にわたる公式戦中止期間、多くのファンが再開の日を待ち望んでいたことでしょう。新型コロナウイルス感染防止策を取りつつスタートした開幕戦以降、野球場やサッカースタジアムでは色々な工夫がされ、ソーシャルディスタンスを保ちながら試合観戦ができる取り組みが行われています。

スポーツの楽しみ方、応援の仕方が変わっていくであろうウィズコロナ・アフターコロナ社会に向けて、スポーツの感動や楽しさを世の中に広めるための活動やスポーツ観戦の未来について、「東北楽天ゴールデンイーグルス」(以下、「楽天イーグルス」)広報部にお話を伺いました。

次回、「ヴィッセル神戸」広報部へのインタビュー記事も掲載予定です。)


――長い休止期間を経て、6月にプロ野球公式戦が開幕しました。チームの選手や広報含むスタッフはどのように受け止めていますでしょうか?

楽天イーグルス広報: プロ野球界だけでなく、プロスポーツ業界、世界中が、新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態への対応を求められ、まだまだ油断のできない状態が続いています。選手・スタッフ一同、早期から感染拡大防止の対策を徹底して行ってきましたが、休止期間中は先の見えない状態に、不安を募らせた選手・スタッフも多かったと思います。

プロ野球が開幕を迎えられたのは、関係する様々な方の協力・支えがあったからこそと考えています。ご協力いただいたすべての皆様と、未だ続くコロナウイルス感染拡大の恐怖に最前線で立ち向かっているすべての医療従事者の皆様に本当に感謝しています。

6月23日、無観客でホーム開幕戦をむかえた選手たち。観客席にファンの姿はなくても、プレーに対する意気込みがインターネット中継から伝わってきた。

――特にホーム開幕戦は特別なものだったと思います。開幕にあたりどのようなことを心がけて準備しましたか?

楽天イーグルス広報: これまでは、スタジアムにご来場いただき、野球が好きな人もそうでない人も小さいお子さまからご高齢の方までが一日中楽しんでいただけるスタジアムのボールパーク化ということを進めてきました。今回、無観客での開幕から有観客に移行していくにあたり、コロナウイルスの感染拡大を防ぐためスタジアムでは静かな応援のみにしていただく、席を間引きして観客数を絞るという、これまでと真逆の方向での取り組みでしたので、最初は戸惑いがあったことも事実です。

一方で、新しいテクノロジーを使って、デジタルで観戦体験をどう楽しんでいただくかというニューノーマル(新しい日常)の観戦体験は、5GやVRなどラグビーW杯でもトライされていて、将来的には必然的にくると予想されていた世界ではありました。新型コロナウイルスの影響を受けて、在宅勤務という新しい働き方が急速に広がったのと同じように、将来的に考えるべき新しい観戦体験を前倒しで検討する段階になったと捉え、スポーツ界の新しい方向性を模索しよう、「楽天イーグルス」から発信していこうと前向きに取り組んできました。

――ホーム開幕戦以降、反響の良かった取り組みは何でしょうか?

楽天イーグルス広報: 「楽天イーグルス」が「Rakuten LIVE」に公式アカウントを開設し、ホームゲーム開催日に、試合中継ではなく、球団マスコットや「東北ゴールデンエンジェルス」が応援している姿やトークのライブ配信をスタートしました。ファンが送ったコメントや「いいね」にマスコットやエンジェルスが反応したり、7回のジェット風船のタイミングでは、「Rakuten LIVE」とコラボした「ジェット風船ギフト」が合図に合わせて飛び交ったり、おうちで楽しむ「新しい観戦体験」を提供できたことは、球団にとっても新たなチャレンジとなりました。

「Rakuten LIVE」の公式アカウントでは、試合中に「東北ゴールデンエンジェルス」がファンのメッセージに反応したりチアダンスを披露し、オンライン観戦を盛り上げた 。

――無観客での試合開催という未曾有の事態が続いていました。選手たちの気持ちやモチベーション、チームの状態はいかがでしょうか?

楽天イーグルス広報: 無観客での試合期間は、リモートでの観戦やプロ野球の開幕に向けてファンの皆様にもご協力をいただき、応援動画や試合中のリモート応援など、様々な形でスタジアムを盛り上げていただきましたが、やはりスタンドにお客様がいて実際の応援の熱量を感じられないことは、少なからず選手たちのパフォーマンスにも影響はあったと思います。

ホーム開幕戦先発投手の大役を任され、7回2死まで無失点で投げ切った弓削 隼人選手。

プロ野球では無観客期間を経て7月10日より段階的ではありますが、有観客での試合がスタートいたしました。まだまだ感染に伴う制約・禁止事項は多く、限られた人数ではありますが、ファンの方々の応援が「声援」から「拍手」という形に変わり、実際に一番近いスタンドから感じられるようになったことで選手のモチベーションやパフォーマンスもより一層高くなっていると感じています。

――ウィズコロナ時代の現在、新しい観戦スタイルが始まりました。スタジアム内での選手へのサポート、視聴者の応援が届く仕組みを教えてください。

楽天イーグルス広報: 無観客試合の期間には、オンライン試合観戦企画「ファイト イッパーツ!オンライン応援わしほールーム supported by リポビタンD」や、MyHEROタオルを掲げる「楽天イーグルス」定番の応援スタイルを受けて、ファンの方がご自身で選んだ選手のMyHEROタオルを、ファンの方の代わりに座席に掲げて選手を応援する「離れていても想いはひとつ!~MyHERO応援プロジェクト~」などを実施しました。 

(写真左)無観客でも選手を応援する工夫として、ファンから寄せられた選手のタオルが置かれた。(写真右)6月19日~7月5日までオンライン試合観戦企画の様子。MC柳雄介さん(左)がゲストと共に、リアルタイムでオンライン試合応援イベントを盛り上げた。

段階的ながら有観客がスタートし、マスク着用の義務化や、座席はソーシャルディスタンス確保のため間引きでお座りいただいたりしています。これまで楽しんでいただいた大きな声を出しての応援やジェット風船を飛ばす、タオルをまわすといったスタジアムならではの光景は当面は見られませんが、拍手や応援バットで選手を後押しいただいたりなど、安心・安全を前提にしながら、どうやってニューノーマルの中で非日常的な観戦体験を楽しんでいただくのか、まだ我々も答えが出ている訳ではありませんが、これからもファンの皆様とともに模索していきたいと思っています。

場内のバックスクリーンやkoboビジョンには、オンラインイベントに参加するファンがタオルをまわす姿が映された。

――無観客やハイブリッドなど、新しい観戦・応援スタイルが一般的になることが予想されます。チーム広報としてどのようにチームやスポーツを広めていきたいと思いますか?

楽天イーグルス広報: お客様にはニューノーマルな観戦体験をご提供していく中で、これからデジタルだからこそできることをもつきつめていかなければなりません。そこには選手・チームの協力が必要不可欠となります。これまでの選手が参加するイベントやトークショーなど、現地に行けば目の前に選手がいるという体験に変化を持たせることが重要です。

しかし、プロスポーツはやはりスタジアムにお越しいただき、実際に選手のプレーを目の前で見ていただくことが一番の観戦体験だと考えています。安心・安全に非日常の空間をスタジアムで楽しんでいただけるように、まずは目の前にある新型コロナウイルスという未曽有の危機にしっかりと立ち向かい、感染防止対策を徹底していきます。その上で、ファンの方々と一緒になって、新しい観戦スタイルを模索できたらと思っています。


日本プロ野球が開幕し喜びを感じているのは、選手、そしてチーム関係者も同じでした。「楽天イーグルス」、そして各球団が取り組む「新しい観戦スタイル」がより一般的になることで、コロナ禍においてもスポーツを楽しめるということが実証されつつあります。

困難な状況である今だからこそ、スポーツが与えてくれる感動と絆は、スタジアム内外問わずファンとチームの間により強く存在しているのかもしれません。頑張れイーグルス!

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