アップサイクルとは?
リサイクル・リメイクとの違いと取り組み事例

アップサイクルとは、いらなくなったものや廃棄されるものに手を加えて、今までよりも価値の高いものにつくり変えることです。アップサイクルは、廃棄物やごみの量などを減らせて環境問題の解決にも効果的なので、世界でも注目されています。

この記事では、アップサイクルについて、基本的な概要から推進するメリットやデメリット、SDGsとの関連性を説明します。また、アップサイクルの具体例など、必ず押さえておきたいポイントを解説します。

後半では、私たちでも気軽にできるアップサイクルもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.アップサイクルとは?

  • アップサイクルとリサイクルの違い
  • アップサイクルとリメイクの違い
  • 反対の意味のダウンサイクル

2.アップサイクルを推進するメリットは?

3.アップサイクルのデメリットや課題点は?

4.アップサイクルとSDGsの関連性は?

5.アップサイクルの具体的な取り組み事例を紹介

  • 楽天のアップサイクル事例

6.私たちでも気軽にできるアップサイクルはある?

  • 衣類をバッグや小物入れに
  • コーヒーかすやお茶の出がらしを消臭剤に
  • ドリンクカップを鉢植えに

7.まとめとアップサイクルを通じた環境への向き合い方

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アップサイクルとは?

解 説

アップサイクル(Upcycling)とは、捨てる予定のものや不要になったものに手を加えて、もとの品物より価値の高い製品に変えて再利用することです。

アップサイクルは、新しいアイデアを付け加えたり、デザイン性を高めたりすることで、新たな価値を創造した上で再利用することが特徴です。そのため、アップサイクルは、クリエイティブリユース(創造的再利用)と呼ばれることもあります。

なお、「アップサイクル」という言葉が広まったのは、設備や機械を取り扱うドイツの企業「ピルツ」のレイナー・ピルツ氏が、1994年マスコミの前で使ったことがきっかけです。

アップサイクル製品は、すでに多くの企業やファッションブランドなどが手掛けています。例えば、廃タイヤや壊れたビニール傘などをハンドバッグにするなど、さまざまな実践例があります。

また、アップサイクルは、サステナブル商品※としても注目されています。捨てるはずだった製品を再利用するアップサイクルは、廃棄物の発生や資源の消費を抑えることができるため、持続可能な社会の実現に役立つからです。

※サステナブルとは、「持続可能な」という意味です。近年では、環境問題や人口増加による資源不足といった世界的な課題を解決するために、ファッションや食品・住宅などあらゆる分野でサステナブルという言葉が使われており、持続可能な社会の実現に向けて様々な取り組みが行われています。

サステナブルについて詳しくは サステナブルとは?SDGsとの関係や取り組み事例を紹介 をご覧ください。

アップサイクルとリサイクルの違い

アップサイクルとリサイクルの違いは、再利用するときに、素材に戻すかどうかという点です。アップサイクルは、素材に戻しませんが、リサイクルは素材に戻します。

もう少しわかりやすく説明すると、廃棄物を細かく切ったり溶かしたりして製品になる前の素材の状態まで戻してから、再び製品をつくる材料としてその素材を再利用するのが、リサイクルです。

例えば、ペットボトルを溶かして新たなペットボトルをつくったり、繊維にして衣類の原料にしたりするのは、リサイクルにあたります。他にも、古紙をトイレットペーパーにする、空き缶を家電やサッシにする、などもリサイクルです。

一方、アップサイクルは、製品の特徴を活かし価値を付け加えて別の用途の商品をつくるため、素材に戻すことはありません。

先ほどのペットボトルの例で言うと、ボトルに装飾を施して花瓶にしたり、カットして小物入れにしたりして再利用するのが、アップサイクルです。

リサイクルと比べてアップサイクルは、廃棄物を素材に戻す工程がないため、その分加工に必要な水やエネルギーを使用することがありません。環境への負荷を考えると、素材に戻さないアップサイクルは、余計なエネルギーを消費しないので、リサイクルよりサステナブルと言えます。

アップサイクルとリメイクの違い

アップサイクルとリメイクの違いは、「再利用によって価値が上昇することを重視するかどうか」という点です。アップサイクルは、再利用後に価値が上がる場合のみを指しますが、リメイクは価値が下がる場合も含みます。

リメイクとは、不要になった製品の特徴を活かして再利用し、別の製品に変えることです。

例えば、古着を仕立て直すのは、別の製品に生まれ変わっていためアップサイクルには該当しません。また、古着を雑巾にするのは、元の製品より一般的な価値が上がらないため、リメイクには該当しますが、アップサイクルにはあてはまりません。
廃材から家具を作ったり、履かなくなったジーンズでバッグを作ったりするのがアップサイクルになります。

リサイクルやリメイクの他に、アップサイクルと間違われやすいものでリユースやリデュースがあります。
リユースは、いらなくなった製品をそのまま手を加えずに再利用することで、リデュースは廃棄物が出ないように不要な商品を買ったり、貰ったりしないようにすることを指します。

反対の意味のダウンサイクル

ダウンサイクルとは、アップサイクルとは反対に、廃棄物や不要になったものを再利用して、もとの製品より価値の低いものに変えることです。

例えば、先ほどリメイクの例で挙げた「古着を雑巾にする」は、ダウンサイクルにもあてはまります。また、古紙をごみ箱などにするのも、ダウンサイクルです。

ダウンサイクルでは、再利用前に比べて価値や品質が下がるので、再利用したとしても、短い期間で再び廃棄の対象となってしまう可能性が高く、持続的な利用には向かないことが多いです。ただ、そのまま廃棄してしまうよりは有効な活用法といえます。

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アップサイクルを推進するメリットは?

解 説

アップサイクルを推進することで、「資源の節約」「廃棄物発生の抑制」「二酸化炭素の排出減少」など、さまざまなメリットがあります。

アップサイクルは、もともと廃棄物になる予定だったものを再利用して、新たな製品に変えています。そのため、製品をつくるための資源を節約できることに加え、廃棄物を減らすことにもつながります。

廃棄物を減らすことで、処分に必要な埋立地や焼却施設の利用から、そこまで廃棄物を運ぶ運搬作業を減らせます。これによって、廃棄物の処理に伴う二酸化炭素の排出も削減できます。

ファッション業界全体の廃棄物の量からすると、アップサイクルが占める削減量は少ないですが、廃棄物や二酸化炭素の排出を減らすことは、環境への負荷を減らし深刻化している気候変動などの環境問題の解決にもつながります。

環境問題などについて、詳しくは 環境問題とは?いま起こっている主な問題と私たちにできること をご覧ください。

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アップサイクルのデメリットや課題点は?

解 説

アップサイクルには、「材料の安定供給が難しい」「コストや労力がかかる」「いずれは廃棄する必要がある」などのデメリットや課題があります。

アップサイクルを大規模に事業として行う場合は、再利用するための廃棄物や不要な素材を大量かつ安定的に集める必要があります。しかし、廃棄物や不要なものは、偏って発生することが多く、安定してアップサイクルを行うのが難しいといえます。

また、アップサイクルするには、廃棄物や不用品などを集めるときに分別や回収を適切に行う必要があり、その仕組みづくりのためにコストや労力がかかります。

その他に、せっかく廃棄物をアップサイクルして価値を高めても、一部の素材は劣化していくので、いずれは廃棄する必要があります。

加えて、アップサイクル後の製品の品質は、アップサイクル前の製品の質に依存します。そのため、廃棄物・不要物の質が低いと、アップサイクルを行うこと自体が難しくなるケースも少なくありません。

そのため、ファッション業界でサステナブルな社会を目指すには、アップサイクルだけでなく、リサイクルやリユースなど他の取り組みも同時に進めていく必要があります。

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アップサイクルとSDGsの関連性は?

解 説

アップサイクルは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に役立つ取り組みです。

SDGs(持続可能な開発目標)とは、Sustainable Development Goalsを略したものです。2015年9月の国連サミットで採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられた目標で、SDGsには気候変動などの深刻化した環境問題や貧困への対策など、社会・経済・環境の分野で解決すべき課題について、具体的な内容がまとめられています。

その中でも、アップサイクルと関連の深いSDGsの目標12は、「つくる責任 つかう責任」をテーマに、将来にわたって安定して持続できる消費活動と生産のあり方の促進を目指しています。

SDGsの目標12の中で、特にアップサイクルと関連性が高いのが、ターゲット12-4・5です。

SDGsの目標12でアップサイクルと関連性が高いターゲット

12-4

2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

12-5

2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

※引用:外務省 JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

不要になったものを捨てるのではなく、新たな商品に生まれ変わらせて再利用するアップサイクルに積極的に取り組むことで、廃棄物の発生を抑えることができます。そのため、アップサイクルは、上記のようなSDGsの目標達成に貢献できると期待されています。

また、不用品を材料にするアップサイクルは、資源の無駄づかいをなくすのにも効果的です。そのため、資源の効率的な利用を推進するSDGsのターゲット9-4にも関連しています。

5

アップサイクルの具体的な取り組み事例を紹介

解 説

さまざまな企業やブランドがアップサイクルの取り組みをおこなっています。ここでは、日本のアップサイクル取り組みの一例を、業界ごとに見てみましょう。

【業界別】アップサイクルの取り組み事例

ファッション業界
  • シーズンが過ぎたものや在庫化した商品を廃棄せず、生地などを再利用し、バックとして販売
  • 使わなくなった着物を洋服や靴にリメイクして販売
食品業界
  • 製造の過程で廃棄される原料などを、飼料や肥料・燃料などに使用
  • 抽出したコーヒーかすを文房具や雑貨にするなど日用品の原料として利用
製造業界
  • 利用後のアクリル板などの製品を廃棄せず、別の商品やアート作品の素材として利用
その他
  • 使用しなくなった倉庫を文化複合施設として再利用
  • 役目を終え廃棄予定の車のエアバッグをレジャーシートにする
  • 廃棄する消防服をアウトドアグッズに再利用

このように廃棄物として処分されるはずだった製品を、工夫を凝らして再生させたサステナブル商品が多数あります。商品購入時は、このようなアップサイクル商品を検討してみることで、サステナブルな社会の実現に貢献できるでしょう。

楽天のアップサイクル事例

楽天グループでは、スポーツ競技を通して、サステナビリティの観点から、アップサイクルに取り組んでいます。

2023年に、楽天イーグルスヴィッセル神戸と協力し、本来であれば廃棄されていたスタジアム看板の一部をアップサイクルし、応援アイテム「ハリセン型シートクッション」に生まれ変わらせました。

さらに、この「ハリセン型シートクッション」を、サステナブルなアクションをSNSに投稿してスタジアムへ来場したファンに先着順でプレゼントするキャンペーンも実施しました。

詳しくは 楽天イーグルス:2022シーズンのスタジアム看板が、グッズに生まれ変わりました! ヴィッセル神戸:2022シーズンのスタジアム看板が、グッズに生まれ変わりました! をご覧ください。

6

私たちでも気軽にできるアップサイクルはある?

解 説

要らなくなった衣類・抽出後のコーヒーの粉・使用済みのドリンクカップなど、身の回りのさまざまなものをアップサイクルできます。

それでは、身の回りの廃棄物や不用品を活かしたアップサイクル方法を見ていきましょう

衣類をバッグや小物入れに

手軽にアップサイクルに挑戦するなら、着ていない衣服を、バッグやポーチ・財布といったアイテムにアップサイクルすることをおすすめします。

このアップサイクルは、もともとの服の特徴を、つくり変えるバッグや小物入れにそのまま生かせるのが特徴です。

例えば、柄付きのものであれば、デザインをそのまま生かすことができますし、ジーンズ素材であれば、強度の優れたものにアップサイクルできるでしょう。最近のお出かけに欠かせないエコバッグを、手作りすることも。

コーヒーかすやお茶の出がらしを消臭剤に

コーヒーやお茶を飲む機会が多いなら、使用後のコーヒーの粉やお茶の葉を、消臭剤にアップサイクルしてみましょう。

抽出した後のコーヒーの粉は多孔質の構造になっていて、アンモニアの脱臭効果が高いのが特徴です。また、お茶の葉はカテキンの作用により、優れた消臭効果があります。緑茶の他に、紅茶やウーロン茶・麦茶の茶殻も消臭剤に適しています。

消臭剤にアップサイクルするには、弱火で煎る・天日干しなどの方法で乾燥させた後に、ティーバッグや布袋に入れて、臭いが気になる場所に置いてください。靴箱や冷蔵庫など気になる場所の臭いを、効果的に減らせるでしょう。

ドリンクカップを鉢植えに

ドリンクカップやペットボトルは、鉢植えにアップサイクルできます。

一番シンプルな方法は、ペットボトルを適当な高さで横に切り、穴を数か所空けて土を入れるだけで鉢植えをつくることができます。成長の段階で、使うペットボトルの大きさを変えていくとよいでしょう。

他にも、2つに切ったペットボトルのキャップがついている方を逆さに重ねるなど作り方はいろいろあります。お手製のおしゃれな鉢植えにお気に入りのグリーンを植えて、室内やベランダなどに飾ってみてはいかがでしょうか。

このように、アップサイクルは、身の回りのものでも、アイデア次第で気軽に挑戦できます。また、購入する商品の選び方を変えるだけでも、アップサイクルに関わることは可能です。アップサイクル商品を購入することも方法の1つです。

例えばEARTH MALL with Rakutenでは、サステナブルファッションや食品・雑貨などのサステナブル商品の他にアップサイクルして作られた商品も取り扱っています。
アップサイクル商品を探すなら、EARTH MALL with Rakuten をご活用ください。

 

7

まとめとアップサイクルを通じた環境への向き合い方

ここまでアップサイクルについて説明しました。アップサイクルとは、廃棄物や不用品に手を加えて、価値の高い品物に生まれ変わらせることです。廃棄物を減らすことができ、新たな製品をつくるときの資源の消費量を抑えられます。アップサイクルは、SDGsの達成に効果的な対策として注目されており、多くの企業やファッションブランドがアップサイクル製品の開発に取り組んでいます。

また、企業だけではなく個人でも、身の回りの要らないものを別の用途としてアップサイクルすることが可能です。他にもアップサイクル商品を購入することでもアップサイクルの取り組みに参加することができます。

今回ご紹介したアイデアなどを参考にして、アップサイクルを通じた環境改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

監修:藤野 純一
地球環境戦略研究機関(IGES)上席研究員

東京大学大学院工学系研究科博士学位取得。国立研究開発法人主任研究員などを経て、2019年度よりIGES専任。日本低炭素社会研究プロジェクト(2004年~2008年)やアジア低炭素社会研究プロジェクトの幹事(2009年~2013年度)として携わり、中央環境審議会地球環境部会中長期ロードマップ小委員会専門委員として、2050年までに二酸化炭素排出量を大幅削減する「低炭素社会」のシナリオ作りに携わった。気候変動のCOPには2005年(COP11)から継続して参加。

楽天グループの取り組み

楽天グループでは、2022年に安心して暮らせる社会を次の世代へとつなぐため、環境に配慮したグリーンな未来を呼びかける「Go Green Together」プロジェクトをスタートしました。特設サイトでは、気候変動をはじめとするさまざまな環境課題に一人ひとりが向き合うためのヒントや、課題解決の後押しとなるキャンペーン・サービスなどを紹介しています。楽天グループにおける環境への配慮についても紹介していますので、ぜひチェックしてみてください!

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目次

1.アップサイクルとは?

2.アップサイクルを推進するメリットは?

3.アップサイクルのデメリットや課題点は?

4.アップサイクルとSDGsの関連性は?

5.アップサイクルの具体的な取り組み事例を紹介

6.私たちでも気軽にできるアップサイクルはある?

7.まとめとアップサイクルを通じた
環境への向き合い方

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