サステナブルとは、「持続可能な」を意味する言葉です。世界的にSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の目標達成に向けた取り組みが求められるようになる中、さまざまな分野で「サステナブル」が使われるようになりました。
今回は、サステナブルの意味・サステナビリティが求められる理由や背景・SDGsとの関係・取り組み例など、基本的なポイントをわかりやすく解説します。
後半では、私たちがサステナブルに暮らすためにできることをご紹介しますので、ぜひサステナビリティへの理解を深め、ご参考にしてみてください。
※SDGsとは、世界各国に存在する環境問題や貧困・差別などの課題を世界全体で解決するため、2015年に国連サミットで193の加盟国により、全会一致で採択された国際社会共通の目標のことです。
サステナブル(Sustainable)は、「持続可能な」という意味で使われています。SDGsの達成や、環境問題の解決などと関連性の高い言葉です。
サステナブル(Sustainable)とは、「持続する」を意味する「sustain」と、「できる」を意味する「able」を組み合わせた言葉です。
もともとは、欧米で環境意識の高まりとともに使われるようになった言葉ですが、最近では、日本でもよく目にするようになりました。
サステナブルという表現は、環境に配慮していたり、長く使い続けられるよう工夫していたりする製品や取り組みに対して多く使われています。代表的な例でいえば、「サステナブルな暮らし」・「サステナブルな社会」・「サステナブルな商品」などがあります。
また、サステナブルと同様によく使われているのが、「サステナビリティ(Sustainability)」です。これは、「持続可能性」を意味します。
サステナビリティは、地球の環境や社会など、ともに両立していけるような経済発展のための概念として、企業の経営や製品づくりなどと関連して見かけることの多い言葉です。
サステナビリティが求められる背景には、社会問題や環境問題などが深く関わっています。特にサステナビリティが注目されるきっかけとなった環境面において主に以下のような理由があります。
・環境問題の増加
・人口の増加や資源不足
・消費者の意識の変化
近年、サステナブルな社会やサステナブルな商品づくりなどの取り組みが求められるようになった大きな理由は、3つあります。
①環境問題の増加 |
|
---|---|
②人口の増加や資源不足 |
|
③消費者の意識の変化 |
|
それぞれの理由・背景について、もう少し具体的に見ていきましょう。
サステナビリティが求められるようになった理由の1つが、地球環境への悪影響が大きくなっていることです。
これまで大量に生産・消費・廃棄する消費型の経済活動は、人間の生活を豊かにしました。しかし、それと引き換えに、地球環境へは悪影響を及ぼすものも多く、地球温暖化や海洋汚染といった環境問題を引き起こす要因となってしまっていました。
例えば、生産活動や自動車の利用などが大規模化したことで、温室効果ガスが発生し、地球温暖化が進行しています。その結果、気温上昇による異常気象や自然災害の大規模化、海水面の上昇による陸地の減少など、すでに多くの影響が出ています。
また、気候変動や大量廃棄による環境汚染などは、生態系の変化を引き起こしました。ほかにも、開発や木材を資源として利用するために大量に木を切ったことで、発展途上国を中心に森林が減少しています。森林が減ると、地球温暖化の進行や災害の大規模化などにつながります。
このような環境への影響を考えると、今までの方法では人間社会を安定的に持続させていくこと自体が難しくなっているため、サステナブルで環境に配慮した活動や取り組みが欠かせなくなっています。
ここ取り上げた環境問題について詳しくは「環境問題とは?いま起こっている主な問題と私たちにできること」をご覧ください。
人口の増加や、利用できる資源が不足していることも、サステナビリティが求められるようになった理由です。
石炭や石油などの化石燃料は、地中深くで長い年月をかけて作られるものなので、使える量に上限があります。
それが、世界全体の人口増加などによって化石燃料や天然資源の消費量が大幅に増えたため、資源不足が想定以上に加速している状況です。
また、地球温暖化対策の観点からも、温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出量も問題視されています。そのため、そもそも石油や石炭といった資源があっても、使用を抑えようという動きがあります。
だからこそ、資源を枯渇させたり無駄に使いすぎたりしないよう、サステナブルな社会や経済発展のあり方に、少しでも早く切り替えることが求められています。
消費者の意識が変化したことによっても、サステナブルな商品づくりの必要性が高まっています。
最近では、「環境問題が深刻化しており、解決に向けた取り組みを行わなければいけない」という意識が、消費者にも浸透し始めています。その結果、製品やサービスを選ぶときに、環境へ配慮しているかどうかを重要視する人が増えています。
生産者や企業側は、このような環境への意識の高い消費者に受け入れられるためにも、サステナブルな製品・サービスづくりに変えていく必要があります。
さらに、持続可能な商品開発を進めることは、消費者に受け入れられやすくなるだけでなく、地球環境や社会情勢に左右されにくい商品を生み出すことにつながるため、企業の持続可能性を高める上でもメリットがあります。
持続可能(サステナブル)な社会を実現するために掲げられた目標として、国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が掲げられました。
SDGs(持続可能な開発目標)とは、Sustainable Development Goalsを略したものです。2015年9月の国連サミットで採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられ、2030年までに、持続可能な世界とより良い未来を実現するために達成すべき、17の大まかな目標と169の具体的な方法を定めています。
◆参考:SDGsの17つの達成目標
※参考:外務省 持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組
上記にあるようにSDGsには、貧困の解決や気候変動対策など、社会・経済・環境の分野で解決すべき課題について、具体的な内容がまとめられています。
サステナブルな社会を実現する必要があると分かっていても、実際に何をどうすればよいのかについては、曖昧で不明確です。そこで、具体的にどのような課題を解決すればよいのかを整理したものが、SDGsと言えます。
SDGsが広く知られるようになればなるほど、これに連動して、サステナビリティの重要性も広く認識されるようになります。持続可能な社会を実現するための取り組みを積極的に進める上で、SDGsは欠かせない存在なのです。
ここ数年では、企業がSDGsに経営戦略として取り組むようになったことで、さらにサステナブルな社会の実現に向けた動きが活発化しています。
これは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に対する企業の取り組み状況を、投資の判断基準にする投資手法である「ESG投資」として企業が重視し始めていることが背景にあります。企業からすると、事業活動を通して、SDGsの目標達成に熱心に取り組んでいるほど、投資をしてもらいやすくなるというメリットがあり、注目されています。
サステナブルな暮らしの実現に向けた取り組みが活発な分野の代表例は、ファッション・食品・住宅などがあります。
それでは、実際にはどのようなサステナビリティの実現に向けた動きがあるのか、企業の取り組みが特に活発化している分野について、例を見てみましょう。
ファッション (サステナブルファッション) |
|
---|---|
食品 (サステナブルフード) |
|
住宅 (サステナブル住宅) |
|
ここでは、各分野で、どうしてサステナビリティの取り組みが広がっているのかも含めて、ポイントを簡単に説明していきます。
アパレル・ファッション業界は、これまで環境負荷の高い産業であったことから、サステナブルな活動に積極的に取り組んでいます。
ファッションは流行り廃りのサイクルが早いので、特に流行を取り入れつつ低価格に抑えたファストファッションを中心に、衣服の大量生産・大量廃棄が多いことが課題です。
さらに、動物の皮や化学繊維を用いることが多く、加工時に大量の水や化学薬品・資源などを使用してしまうことも、環境に悪影響を与えていました。
そこで、アパレル・ファッション業界では、「ごみを減らす」「地球環境への負荷を軽減する」といったサステナブルな取り組みに、力を入れています。その一例を見てみましょう。
adidas |
|
---|---|
ネスレ日本・日清紡 |
|
楽天グループ |
|
世界で生産されている食品のうち、3分の1を占める約13億トンが廃棄処分されている「食品ロス/フードロス」問題は、日本でもたびたびニュースに取り上げられています。その一方で、世界では、人口の急増によって食糧不足になるリスクが高い状況です。
また、農業や畜産業を行うにあたって、多くの二酸化炭素が発生しており、地球温暖化などの環境問題の原因になっています。
食品業界では、これらの問題を解決するために有効な、二酸化炭素の排出を抑える大豆ミートやオーガニック食材に代表されるサステナブルフードの市場が、拡大しています。
サステナブルフードは、他にも環境に配慮し持続可能な漁業を行っている海産物(サステナブルシーフード)や生産者と公平な取引を行っている食品(フェアトレード食品)などがあります。
サステナブル住宅とは、持続的に長く住めるように工夫された住宅のことです。住宅業界では、家族構成が変わっても対応できる家づくりや、環境に配慮し耐久性にも優れた家づくりが推奨され始めています。
例を挙げると、
・間取りを変えやすいシンプルな構造
・建て替えることなく改修がしやすい素材を使用
・太陽光などの自然エネルギーを活かして省エネ可能
・災害に強く、倒壊や全焼しない構造
などが、サステナブル住宅の特徴です。
また、家具業界でも、サステナビリティに配慮する企業が増えています。
IKEA |
|
---|---|
LIXIL |
|
サステナブルな暮らしを送るために、私たち個人にできることは、たくさんあります。例えば、環境に意識した商品を使う・必要以上のものを買わずにごみの量を減らす、などです。
ここでは、ファッション・食品・住宅の3つのジャンルに分けて、暮らしをサステナブルにする行動アイディアをご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
ファッション |
|
---|---|
食品 |
|
住宅 |
|
このように、個人でもサステナブルな社会や暮らしの実現のためにできることは、たくさんあります。
持続可能な未来を実現するためにも、上記で上げたこと以外にも、本などで知識を深めながら、少しずつ自分にできることを日々の暮らしに取り入れていきましょう。
ここからは、サステナビリティを取り入れる際に使えるサービスや、参考にできる特集ページを紹介します。
フリマアプリ 楽天ラクマ を利用することで、廃棄物を減らし、新たに活用してもらうことができます。
省エネ家電に切り替えてエネルギー消費を抑えることは、環境のためにできることの一つです。楽天ビックの省エネ家電ページから、環境や家計への負担を抑える家電をお探しいただけます。
楽天市場の「訳ありグルメ」「訳あり返礼品」を購入することは食品ロスの削減に繋がり、サステナブルなお買い物のひとつです。
訳ありグルメでは、賞味期限が近い商品や製造の過程で出た切れ端のほか、形が不均一になってしまった規格外商品や、在庫が過剰であるが品質に変わりのない商品を、リーズナブルな価格で販売し廃棄を減らす取り組みを行っております。
楽天ふるさと納税の「訳あり返礼品」を選ぶことは食品ロスの削減に繋がり、サステナブルなアクションのひとつです。
訳あり返礼品では製造の過程で出た切れ端や、形が不均一になってしまった規格外のものなど品質 に変わりのない返礼品を集めた特集ページを開設し、フードロス削減やサステナブルな社会づくりに貢献しています。
ここまでサステナブル・サステナビリティについて説明してきました。
サステナブルの意味は「持続可能な」という意味で使われており、環境問題や人口増加による資源不足といった世界的な課題を解決するために、サステナブルな社会・商品開発・暮らしなどが必要とされています。
サステナビリティを実現する上での具体的な方法がまとめられているのが、SDGsの目標です。ファッション・食品・住宅などさまざまな分野の企業が、SDGsの目標達成に向けて取り組んでいます。
私たち個人でも、サステナブルな暮らしの実現に向けて行動できることがたくさんあります。今回ご紹介した内容を参考に、今日からでも実践していきましょう。
東京大学大学院工学系研究科博士学位取得。国立研究開発法人主任研究員などを経て、2019年度よりIGES専任。日本低炭素社会研究プロジェクト(2004年~2008年)やアジア低炭素社会研究プロジェクトの幹事(2009年~2013年度)として携わり、中央環境審議会地球環境部会中長期ロードマップ小委員会専門委員として、2050年までに二酸化炭素排出量を大幅削減する「低炭素社会」のシナリオ作りに携わった。気候変動のCOPには2005年(COP11)から継続して参加。