
デコ活とは脱炭素につながるライフスタイルへの変革を推進する運動のことです。2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、環境省などが中心となって推し進めています。私たち一人ひとりが実践すべきアクションが中心となっていることが特徴です。
今回はデコ活について概要や活動の背景・具体的なアクション・デコ活宣言の意味・自治体や企業の取り組み例などを紹介します。当記事でデコ活の基本的なポイントを把握して実践に役立てましょう。
環境省によると、デコ活とは「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称のことです。デコ活では国や自治体・企業などの団体とともに、私たち消費者一人ひとりが脱炭素につながるライフスタイルや行動に変えていくことを推進しています。
デコ活が後押しされるようになった背景には、日本が掲げる以下の気候変動対策における目標の達成のために、国や企業だけでなく消費者も脱炭素に向けた取り組みが欠かせないことが挙げられます。
環境省によると、目標を達成するには、各家庭において2013年実績と比べ、2030年までに温室効果ガスを66%削減する必要があります。6割以上も温室効果ガスを減らすとなると、ライフスタイルや日々の行動から変えていくことが必要になるので、デコ活が推進されています。
また、脱炭素の必要性は消費者の間に広く浸透しているものの、具体的に何をすればよいのかわからない人が多いこともデコ活が生まれた背景です。環境省の調査によると、「脱炭素」という言葉を知っている人の割合は9割以上だったのに対し、「行動に移している」割合は3割程度にとどまっています。
だからこそ、実際の行動に移せる人を増やすためにも、具体的なアクションを提案するデコ活が推進されています。
それではデコ活の大まかな全体像や特徴を見ておきましょう。
デコ活は国民・消費者の行動変容を目指す活動です。2050年のカーボンニュートラル実現と2030年度の温室効果ガス削減目標の達成に向けて、国民・消費者の行動変容やライフスタイル変革を強力に後押しすることを目的としています。

なお、カーボンニュートラルについて詳しくは、「カーボンニュートラルとは?意味をわかりやすく簡単に解説」をお読みください。
デコ活という名称は、2023年に愛称の公募を行った上で決められました。環境省によると、「デコ活」の「デ」は「Decarbonization(=脱炭素)」、「コ」は「CO2」を意味しています。また、「活」は「活動」を省略したものです。
デコ活はこれまでの脱炭素について知ってもらう「普及啓発」にとどまらず、広く実践してもらう「社会実装」を目的としているのが大きな特徴です。そのため、具体的なアクションを後押しするための提案や支援が中心となっています。
デコ活について正しく理解する上でまず押さえておくべきは、「デコ活アクション」と「デコ活宣言」です。順番に説明していきますので、どのようなものなのか把握しておきましょう。
デコ活アクションは3つのジャンルに分かれた合計13のアクションで構成されています。どれも私たち一般消費者が家庭や職場などで取り組みやすく、暮らしを豊かにできる行動です。
具体的には次のようなアクションがあります。
| まずはここから |
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|---|---|
| ひとりでにCO2が下がる |
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| みんなで実践 |
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ここでは各アクションについて順番に説明していきます。ポイントを押さえて、実践するための参考にしてみてください。
「まずはここから」のジャンルで提案されているアクションは次の4つです。「デコ活」という言葉の頭文字にちなんだ、4つの基本的なアクションがまとめられています。
| 「デコ活」の「デ」 電気も省エネ 断熱住宅 |
【サポート制度の例】
|
|---|---|
| 「デコ活」の「コ」 こだわる楽しさ エコグッズ |
【サポート制度の例】
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| 「デコ活」の「か」 感謝の心 食べ残しゼロ |
【サポート制度の例】
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| 「デコ活」の「つ」 つながるオフィス テレワーク |
【サポート制度の例】
|
なお、各アクションの実践をサポートする制度が自治体などによって整備されています。
「ひとりでにCO2が下がる」のジャンルで提案されているアクションは、一度導入すれば長い期間にわたって温室効果ガス削減に有効なものばかりです。住宅に関するアクションと移動手段に関するアクションが提案されています。
| 住宅に関する アクション |
【サポート制度の例】
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|---|---|
【サポート制度の例】
|
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| 移動手段に関する アクション |
【サポート制度の例】
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上記で触れている再生可能エネルギーについて詳しくは「再生可能エネルギーとは?特徴や種類などわかりやすく解説」をあわせてお読みください。
「みんなで実践」のジャンルでは、衣食住から移動手段・買い物まで幅広い分野にわたるアクションが提案されています。
| 「衣」に関するアクション |
【サポート制度の例】
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|---|---|
| 「食」に関するアクション |
【サポート制度の例】
|
| 「住」に関するアクション |
【サポート制度の例】
|
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| 移動手段に関するアクション |
【サポート制度の例】
|
| 買い物に関するアクション |
【サポート制度の例】
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サステナブルファッションについて詳しくは、「サステナブルファッションとは?業界の問題や私たちにできること」で解説しています。
また、アップサイクルについては「アップサイクルとは?リサイクル・リメイクとの違いと取り組み事例」をあわせてお読みください。
「デコ活宣言」とは企業や自治体・団体・個人などが、デコ活を実践することやデコ活を後押しすることについて宣言することです。また、SNSなどでデコ活への取り組みについて情報発信し呼びかけることを含みます。
デコ活宣言が広まることで、「デコ活」の認知度が高められるほか、個別のアクションを実践する後押しとなる効果が期待できます。具体的に、どういう団体がどのようにデコ活宣言をしているのか次章で見てみましょう。
さいたま市や旭川市といった自治体から、トランスコスモスや楽天グループといった企業など、多くの団体がデコ活宣言を行っています。
環境省によるとデコ活宣言をしている自治体や企業・NPO法人などは、令和5年8月29日現在で250件以上に達しています。ここでは、その中から次の4つの団体の宣言について具体的に見てみましょう。
さいたま市は2023年9月6日にデコ活宣言を行っています。デコ活宣言の内容は以下のような取り組みが挙げられます。
同市では2020年にゼロカーボンシティを目指すと表明し、その翌年には「さいたま市気候非常事態宣言」を行うなど脱炭素社会の実現に向け攻めの姿勢で取り組んでいます。このような取組実績から脱炭素先行地域にも選定されている同市は、環境問題対策の先進都市と言えるでしょう。
旭川市は2023年10月23日に「デコ活宣言」を行いました。また、同じタイミングでデコ活を効果的に行うため、デコ活応援団(正式には「官民連携議会」)にも参画しています。
同市では、デコ活宣言やデコ活応援団への参加を契機にこれまで以上に市役所内や市内における地球温暖化対策の推進を図っているとのことです。
デコ活応援団とは国・自治体・企業・個人などがデコ活の取り組みに関する意見を共有したり、効果的な連携をしたりするためのプラットフォームのことです。環境省によると2024年1月17日時点で297の自治体・509の企業・221の団体・41の個人が参加しています。

トランスコスモス株式会社は同社が目標とする「2030年までにCO2排出量を2021年度比46%削減、2050年までにCO2排出量『実質ゼロ』」の実現を目指し「デコ活宣言」を行っています。
また、同社はSDGsやサステナビリティへの取り組みにも力を入れているのが特徴です。2021年には、トランスコスモスSDGs委員会を設置し、環境・社会・ガバナンスを中心とした社会の課題を解決するための取り組みを推進する体制を構築しています。
楽天グループ株式会社は2023年8月29日にデコ活宣言を行いました。2021年には楽天グループの事業活動で使用する電力において再生可能エネルギー導入率100%を達成するなど、デコ活という名前ができる前からCO2削減に積極的に取り組んでいます。
また、楽天グループでは、2023年度の連結子会社を含めた楽天グループ全体の事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1+2)(※1)を実質ゼロにする(※2)、カーボンニュートラルを達成しました。
( ※1) 温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量を算定・報告する際の国際的な基準である「GHGプロトコル」に沿って算出・第三者保証を取得した、スコープ 1排出量(自らによる温室効果ガスの直接排出量)とスコープ 2排出量(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出量)の合計。
( ※2) 温室効果ガス排出量削減に向け、グループ横断で省エネルギー化・再生可能エネルギー導入に取り組み、そのうえで削減しきれない温室効果ガス発生量については、削減活動に投資するカーボン・オフセットを実施し相殺しています。
さらに、楽天のサービスを通じて環境問題やサステナビリティについて考えるきっかけとなるようなサービスやキャンペーンを展開しているのが特徴です。
例えば、EARTH MALL with Rakutenでは特設ページで商品やサービスの排出CO2相当量の削減率である「デカボスコア」を表記し、商品を選ぶ新しい基準として提案しています。また、「楽天ラクマ」では、ラクマ利用でCO2削減に貢献するアクションを行った場合にポイントを進呈するキャンペーンを実施しました。
デコ活とは脱炭素につながるライフスタイルへの変革を推進する運動のことです。2030年度の温室効果ガス削減目標の達成・2050年のカーボンニュートラル実現などの必要性を背景に生まれました。
デコ活で推奨されている個別のアクションは私たちが実践可能なものばかりです。できることから少しでも行動に移し、脱炭素につながる豊かな生活に変えていきましょう。

東京大学大学院工学系研究科博士学位取得。国立研究開発法人主任研究員などを経て、2019年度よりIGES専任。日本低炭素社会研究プロジェクト(2004年~2008年)やアジア低炭素社会研究プロジェクトの幹事(2009年~2013年度)として携わり、中央環境審議会地球環境部会中長期ロードマップ小委員会専門委員として、2050年までに二酸化炭素排出量を大幅削減する「低炭素社会」のシナリオ作りに携わった。気候変動のCOPには2005年(COP11)から継続して参加。