児童養護施設を「知る」

鳥取こども学園を訪問しました

児童養護施設支援
学園前の桜並木

まずは実態を知ってほしい

鳥取市内の桜並木が美しい場所に「鳥取こども学園」はあります。ここには、児童養護施設をはじめとする子どものための様々な施設があり、多くの子供たちが暮らしています。
様々な子供たちと現場で接している児童養護施設の先生方は、日々どのような思いでお仕事をされているのでしょうか。
全国児童養護施設協議会の会長も務める藤野興一園長に、お話を伺いました。

児童養護施設の現状について

全国に約600ある児童養護施設では、「子供はより家庭的な環境で育てる」という理念のもと、従来の大きな建物で大勢で生活する「大舎」から、通常の家庭のように少人数で生活する「小舎」への移行を進めています。また、一般家庭に近い環境で育てられるよう、里親さんに委託される子供を増やすこと、そのためには様々なノウハウを持っている児童養護施設が里親への支援をすることを目指しています。

昨年ようやく、約40年ぶりに職員配置の基準が改正されました。これで子供たちをよりきめ細かくケアすることが可能になります。ただ、子どもとの関係が密になる「小舎制」では職員の負担も大きく、子どもに関するより専門的な知識が必要です。人材確保、育成が課題です。
また、小舎制に対応するための施設の建替えには、当然お金もかかります。半数以上の施設では、いまだに大舎制のスタイルです。

資金繰りの厳しさは多くの児童養護施設の課題ですが、ここ鳥取こども学園も例外ではありません。かつて深刻な資金難となった際には、新聞記事にも掲載され、地域の皆さんから寄付を集めたこともあります。

2015年6月に竣工した「希望館」の生活棟

子供たちのための新たな取り組み

少子化が問題になっている中でも親と暮らせない事情を抱えた子供たちはなかなか減らず、地域によっては、児童養護施設の定員が足りない状況が常態化しています。児童養護施設に入れずに児童相談所の「一時保護」での滞在が長期化している子供たちも少なくありません。そこで、鳥取こども学園では独自に一時保護やショートステイのための専門のエリアを設け、緊急性の高い子供たちの受け入れを進めています。また、子育て相談や子どもの虐待に関する相談は24時間体制で受け付けています。

その他、鳥取こども学園では「里親支援専門員」を置いて、地域の里親さんたちをサポートしています。こうした対応は、人口の少ない鳥取という場所だからこそできるのかもしれませんが、全国でやってほしいと思っています。今後は、専門性の高い職員の育成を進めて行きたいと思っています。

児童養護施設には、長年の経験で培った子ども・保護者支援のノウハウがあります。虐待予防も含めた地域の児童福祉の拠点としての役割を果たすべき、との思いから、鳥取こども学園は様々なモデルケースを実践しています。大変なことも多々ありますが、子供は生まれた時から幸せに生きる権利がある。との信念を持ってやっています。
児童養護施設で暮らす子供たちは様々な事情を抱えていますが、海外留学やスポーツ、職業体験など、何かのきっかけでその後の進路が開けていくことがあります。子供が何に向いているか、やってみなければわかりません。そのためにも、その子がやりたいと思うことを、思い切りやらせてあげたいと思っています。

子ども達が遊ぶグラウンド。敷地内には保育所があり、奥には久松山(鳥取城址)が見えます
鳥取こども学園 常務理事・園長 藤野興一先生
学園本館事務所前にて
旬便カレンダーさんの「ハワイいちご」をお届けしました

インタビューを終えて

藤野先生のご両親は、鳥取こども学園の初代園長先生です。
小さな頃は女子ばかりのホームで一緒に育てられて、肩身が狭かったとのお話もお聞かせいただきました。
当時一緒に暮らしていた施設の子供たちで高校に進めた子はほとんどおらず、藤野先生はその時に厳しい現実を感じたそうです。今はほとんどの子が高校に進みますが、その後の大学・専門学校への進学率は全国平均の約3分の1と低いのが現状です。
私たち大人に望むこととして、「まずは実態を知ってほしい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

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