FinTech 対談
SPECIAL TALK

楽天のFinTech(金融)事業について、
各社のトップが語る
スペシャルコンテンツです。
ぜひお読みください。

まずは各社の業務内容の紹介から。

楽天証券

楽天証券は1999年創業のオンライン証券で、2003年に楽天グループに入りました。主に個人のお客様向けに、インターネットを介した証券取引サービスを提供しています。現在、口座数は約210万、預かり資産金額は4兆円です。個人向け市場においては業界2位に位置づけられます。提供サービスの中では、やはり日本株の売買が非常に大きいウエートを占めています。
次に大きいサービスは投資信託で、2000本以上のラインナップを揃えています。その他の大きなビジネスとしては、為替証拠金取引、いわゆるFXがあります。株の売買などアクティブトレーダー向けのサービスと、投資信託をはじめとする資産運用・資産形成のビジネス、それから海外ビジネスという3本柱で事業運営をしています。

楽天証券社長 楠雄治

楽天銀行

私どもはインターネット銀行です。インターネットを通じて商品・サービスを提供しており、店舗はありません。口座数は現在、約560万でインターネット銀行の中でトップです。一般の銀行が提供している商品は当社でもほぼ取り扱っています。お金をお預かりする、お金をお貸しする、国内や海外に送金するなど、基本的な銀行サービスを備えた上で、インターネットを活用し、より幅広い品揃えをご用意しています。
例えばネットで宝くじやサッカーくじの「toto」も買えます。口座開設もオンラインで簡単にできます。PCからでもスマートフォンからでも楽天銀行HPにある申し込みフォームに必要な情報を入力し、アプリで本人確認書類の写真を送っていただければお申し込み完了です。預金の入金や引き出しは、全国に9万以上ある提携ATMをご利用いただくことができます。

楽天銀行社長 永井啓之

カード&ペイメントカンパニー

「楽天カード」というクレジットカード、「楽天ポイントカード」という共通ポイントサービス、それから電子マネーの「楽天Edy」を提供しており、2016年10月にスマホアプリ決済サービス「楽天ペイ」を始めました。2016年のクレジットカード取扱高は、5兆円ぐらいなので、国内でも上位3位に入るのではないでしょうか。基本的に「楽天カード」という単一ブランドで展開しているので、お客様に認識していただきやすいカードだと思います。
「楽天カード」のお客様の数は1300万人以上いらっしゃいます。「楽天Edy」は、コンビニエンスストアやドラッグストアなど、国内47万店以上で使える電子マネーです。楽天は、「楽天ポイントカード」で共通ポイントサービス市場に参入しました。楽天スーパーポイントは「楽天市場」での買い物で貯めて使えるということでスタートしましたが、その後、「楽天トラベル」や「楽天ブックス」などその他のサービスでも楽天スーパーポイントが使えるようになり、さらに2014年10月から市中のリアル店舗でも使えるようにしたのが「楽天ポイントカード」です。

楽天 カード&ペイメントカンパニー
シニアヴァイスプレジデント
中村晃一

楽天生命保険

楽天生命は楽天グループ入り5年目を迎える生命保険会社で、売上高は年間約300億円、社員数300人です。グループ入りする前はネットを介さない対面販売型の保険会社でした。その代理店網は現在全国で4000店を超えており、そこにインターネットという楽天ならではの強みを融合させていくことが戦略の柱です。完全ペーパーレスでの申し込みを可能にしたり、若い方向けの総合保障保険を開発して1年間入院しなければ「健康祝い金」を支払うようにしたり。これは希望すれば楽天スーパーポイントでも受け取れます。
このように、生命保険事業に「楽天らしさ」を浸透させることを考え、一生懸命に活動しています。2017年は郵送による通信販売のチャネルも加わり、「オムニチャネル」化による新たな成長戦略を推進してまいります。

楽天生命保険社長 橋谷有造

ー楽天グループのFinTechへの対応は国内の様々な事業で進んでいますが、FinTech関連で特長的な
サービスや、強みなどをお聞かせください。

楠:

ネットをベースにした金融サービスを、既存の対面チャネルから置きかえるという我々のビジネスモデル自体がFinTechなのです。楽天証券に限らず、楽天グループには国内だけで楽天会員数が1億を超える、非常に大きな顧客基盤があります。さらに、楽天スーパーポイントなどの会員向けのロイヤリティプログラムをグループ全体の共通基盤として持ち、各事業でも活用しています。
楽天証券の特長としては、例えば楽天銀行と、「マネーブリッジ」というサービスをやっています。楽天銀行に銀行口座を持っていて、楽天証券に証券口座を持っていれば、証券取引のための資金連携がシームレスにできる仕組みです。そうしたグループ間での連携は、お客様の利便性をぐっと高めます。

ーコンピューター・プログラムが資産運用のアドバイスをするサービスが最近、出てきていますね。

楠:

ロボ・アドバイザーですね。2015年夏に、我々も「楽ラップ」というサービスを始めました。スマートフォンやパソコンで、16問ほどの簡単な質問に答えていただければ、お客様のリスク選好や目的に応じた投資コースをご提案します。お客様が選択したコースに応じて、一定の資金を入れていただき、こちらで自動運用するサービスです。すでに約1万人の方にご利用いただいています。

永井:

楽天銀行の特徴として、半数以上のユーザーがスマートフォンで自分の口座にアクセスをしていることが挙げられます。以前は、ほとんどの方がパソコン経由でインターネットバンキングを行っていましたが、インターネットユーザーが使うデバイスがスマートフォンに移行する中、楽天銀行はスマホでもより使いやすく便利なサービスを提供することに力を入れています。楽天銀行が提供しているスマホアプリは、日本の銀行の中で最も使いやすいものの一つだと思っています。楽天銀行のスマホアプリでは、送金相手のメールアドレス、SNSのFacebookアカウント、メッセージングアプリのViberアカウントのいずれかだけわかれば簡単に送金ができます。
FinTechにはテクノロジーを使って便利なサービスをお届けするという面とともに、テクノロジーを使ってサービスの価格をより安くするという面もあります。楽天銀行をお使いいただければ、FinTechのメリットを実感していただくことができると思います。先ほど申し上げたスマホアプリの便利なサービスが利用できることに加えて、送金や住宅ローンなど、多くのサービスを普通の銀行よりもはるかに安い手数料でご利用いただけます。

ーFinTechによってサービスコストが安くなるのですね。
決済関連サービスはいかがですか。

中村:

ネット、ポイント、アプリの3つで、他社と差別化しています。
例えば、楽天カードはインターネットをフル活用することで業務を効率化し、コストを抑制しています。その分、お客様に高い還元率でポイント付与するなどのマーケティング施策が実現できています。
楽天ポイントカードは、バーコードを店頭の専用端末で読み取ってポイントを付与するのですが、プラスチックカードだけでなく、スマホアプリでもご利用いただけます。アプリだと、カードを持ち歩かずにすむだけでなく、例えば、位置情報を使って楽天ポイントカードが使える近くのお店を探したり、開催中のキャンペーン情報を入手したりということが簡単に分かります。

橋谷:

楽天生命については、やはり楽天グループに属しているということが楽天生命の一番の強みだと思います。グループ入りしたあとの基盤整備が一段落し、これからいよいよ楽天グループの一員としての活動が求められる段階に入っていきます。先述した「健康祝い金」のポイントでの受け取りや、ネット販売でスマートフォン経由の申し込みが半数を超えるなどといった、楽天ならではの特徴が見え始めていますし、1億を超える楽天会員数を有し、証券、銀行、クレジットカードと顧客基盤の大きなサービス提供企業と同じグループであることは、大きな可能性を秘めていると思います。

ー楽天グループとしてFinTech戦略にこれからどのように取り組んで、どう伸ばしていくのでしょうか。

永井:

FinTech事業、つまり金融事業は楽天グループの事業の柱の一つですので、FinTech事業が成長して、グループの成長に貢献することが非常に重要だと考えています。FinTechの活用については、具体的には3つの側面があると思っています。
1つは証券、銀行、クレジットカード、保険の各事業が、テクノロジーを使ってより便利なサービスを作り出し、他社とは違うもの、お客様から「いいね」と思っていただけるものをどんどんお客さまにお届けしていくことです。
2つ目は、FinTech事業が、「楽天市場」や「楽天トラベル」などグループのいろいろなサービスのお客さまに便利さやお得さを提供することです。楽天グループのほぼ全てのサービスで、お客様が支払をするというプロセスがありますので、その際にお客さまがより簡単に支払うことができるとか、お得に支払いできるというようなサービスをFinTech事業がグループ内の他の事業と協力して作り出していきたいと思っています。
3つ目は、FinTech事業間でお互いのサービスを組み合わせることによって、お客様から「これ便利だね」と言われるものを提供することです。楽天銀行の立場で申し上げれば、楽天証券と楽天銀行が共同して提供している口座連携サービスの「マネーブリッジ」のようなことを、クレジットカードや生命保険などとの間でも実現していくことが、まさにFinTechだろうと考えています。

ー楽天グループでは新卒採用にFinTechコースというものを設けられたということですが、スペシャリストを求めていらっしゃるのですか。

中村:

FinTech事業の中には、バラエティーに富む商品やサービスが既に多くあるので、各サービスに精通し専門的に従事する人が必要と考えています。
また、我々の競合となるのは世界的なプレーヤーです。ペイメント業界で現在どのようなサービスが提供されているかをグローバルな視点で理解し、それらを上回るより良いサービスをつくり出していかなくてはいけません。
協業相手も、同じくグローバルです。たとえばスマホ決済サービスでは、楽天カードはApple Pay、楽天EdyはAndroid Payに対応しています。専門性と世界基準のレベルの高さを備えた人材が必要だと思っています。

楠:

金融分野に対しての強い興味や、自分のキャリアを金融業界で形成していくという強いコミットメントがないと、この業界で若手が立ち上がっていくのは難しいと思います。楽天証券では、新卒で採用されると、まず福岡で1年半ほどかけて、研修や座学だけでなく、コールセンターでのお客様とのやり取りなどを通してスキルを積み上げた後、東京の本社に戻ります。時にお客様に怒られながらも、専門用語や複雑な考え方を地道に習得するには、強い意志とコミットメントがないともちません。そのような覚悟を持っている人材が欲しいと考えています。

永井:

最近の学生の方は、自分が何をやりたいかがはっきりしています。昔だと、いろいろやってみて、その後で自分が何をやりたいか決めますという学生が結構いました。優秀な学生を採用するという観点で考えると、自分のやりたいことがはっきりしている学生を受け止めるFinTechコースという受け皿があることが重要だと思います。

ー大学生の立場で考えると、例えば生保、証券で、ネット系に行くか、既存の企業に行くか、
迷うと思います。
楽天グループの企業は伝統的な日本の会社とどこが違うのでしょうか。

橋谷:

グループのコンセプトとして、今までになかった新しい価値を提供していくところがあり、もちろん楽天生命もその一員です。例えば、生命保険業界の場合、大手は生命保険商品だけにフォーカスすると思いますが、楽天生命の場合、グループ会社と連携して生保の枠にとどまらない様々なサービスや利便性を提供できるということが他社とは違うところです。それに楽天グループは、外資系企業のいいところと、日本企業のいいところが入り交じっているような、自由で明るく、働きやすい会社であると思います。

永井:

テクノロジーを使うことを前提に、少ない人数で、より大きなビジネスにチャレンジする点です。一人ひとりがお客様のために何ができるかということを主体的に考え、想像力を働かせ、具体的な形にしていく。こうした働き方が他社と異なる点だと思います。誰かの指示を待ち、その通りやるということは、楽天グループではありません。

楠:

従来型の証券会社とネット証券で最大の違いは何かというと、営業がないということです。従来型の証券会社は、会社が売り上げを上げるために、お客様に特定の銘柄を進めるプッシュセールスが基本な営業方針となります。ネット証券は、基本的には自分たちでお客様のニーズを把握し、あるべきサービスをきちんとつくり上げることで、お客様と取り引きしています。

中村:

私が2001年に入った頃の楽天は、社員300人ほどのベンチャーカンパニーでした。グループ社員は今では約1万4000人ですが、今でもベンチャーカンパニーだと思っています。私のベンチャーカンパニーの定義は、「世の中を変えていく会社、変革を起こしていく会社」です。楽天は恐らく、ずっと世の中を変えていく会社であり続けます。昨年打ち出した新ビジョンの「グローバル イノベーション カンパニー」であり続けることを目指し、常に変革を起こしていく会社でなければいけないと考えています。

ー学生は「グローバル」、「イノベーション」といった言葉に関心を引かれますが、「グローバル」と言うと、楽天の場合、世界展開があげられますし、最近ではスペインのFCバルセロナとスポンサー契約
しましたね。

楠:

学生だけではなくて、従業員にも魅力的なことです。みんな早く、楽天のロゴが入ったユニフォームが欲しいと言っています。(笑)

永井:

グローバルという言葉を聞くと、一般的には「日本から外に出ていく」ことを思い浮かべる方が多いと思いますが、FinTechの世界では、グローバルプレイヤーがどんどん日本市場に参入してきています。楽天のFinTech事業は、海外にも進出しますし、国内にいてもグローバルな競争をしているのです。

ー最後に各社が求める人材像とともに、学生へ熱いメッセージを送っていただけますか。

楠:

楽天証券では、投資関連事業に強い意欲とコミットメントを持っている人をお待ちしています。従来の証券会社よりも、ネットをベースにサービスを提供していく新しい会社のほうが、世の中をどんどん変えていくポテンシャルを秘めていると思います。そこに魅力を感じる人にぜひ来ていただきたいです。

永井:

世の中を便利にしたい、変えたいという強い思いのある人、加えて、口で言うだけではなく、最後までやり切る気持ち、強い心のある人を求めています。そういう気持ちを持っている学生の方であれば、楽天のFinTech事業はすごくおもしろい職場だと思います。

中村:

当事者意識と達成志向がある人がいいですね。そして、楽天グループが世の中でやろうとしていることを頭で理解するだけでなく、心でそれに共感できる人ですね。

橋谷:

楽天を志望する人はみな、楽天のグループ会社であれば大きく世の中を変えられるような気がするとおっしゃいます。一緒に何かを変えていくという意味でいうと、今の楽天生命は、自分の功績がはっきりと事業に反映されるくらいの規模なので、やりがいのある会社だと思います。旧態依然としたイメージを抱かれがちな業界だからこそ、明るく前向きな方にぜひ来ていただきたいと思います。