Project 顧客戦略部の手がけるプロジェクト

Okaimono Panda’s Story お買いものパンダの誕生と成長の物語 Okaimono Panda’s Story お買いものパンダの誕生と成長の物語

Okaimono Panda’s Story
お買いものパンダの誕生と成長の物語

誰からも愛されるルックスと共感をよぶ感情表現で、またたく間に日本一の企業キャラクター※1となったお買いものパンダ。実は顧客戦略部で生み出し、育てたキャラクターです。いまやソーシャルメディアでのスタンプ利用人数は5,300万人※2を超え、活躍の場をデジタルからリアルへ拡大しています。メガヒットはどのように生まれたのか、快進撃を続けるチームの秘密は、そしてチームが目指す新しいキャラクター像とは-。知られざるお買いものパンダ誕生と成長の物語をお伝えします。

Project Member プロジェクトメンバー

田島 綾子 デザイナー 田島 綾子 デザイナー

田島 綾子

デザイナー

お買いものパンダ デザイナー。
お買いものパンダにまつわるすべてのイラストを制作し、お買いものパンダのハッピーな世界を生み出す役割。

山岡 まどか プロデューサー 山岡 まどか プロデューサー

山岡 まどか

プロデューサー

顧客戦略部 部長
お買いものパンダ プロデューサーとしてキャラクター戦略や新しい企画を考え、お買いものパンダのハッピーな世界を広げる役割。

コミュニケーションの心理を絶妙にとらえたデザインで人気に
コミュニケーションの心理を絶妙にとらえたデザインで人気に

コミュニケーションの心理を
絶妙にとらえたデザインで人気に

お買いものパンダの誕生は2013年。楽天市場がソーシャルメディアのスタンプを出すことになり、そのイラストを社内外に公募したところから物語ははじまります。ショッピングの楽しさを象徴すること、そして、日本中の人々に愛されるデザインであること。これらの条件をふまえた多くのイラスト案が集まる中で、圧倒的な支持でデビューが決まったのが、お買いものパンダでした。

当時はキャラクター設定もなく、「正直なところ1回で終わると思っていました(田島)」。しかし、スタンプのリリース直後から、いきなり500万人を超えるユーザーに使われるように。何かとてつもなく大きなことが起きると予感したチームは、5カ月後に新しいスタンプをリリース。前作を超えるヒットとなり、その後お買いものパンダはスタンプ界を席巻していきます。

なぜここまで使われるようになったか。それは「スタンプの自己投影性を上手くとらえたクリエイティブ力にある」と山岡は言います。
「コミュニケーションで使われるスタンプは、いわば自分の身代わりとして自分の感情を相手に届けてくれる存在。おのずと『そう、これこれ!』と共感してもらえるキャラクターデザインや感情表現が求められます。田島の描くお買いものパンダは、しっかりした輪郭線で人間らしさを感じさせるし、かゆいところに手が届く絶妙な表情で、思わず使いたくなります」。

さらに、2人で決めていったキャラクター設定も奏功しているようで、「お買いものパンダの性格のコンセプトは『全身全力でいつも一生懸命』。多くの人々が『自分もこうあれたらいいな』と思うような性格です(田島)」。大切な人とのコミュニケーションでは自分をちょっと良く見せたいもの。そうした心理をくすぐるデザインも人気の秘密のようです。

パンダが動く!
日本を代表するクリエイターの
力を結集

大きな転機が訪れたのは2016年。ポイントの貯まりやすさを伝えるテレビCMのキャラクターとして、お買いものパンダを起用することになったのです。2次元での高いクオリティをどう保ったまま3Dで動かすか。ここで取った戦略は「これまでにないキャラクターへ進化させるために、日本を代表するクリエイターの力を結集する」ということでした。

お買いものパンダの声は、「ポケットモンスター」(ピカチュウ)や「ONE PIECE」(トニートニー・チョッパー)などの声優として有名な大谷育江さんへ依頼。ダンスは、妖怪ウォッチ「ようかい体操第一」やAKB48などの振り付けを担当した振付師の第一人者であるラッキィ池田さん、そして3D映像は映画「STAND BY ME ドラえもん」や「シン・ゴジラ」の3DCG演出を行った株式会社白組に依頼し、楽天のチーフクリエイティブオフィサーである佐藤可士和さんと毎週白熱した議論を繰り返しながら制作を進めていきました。

そんな素晴らしいクリエイターの力を最大限引き出し、紡ぎ、理想へ近づけていくのが、プロデューサーである山岡と生みの親である田島の役割。レコーディングでは「これだ!」と直感的にはまるまで何十パターンも歌い方を試していただいたり、アニメーションのもとになる数百コマすべての表情をミリ単位で調整していくなど、クリエイティブのクオリティにこだわり抜いた作品に仕上げました。その結果、当時放映されていた約2,300のテレビCMの中から好感度トップ10に選ばれるなど、お買いものパンダのファン層を大きく広げるきっかけにもなりました。

最高の価値を生み出すためには、各領域の最高峰の能力と知恵を結集させ、絶対にクオリティに妥協しない。これはお買いものパンダだけではなく、顧客戦略部のすべての施策に共通している考えです。

唯一無二のキャラクター像を目指し、
楽天のサービスとコラボ

人気が定着したお買いものパンダ。2016年からは「楽天市場」に加えて、楽天の各サービスとのコラボレーションを加速していきます。ここには、キャラクター業界でイノベーションを起こしたいというチームの強い意思がありました。「一般的なキャラクターだと、ここでグッズを販売したり、着ぐるみを登場させたリアルイベントを開催してファンからマネタイズをしていく。しかし、その道では先行するキャラクターはたくさんいますし、その市場規模はさほど大きくありません。そうではなく、キャラクターとしての価値向上、ファンへの楽しさの提供、そしてビジネスの成果創出をすべて叶えた、唯一無二のキャラクターとなる道があるのではないか。そのスタートとして始めたのが、楽天のサービスとのタッグです(山岡)」

楽天のサービスは、買い物や旅行、金融、エンターテインメントなど多様な領域で展開されているため、ほとんどの生活シーンにスピーディーに入りこんでいけるアドバンテージがあります。そこでお買いものパンダの新しい体験を創り出し、ファンとのエンゲージメントを深める中で、楽天のサービスを使っていただく機会を自然と作る。まさに「三方良し」のコンセプトです。

たとえば、楽天の20サービスとコラボレーションしたぬいぐるみのプレゼント企画「パンダフルライフコレクション」では、20種類のぬいぐるみを集めるために楽天のサービスを使い始める人が続出。家にぬいぐるみを飾ったり、お出かけ先で「ぬい撮り」を楽しんでいる様子がソーシャルメディアにたくさん投稿されています。

そして、2018年に注目を集めた「お買いものパンダカフェ」では、チケット販売、メニュー提供や支払いなど多くの機能において楽天のサービスを利用しました。

田島は「カフェの開催がずっと夢だった」と言います。「お買いものパンダと小パンダがファンの皆さまを家に招待する。そのコンセプトのもと、お客様の目に触れるすべての制作物に反映するのはもちろん、お買いものパンダが自家製の野菜を育てるストーリーを事前にソーシャルメディアで発信し、実際にカフェのフードメニューとして提供するなど、お買いものパンダの世界観と現実を繋げる空間を実現させました」。事前予約だけでも抽選倍率8倍となるなど多くのファンの心を動かし、エンゲージメントを深めることができました。

仕事を通じて
創造性を解き放つ

「自分が良いと思ったものが、多くの人に好まれ、ポジティブな感情がどんどん連鎖していく。とても幸せな仕事だと思います」と言う田島。そのベースにあるのは、子どもの頃の温かい記憶。田島家の季節行事や、兄弟とのエピソードなど、心に浮かんだ幸せな思い出の一片をヒントに、絵を創作していると言います。「クリエイターがハッピーに仕事をしているからこそ、それがお買いものパンダを通じてユーザーにも伝わり、パンダは愛される存在になっているのではないでしょうか(山岡)」。幸せな人が幸せを届ける。お買いものパンダの人気の理由はそこにもあるのかもしれません。

田島や山岡、またビジネス担当やプロジェクトマネジメントメンバー間で意見がぶつかることもあります。そのたびに、「私たちはお買いものパンダをどう育てて、どんな世界観を創りたいのか」をそれぞれの観点から徹底的に議論して、より良いアイデアに進化させてきたと言います。

「ちなみに田島は『お買いものパンダ』のような頑張り屋さんで、私はイタズラ好きな友人『小パンダ』のような性格。この関係性や普段の言動がそのままクリエイティブにも反映されているかもしれません(山岡)」

仕事を通じて自身の創造性を解き放つことのできる喜び。それは、多くのデザイナーやクリエイターが一番に求めるものでもあり、得がたい価値ではないでしょうか。顧客戦略部の現場は、キャラクター開発をはじめとして、そんな幸せな機会にあふれています。

  • ※1 2018年7月 日経クロストレンド調査
  • ※2 2022年7月時点