楽天グループ 2022年春入社新卒社員に向けた楽天社長三木谷からのメッセージ

楽天グループへご入社された皆さん。

今日という日は、皆さんの人生においてターニングポイントとなる大切な一日だと思います。ここ数年はオンラインでのコミュニケーションが主流でしたので、直接皆さんの顔を見ながら、こうして挨拶ができることを嬉しく思います。

今、私たちの周りでは、非常に多くの変化が起きています。東ヨーロッパでは、ウクライナとロシアとの悲惨な戦争が続いています。楽天グループにも、ウクライナに従業員がいます。戦争が一刻も早く終わることを、心より祈るとともに、ウクライナへの人道支援も可能な限り行ってまいります。

今回の戦争において、インターネットなどの現代テクノロジーは大きな役割を果たしています。インターネットによって私たちは、今、世界で何が起こっているのかを知ることができるようになりました。

1993年、私はインターネットを初めて体験した時、世界が変わるような衝撃を受けました。TCP/IPプロトコルの開発により、インターネット上のコミュニケーション機能は飛躍的に進歩し、ブロードバンド、ラジオ、動画、Eメールなどの様々なウェブサービスにまで進化しています。また、ハイパーテキスト/HTMLの登場により、情報の流れ、そしてデータ管理方法は、以前とは全く異なるものとなりました。

楽天が25周年を迎えた今も世界は大きく変わり続けています。社会やビジネスにおける変化はもちろんのこと、人々の行動様式や物事の定義、概念さえも変化し始めています。皆さんは、そうした変化の時代に、ビジネスの世界での旅を始めるのです。それは、とてもドラマティックで、とてもチャレンジングで、とてもエキサイティングな体験になるでしょう。

中国の歴史的書物である「貞観政要」にある3つの鏡の話をご紹介します。

1つ目の鏡は、過去に起きたことは未来において起きるという「歴史の鏡」。2つ目は他者から見た自分を映し出す「人の鏡」。他の人、他の企業が自分や自社のことをどう思っているのかを考える必要があります。裸の王様にならないために、自分自身も気を付けています。3つ目は自分で我が身を見る「銅の鏡」です。著書が記録された唐代では、銅が鏡として使用されていました。自分自身の顔を鏡に映して、悲しい表情をせず、笑顔を見せるようにという話です。

この鏡の話を私なりにビジネスに当てはめて考えてみると、もう一つの鏡があると思います。それは「世界の鏡」です。

楽天は2010年に社内公用語を英語化すると宣言しました。英語化には様々な目的がありましたが、その一つは世界の優秀な人材を獲得することでした。もう一つは、世界から優秀な人材を迎え、楽天で働く従業員たちが互いに学び合えるようにすることで、企業をグローバル化させるという目的もありました。楽天は競合として国内企業だけでなくグローバル企業も見据えています。そのため、企業のサイズに関わらず、世界のアントレプレナーたちから私たちは多くのことを学ぶ必要があるのです。他の国で起きていることは日本にも起こるとも言えるでしょう。これが「世界の鏡」が映し出すものです。

長い人生においては、良い時期、悪い時期が必ずやってきます。大規模な自然災害が再び起こったり、武力衝突が起こったりする可能性も否定できません。

そうした中で、私が皆さんに向けてお伝えしたいことは、物事が上手くいっている時であっても、あなたより努力をさらに重ねている人がいると思うこと。逆に上手くいかない時は、さらなる困難に立ち向かっている人がいることを忘れないでください。

生きていれば失敗を経験することがあるでしょう。やりきれないこともあるかもしれません。しかし、失敗は挑戦したことの証です。リスクを取らずして、成果を得ることはできません。

最後にもう一つお伝えしたい、そして最も重要なことは「謙虚であること」です。楽天は、日本を中心に消費の世界で大きく成長してきており、グローバルでも無線ネットワーク業界で、必ずやリーディングカンパニーになっていくでしょう。しかし、そのような状況において、決して傲慢な態度・行動をとってはいけません。謙虚な姿勢を大事に。

皆さんも、謙虚さを忘れずに、新たな道を歩んでいってください。改めて、おめでとうございます。

2022年4月1日
代表取締役会長兼社長
三木谷 浩史

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