クアルコム×楽天、両社トップが語る5Gがエンパワーする未来とは

今年10月に2日間にわたって、楽天グループとして最大規模のイベント「Rakuten Optimism 2021」を開催しました。

多くの方にとって新たな発見のきっかけとなる場を提供することを目的に、有力企業のCEOやクリエイターなど総勢51名による全25のトークセッションを実施。今回は、コロナ禍のため、完全オンライン形式(参加費無料)で行いました。

本記事では、「5Gがエンパワーする未来」をテーマに、クアルコム社CEOのクリスティアーノ・R・アモン氏と、弊社社長の三木谷によって行われたセッションの模様をご紹介します。

5Gは個人や産業、社会にどのような変化をもたらすのか。モバイル事業において、パートナーシップを結ぶ両社トップによるディスカッションのハイライトをお楽しみください。


5Gは電気のように当たり前のものになる

モバイル通信の通信技術および半導体の設計開発を行う米クアルコム社。5G関連の技術においてもリーディングカンパニーとして業界をけん引しています。

セッションのはじめ、「5Gは単に高速な無線通信なのか、それとも、それ以上の意味があるのでしょうか」という三木谷の問いかけに対し、CEOのアモン氏は次のように答えました。

「5Gは、すべての産業におけるデジタルトランスフォーメーションにおいて重要な技術です。5Gは『すべてをクラウドに接続する技術』あるいは『クラウドベースの経済を実現する技術』とも言えるでしょう。数年後には、『クラウドにつながっていないもの』を見て、『あれは例外だよね』となるのではないでしょうか。5Gは電気のように当たり前のものになると考えています」

5Gは「映像コンテンツの民主化」を起こす

また、「5Gは、消費者にとってどのような意味を持つのでしょうか」という質問に対してアモン氏は、「昨今は、誰もがスマートフォンを持ち、その使い方を知っている。非常に豊かなスマートフォン社会です。『そこを5Gがどのように変えるか』と考えることがヒントになると思います」と答えました。

続けて、「ネットワークが整備され、より高速な(インターネット)サービスと無制限のデータが利用できるようになった時にはまず、『映像コンテンツの民主化』が起きるでしょう」と話すアモン氏。「映像コンテンツの民主化」について、次のようにも補足しました。

「4Gが音楽にもたらした変化が、映像コンテンツにも起こります。今の人々は(CDを持ち歩くことをやめ)、あらゆる音楽をストリーミングで聴くようになりました。これからは高画質な映像も、好きな場所で楽しめるようになるでしょう」

SNSにも変化が起きる

アモン氏は、「こうした変化は、社会的交流の考え方やSNSの進化にも影響を及ぼすでしょう」と話します。

「今回のコロナ禍で皆さんも体験されたように、ついにビデオ通話が普及しました。このビデオ通話において、いつでも好きな時に5Gの高速通信で接続できるようになると考えてみてください。自分自身を撮影してインターネット上で配信する時も同様です。こうした変化がSNSをどのように変えていくか、『映像コンテンツの民主化』の後にも様々な変化が生まれるでしょう」

三木谷も、「5Gによって、メディアの定義そのものが変わり、民主化されていくと考えます。5Gがあれば、誰もがアナウンサーになれるし、俳優やスーパースターにもなれるかもしれませんね」と話しました。

AIがかつてない発展を遂げ、「IT企業」はもはや存在しなくなる

アモン氏は、将来的にはスマートフォンだけではなく、様々な機器が5G、そしてクラウドとつながっていくことで、あらゆるモノからリアルタイムのデータを得られるようになり、「AIもかつてない発展を遂げる」と言います。

三木谷も、バイオテクノロジー、農業など、すでにあらゆる業界がAIを活用しはじめていることや、先進的な金融機関ではスタッフの半分がエンジニアであることを例に挙げ、「IT業界やIT企業といったものは、もはや存在しないのかもしれません。『すべての会社がIT企業』であると言えるのです」と話しました。

コロナ禍で証明されたコネクティビティの重要性と、デジタルデバイド解消の必要性

続いて、「新型コロナによるパンデミックが社会にもたらした変化についてどのように考えているか」という三木谷からの問いかけに対してアモン氏は、

「パンデミックを経験し学んだことは、コネクティビティ(接続性)が重要だということです。コネクティビティとテクノロジーのおかげで(人や社会は)生産的になれます。例えば『Zoom』は動詞として使われるようにもなりました。遠隔医療は、今後発展していくだろうと考えられていましたが、実際に診療が可能だということが分かりました」と答えました。

また、三木谷は、「一部の人が取り残されること(=デジタルデバイド)をどのように回避するか」について、アモン氏の考えを聞きました。

アモン氏は、5Gを活用して、学校やサービスが行き届いていない地方のコミュニティ、図書館などを接続することでデジタルデバイドの解消を目指す取り組みなどが行われていることを紹介しつつ、「これまであまり語られてきませんでしたが、5Gには、コンピューティングパワーをすべての人の手に届けることを可能にする機能があります」と答えました。

続けて、「(ネットワークが)クラウドとつながれば、(インターネットと)接続するだけではなく、無制限のコンピューティングパワーを仮想的に提供することができます。現在だけでなく未来にも目を向けて、デジタルデバイドの解消を考えることが大切ですね」と述べました。

三木谷も「(5GやAIの進化により)今後はボイス(音声)が主流になっていくでしょう。つまり、タイピングやフリック入力がなくなり、機器やスピーカーに向かって話すだけで、何でもできる時代が来る、そう考えています。そこに、AIによるアシストも加わり、高齢者の方にも優しい仕様になっていくでしょう」と話しました。


いかがでしたでしょうか。5Gについては、「超高速である」ことが注目されがちですが、超大容量・超多接続といった特徴も組み合わさることで実現する「つながる」という特徴にこそ、真の可能性があるのかもしれません。今後の技術の進化、そして私たちの生活の変化に目が離せません!

本セッションでは、気候変動抑制における5Gの可能性や、クアルコム社と楽天のパートナーシップにおける今後の取り組みなど、他にも様々なトピックについて議論が交わされました。

記事には収まりきらなかった対談全編の模様は、こちらの動画にてご覧いただけます。

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