EXILE TETSUYA氏とがん研究・診療のスペシャリストが語る「5Gが変える未来」

今年10月に2日間にわたって、楽天グループとして最大規模のイベント「Rakuten Optimism 2021」を開催しました。

多くの方にとって新たな発見のきっかけとなる場を提供することを目的に、有力企業のCEOやクリエイターなど総勢51名による全25のトークセッションを実施。今回は、コロナ禍のため、完全オンライン形式(参加費無料)で行いました。

本記事では、「5Gが日本にもたらす変革の力」をテーマに、EXILEのパフォーマーであり、教育者でもあるTETSUYA氏と、国立研究開発法人国立がん研究センター東病院で科長を務める土井 俊彦氏という、全く異なる分野で活躍するお二人によるトークセッションをご紹介します。

コロナ禍をきっかけに、医療/エンターテインメントのデジタル化は加速されたのでしょうか?そして、5Gによる未来の可能性は?業界を越えた、熱いディスカッションのハイライトをお楽しみください。

上:土井 俊彦 氏(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院 科長)
右:EXILE TETSUYA 氏(EXILE/EXILE THE SECOND)
左:モデレーター 古橋 洋人(楽天グループ株式会社 常務執行役員 兼 楽天モバイル株式会社 執行役員)

進化を続ける5G

古橋:まずはじめに、5Gのメリットをご説明します。

1つ目は「超高速・大容量」。現時点で、「楽天モバイル」の5Gは、アップロード速度が4Gの約3.6倍となる275Mbps、ダウンロード速度が約7.2倍となる2.8Gbpsとなります。動画サイトなどは100Mbpsもあれば十分に楽しめるので、5Gなら、非常に快適な通信環境が実現するでしょう。

2つ目は「多数同時接続」。ひとつの基地局にアクセスできる端末数には制限があるのですが、5Gになると、格段に多くの端末が同時にアクセスできるようになります。

3つ目は「超低遅延」。5Gでは誤差が10ミリ秒未満になると言われています。土井先生、オンライン治療を行うことになれば、通信の遅延は気になりますよね?

土井氏:そうですね。遅延がなければ、遠隔治療ができるので、非常に期待しています。今後は例えば、患者さんのもとに、5Gのような高速通信とロボット手術設備が搭載された車が行って、医者が遠隔から手術できるようになったらいいなと思っています。

古橋:楽天でも、5Gの強みを活かしたサービス提供に向け、多くの実証実験を行っています。

古橋:最近行ったのが「リモートハイタッチ」。プロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」の選手とファンが、5Gによる映像配信と触覚伝送によって、仮想的にハイタッチを行うというものです。

TETSUYA:これは、今一番僕らが求めていることですね。現在、コロナ禍により、アーティストとファンによるハイタッチや握手については、少し難しい部分があります。「リモートハイタッチ」、できるのであれば、今すぐやりたいですね!

5Gで健康に革命を

古橋:5Gと医療・ヘルスケアについてはいかがですか?

土井氏:5Gによって、病院と患者さんの距離が縮まるのではないでしょうか。最近では、かなり早期のがんも発見できるようになりましたが、健康な時の情報がないと診断がつかないこともあります。5G対応のウェアラブル端末があれば、医者の仕事は、診断されてから治療を開始するのではなく、何かが見つかる前に状況を把握し、治療を開始することになるでしょう。

古橋:遠くにお住まいの患者さんも、先生の治療が受けられるようになりますね。

土井氏:国内で、最先端の治験ができる施設はまだ少ない。現状では、遠方の患者さんが私たちの施設に通うのは難しい状況です。そういった距離感を、5Gなどの通信技術によってゼロに持っていければいいですね。

古橋:患者さんのご家族も、距離は気になりますよね。

土井氏:はい。コロナ禍では、患者さんのご家族がお見舞いにも行けない状況にもなりました。5Gによって病院とご自宅をバーチャルでつなぐことができれば、患者さんは、病室にいながら家の雰囲気がわかるようになります。例えば、目の前にお孫さんがいたら、もっと頑張れるといった患者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

TETSUYA:エンターテインメントの世界でも、現状では、体の不自由な方やお年寄りの方など、ライブに来られない方がいらっしゃいます。5Gを使って、病室やご自宅などでも、僕らが目の前で踊っているかのようなライブをお届けすることができたら素敵ですね。

古橋:土井先生、病院にEXILEのパフォーマンスが見られる部屋があったらどうでしょう?

土井氏:それはいいですね。おそらく患者さんはとても喜ぶと思います。

土井氏:昨今のコロナ禍により、ある意味、遠隔診断の技術は進歩したと言えます。例えば、眼鏡にCCD(コネクテッド・コンシューマー・デバイス)をつけて、ご家族が見ているものを映し出したり、夫が妻の出産を実感できるシミュレーションも実現したりしています。

また、次のステップでは、患者さんの触覚や嗅覚などを五感で感じられるデバイスにも期待しています。患者さんが感じている「痛み」がリアルタイムにわかるようになれば、ご家族の方も共感しやすいですし、医者もより適切なお声がけができるようになるでしょう。

5Gで拡張するエンターテインメントの力

古橋:次に、5Gとエンターテインメントについてお話を伺いたいと思います。コロナ禍によって、業界に変化はありましたか?

TETSUYA:コロナの影響により、LDH (EXILEも所属するエンターテインメント企業)では予定していたライブ公演が中止になりました。最初は絶望した時期もありましたが、「へこたれてはいられない」という気持ちで、オンラインでのライブやイベント、動画配信など、様々なことを試している状況です。

古橋:5Gなどの技術を使って実現したいことはありますか?

TETSUYA氏:例えば今、僕が指をパンと鳴らしたら、(3Dホログラムを使って)ここにEXILEのメンバーがずらっと並ぶ、というような未来を期待しています。日本中にメンバーが散らばってライブをやっていても、指を鳴らせば一斉に集まって「Choo Choo TRAIN」や「Rising Sun」を踊り出す。そんなことが、技術的に可能になったらいいですね。

古橋:EXILEの一糸乱れぬダンスを表現するなら、超低遅延であってほしいですよね。

TETSUYA:「Choo Choo TRAIN」を踊る(タイミングをずらして踊る)時は、遅延があったほうがいいかもしれないですけど(笑)。みんなでダンスを揃える時は、ギャップのない方がいいですね。

古橋:現在の4G環境では、まだギャップを感じますか?

TETSUYA:(学長を務める)EXPG高等学院では、コロナ禍のため、オンラインでダンスレッスンを行っていたのですが、現在の4G環境では、遅延が発生して音と動きがバラバラになってしまうことがありました。また、電波状況が日によって違うのには困りました。

古橋:4G環境では、ひとつの基地局にアクセスが集中すると、通信速度が遅くなってしまうことがあるのです。ただ、5Gになると、多くの端末が同時にアクセスしても低遅延で接続できるようになります。これが、5Gの「多数同時接続」という特長です。

TETSUYA:それはぜひ期待したいですね。ところで、先ほどお話しした、「空間にバーチャルで人が現れて、ダンスを教えられるようになる」というのは、かなり先の未来なのでしょうか?

古橋:現在、浸透しつつある4Kが、8Kの高解像度になれば、さらにリアルな映像になります。その映像を、5GやWi-Fi 6などの次世代通信ネットワークで伝送することで、近い将来、超リアルな体験が可能になってくると思います。

TETSUYA:オンライン講義をやってみて良かったのは、日本各地にあるEXPG高等学院の生徒全員に同じタイミングで同じ話ができ、スケジュールの縛りが少なくて済むということです。今後はさらに、生徒の自宅に、僕やインストラクターがバーチャルで現れるような未来が実現すれば、もっともっといい学校づくりができるのではないかと考えています。

5Gで日本、そして世界を元気に

古橋:最後に、5Gのような技術を通じて、どんな風に日本を元気にしていきたいですか?

土井氏:今後は病気になってからではなく、健康であっても、自分の健康を楽しみながら守っていくことが重要になってきます。また、日本全国津々浦々、同じような医療が受けられる世界を、5Gの高速通信の中で作り上げていきたいですね。

古橋:土井先生の治療を受けたい、ご意見をお伺いしたいというときは、日本だけでなく、世界中からアクセスできるわけですね。先生は、忙しくなりすぎるのではないですか?

土井氏:高速通信になれば、私も高速で動けるのではないかと思っています(笑)。

古橋: それはいいですね(笑)。TETSUYAさんはいかがですか?

TETSUYA:EXILEは「日本を元気に」というテーマで活動してきました。また、社名であるLDHには、「LOVE DREAM HAPPINESS」という意味があります。

僕たちは、エンターテインメントや音楽、ダンスには、人々を幸せにする力があると信じています。今後は、より高レベルな技術とコラボすることによって、日本だけでなく、世界中の人を笑顔にできる未来を創っていきたい。それはきっと、僕らの使命だと思っています。

古橋:本日は「5Gが日本にもたらす変革の力」というテーマでディスカッションを進めてまいりました。お二人とも、大変興味深く、熱いお話をありがとうございました。


講演の動画全編は、こちらからご覧いただけます。

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