「片づけは、仕事にもときめきをもたらす」 〜今、おうちで仕事をしているみなさんへ“こんまり”さんが伝えたいこと〜

片づけコンサルタントとして、こんまり®メソッドを全世界に向けて発信している“こんまり”こと近藤麻理恵さん。楽天においても、創業以来続く片づけの習慣を監修し、推進いただいています。

今年4月には、新刊書籍Joy at Work(※)を海外で出版されました。共著者のスコット・ソネンシェイン教授は米国ライス大学で教鞭をとり、組織心理学を通して、職場での生産性や成功、幸福度に関する最先端の研究を行っています。同書では、これらの研究とこんまり®メソッドを組み合わせ、“机と心を整えることで、仕事にもたらされる快適さや効率性、喜びを感じるためのヒントやツール”を紹介しています。
※日本語版の出版は9月頃を予定。

今回はそんなこんまりさんの「コロナ禍の中、在宅勤務をしているみなさんに役立てていただけるかもしれない」という思いから、書籍でも伝えられている“快適な仕事環境を作る上で本当に大切なこと”を交えたメッセージをいただきました。


必要なモノ・コトだけを残し、そうでないものは捨てる

2010年に初の著書『人生がときめく片づけの魔法』を出版して以来、たくさんの読者の方から“同じ質問”が届いています。それは、「どのように自分のワークスペースを片づければ、ときめく仕事ができますか?」というもの。そのためにはまず、仕事にまつわるあらゆるモノ・コトの中から、必要なものだけを残すことが大切です。すでに議論し終えた資料や把握しきれない書類であふれた机の上では、自分が優先するべきことを見失ってしまうからです。

机の上はもちろん、1日のタスク、会議の必要性、溜まったメールなど、ため込んでしまう前に一つひとつに向き合い、本当に必要なモノ・コトだけを残す判断をしましょう。そうでないものは潔く手放してOKです。すっきり片づいた机に座れば、今自分がするべきこと、ひいては、何がしたいのかということも明らかになっていきます。

ワークスペースを片づけることは、「仕事において、何が自分をときめかせるのか」「自分にとっての喜びは何なのか」を自分自身に問いかけ、本心を見つめることでもあります。

仕事道具の定位置を決める

今、多くの人がおうちで仕事することを余儀なくされていることと思います。そして今後は、家で仕事をすることがスタンダードになっていくのかもしれません。

前述したように、オフィスであれ自宅であれ、すっきり片づけられた環境で仕事をすることが、生産性も仕事への楽しさも高める鍵。そうした環境をつくるためには、仕事をする上で必要なモノだけを選別し、それらの定位置を決めることが大切です。例えば、PCの右横に置いたトレイには文房具を、その手前には手帳を、というように。そうすることで、机の上は整理され、迷わずに仕事に向かうことができます。

そして、必要なモノの定位置を決めたら、心からときめくモノを置いてみましょう。私の場合は、クリスタルと生花を飾った小さな花瓶を机の上に置いています。必要なモノだけをきちんと残し、ときめくモノを堂々と飾る。実はこれが、仕事自体もときめかせるポイントです。

ちなみに、仕事専用の部屋がなくリビングやダイニングで仕事をする場合、就業後は仕事道具を見えないところに収納して、夕食や家族とのくつろぎの時間を大切にするようここがけてみてください。そういう意識もまた、仕事の純度を上げてくれます。

データも、必要なモノだけあればいい

デスクトップ上に散らかったファイルやフォルダに、「ウッ」と思うことがあるのではないでしょうか。これらも、片づけるべきモノのひとつです。

仕事を進める上で必要のないデジタルな書類やメールは、思いきって削除してみてください。

正直に言います。
そういったデータが、仕事をする上でのヒントになったり、想像力を膨らませてくれることはありません。すべて保存しておいた方が安心だと感じる方もいるかもしれませんが、いざ必要なデータを探すときに、かえって時間と労力を費やしてしまうのです。データの保存は最小限に。残すモノは、「進行中のプロジェクトや作業」「しばらく必要なデータ」「将来的にとっておく必要がある重要な記録」の3つだけです。これらはわかりやすく分類して、すぐにアクセスできるフォルダへまとめておきましょう。

また、おうちで仕事をしていると、メールの量もドッと増えるはず。1日に数回、時間を決めてメールに目を通し優先度の高い内容から処理をしていくことで、仕事中に気が散ることなく、重要な仕事に集中できます。

感謝のエネルギーは周りの人にも伝わる

こんまり®︎メソッドでは、一つひとつのモノやコトに向き合い、残すかどうかを判断しますが、そのときに、“手放すモノへ感謝する”ということをとても大切にしています。それは同時に、残したモノをより大切にすると誓うことでもあるのです。

仕事では、残すか手放すかの判断が日々繰り返しやってくるもの。すると「感謝をする」という機会が、自然と増えていくのです。あらゆることに感謝の気持ちを持って仕事をする。そのエネルギーは周りの人たちにも強く伝わると私は思っています。そんな職場はきっと、喜びと楽しみにあふれた場所になるはず。

片づけをすることは、自分の幸せのために本当に大切なモノや経験はもちろん、周りの人たちとも、より深くつながることができるのです。

コロナ禍の中だからこそ、片づけることで自分にとって本当に大切なモノを見極め、これからの仕事、そして人生が豊かになることを願っています。

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