運用型広告は広告在庫の買い付け、広告配信、クリエイティブの分析、入札単価の調整、ターゲティング等、あらゆる最適化をシステマティックに行っていきます。広告のトレーディングはシステムを介してリアルタイムに行い、利益を上げていくという点が、金融トレーディング技術に似ているかもしれません。成果を上げていくためには、計画・実行・評価・改善というPDCAサイクルをすばやく回していく日々の“運用”が一番の肝となります。技術発展によって自動化されている部分もありますが、すべてがデータによって自動化されているわけではありません。効率を良くするためには、そこに人のノウハウを足すことが必要になってくる。システムによる「配信」だけではなく、「運用(ノウハウ)」が勝負なのです。根気のいる作業であるという側面もありますが、現場の努力と智慧がダイレクトに効果として目に見えるのが面白いところですね。同じレポートでも、視点を切り替えることによってたくさんの情報を読み取ることができ、次回にフィードバックするとちゃんと結果が出る。こんなにいろんなことができて、結果が見える仕事ってなかなかないと思います。
楽天DSPの立ち上げ時は少人数でのスタートでしたが、売上拡大に伴い楽天DSPに関わる組織も大きくなりました。今年1月からはその中でのチームリーダーを任され、多くのメンバーをみています。今取り組んでいるのは、個人に依存してしまう運用を、いかに組織化するかということ。知識や経験、目利きの勘のようなものが成果に直結してしまうだけに、組織をスケールさせるには運用業務のマニュアル化を進めていくことがひとつの考え方としてあると思っています。大きな強みである楽天が持つデータと合わせて、各自の知見やノウハウを共有し、高いレベルを担保できる仕組みを整えていけば、楽天DSPが売上の柱として大きく成長していくはずです。
最近では海外のベンダーとやりとりも増えてきました。運用型広告は、日本はまだ遅れをとっている状況ですが、その分この市場には更に成長する余地が残されていると強く感じています。楽天グループの総合力を活かして、どんな世界を築いていけるか。私自身も楽しみです。